仮面ライダーSPIRITS〜混沌の死者達〜 作:仮面ライダーハードエボル
side:滝
「さて・・・・・残るは君達だけだ」
2号とチェイサー・・・・・〝ウルフ〟を倒したデュークと蜘蛛怪人はゆっくりと真実達の元へ歩み寄る。
それを見た滝は急いで真実達の前に立ち、持っていた銃をデューク等に向けるが、肝心の相手は失笑していた。
「おやおや、そんな
そう言ってデュークは滝を馬鹿にする様に見下すが、滝は関係ないと言わんばりに銃を撃つ。
「そんな事を理由にコイツらを見捨てる訳ねェだろ・・・・・」
「やはり厄介だね・・・・・君の様に覚悟がある人間は特に」
「・・・・・何でお前は仮面ライダーを名乗る?」
「?」
「一文字は・・・・・本郷はな・・・・・元は普通の人間だった・・・・・それがショッカーのせいで人生を狂わされた」
「人間の尊厳を奪われ・・・・・人間の体を奪われ・・・・・力の加減を間違えれば子供を殺しかねない怪物にされた・・・・・!!」
「それでもアイツらは・・・・・自分達の様な被害者を出したくないから・・・・・ショッカーの様なクソッタレ共に奪われて欲しくないから・・・・・戦ってんだ!!」
「例え化け物と呼ばれようと・・・・・人と同じ様に生きる事が出来なくなっても・・・・・アイツらの心は・・・・・人間なんだよ!!!」
「そんなアイツらを知っている俺や救われた奴らは敬意を持って仮面ライダーって呼んでんだよ!!!」
「だがお前は!!何の罪もない怪我人やガキ共の命を簡単に奪おうとした!!そんなクソッタレが・・・・・仮面ライダーを名乗るんじゃねェっ!!!」
そう叫ぶ滝の目からは悔し涙が流れていた。理不尽に奪われ、苦しみながらも人を救い、戦ってきた2人を滝は知っていた。
だからこそ彼らを知る者達は〝仮面ライダー〟と名付け、敬愛してきた。
だと言うのに目の前の男は罪の無い者に手をかけようとし、挙句の果てに自身を悪のライダーと堂々と名乗った。
そんな人間が仮面ライダーと名乗る事に滝は悔しくて腹ただしくて、なのにそんな男を倒せないと分かっている自分が情けなく仕方なかった。
だが、そんな滝の心中はデュークと蜘蛛怪人達にはどうでもいい事だった。
「フム・・・・・何を言い出すかと思えばそんな事か」
「全く・・・・・とんだ軟弱な精神だ。そんな者は我が兵士達に必要ない!!」
そう言って蜘蛛怪人は改造ゲリラ達を向わせようとするが、倒れていた筈の乾巧が滝達の前に立っていた。
「そう簡単に・・・・・近づかせるかよ・・・・・!!」
乾はボロボロになりながらも鋭い眼光をデュークと蜘蛛怪人に向ける。
「驚いた・・・・・まだ意識があったのとは。流石はウルフェノクと言った所か」
「フム・・・・・先程の身体能力と言いその生命力と言い・・・・・中々の素材だ」
「だが解せん・・・・・それ程の性能がありながら何故脆弱な人間に味方をする?」
自分達選ばれた強者は脆弱な人間を嬲るのは当たり前。蜘蛛怪人にとっては当然の考えであり、そんな人間の味方をする乾や一文字達が分からなかった。
その疑問を投げかけられた乾は少し顔を暗くしながら声を零す。
「俺の正体は怪物だ・・・・・どれだけ人間として見繕っても・・・・・その事実だけは隠せねぇ」
「だから俺は今まで1人で旅をして来た・・・・・人と関わるのが怖いから・・・・・」
「人間に裏切られる事が恐ろしいのか?ならば貴様が人間を支配すれば良いだけ「違う」?」
「人間に裏切られるのが怖いんじゃない・・・・・俺が人間を裏切るのが怖いんだ」
乾巧が抱える恐怖の根底・・・・・それを見た滝は目を伏せ、真実は〝ウルフ〟に変貌した時に恐れた事を後悔し、子供達は呆然と見ていた。
「それでも俺は・・・・・戦う事を決めた・・・・・人間として・・・・・乾巧として・・・・・ガキ共がいずれ持つ〝夢〟を守る為に・・・・・!!!」
「・・・・・ハハハハっ!!!それが君が戦う理由!?要は人間を裏切りたくないから私達と戦うのかい!?」
「〝夢〟・・・・・それもまた私が嫌悪する物!!」
「結局は貴様もそいつらと同じ
そう吐き捨てる蜘蛛怪人の合図で改造ゲリラ達は手に持ってる銃火器を向ける。
全てが乾達に向けられたのを確認し、蜘蛛怪人が射殺の指示を出そうとその時、突如上空から銃弾の雨が蜘蛛怪人達に降り注ぐ。
「「「うわぁぁぁッ!!?」」」
「「「ギギ・・・・・!!!」」」
「ク・・・・・ッ!!!」
「何だ・・・・・っ!!?」
突然の出来事にデュークや蜘蛛怪人達だけでなく、滝達も困惑する。
暫くして銃弾の雨が終わったと思えば、ブースター音と共に何かが乾の前に降り立った。
「てめぇ・・・・・何もんだ!?」
「オート・・・・・バジン・・・・・っ!!」
その正体はかつて乾巧と共に戦った相棒であり愛車であったマシン、オートバジンだった。
「お前も・・・・・来てたのか?」
「・・・・・」───ウイィン──ウイィン───
乾巧の問いに応える様にオートバジンは手に持っていたアタッシュケースを渡す。
それを受け取った乾巧はそれを地面に置いてから蓋を開ける。その中には乾自身が良く使っていた
それを手に取った乾は持ってきたオートバジンを見つめ、意を決した顔でベルト───〝ファイズギア〟を装着する。
「ありがとよ、オートバジン・・・・・ついでにこいつらを守ってくれ」
「・・・・・」───ウイィン──ウイィン───
乾巧の頼みに応えるかの様に、オートバジンは滝達の前に立ち、守りの姿勢に入った。
「悪いな・・・・・もう1つ付け加える事があったわ。俺は・・・・・
「何っ!?」
「そう簡単に変身はさせないよ?」
手に持った携帯───〝ファイズフォン〟を開いた乾が言った言葉に蜘蛛怪人は驚くが、デュークは冷静に〝ソニックアロー〟の矢を放とうと構えた。
しかし突然大きめの岩がデュークの頭上に投げ込まれ、デュークは慌てて回避するが、その際周りにいた黒影トルーパーが巻き込まれた。
「たぁくよぉ・・・・・1人でカッコつけるんじゃねぇよ!!」
「俺は問題ない・・・・・」
「一文字!!チェイス!!」
「一文字さん・・・・・無事で・・・・・ッ!!!」
乾巧と同じくボロボロになりながらも、一文字とチェイスの2人は乾巧の両サイドに立つ。
「一文字・・・・・チェイス・・・・・」
「お前の過去に何があったかは知らねェ・・・・・けどな、これだけは言える・・・・・お前は1人じゃねぇ・・・・・!!」
「もしお前が人間の心を失いそうになっても・・・・・俺がお前の心を取り戻す」
乾の独白を聞いていたのか、2人は励ますように声をかける。
そこで一文字は後ろにいる子供たちの方へ振り向き、蜘蛛怪人達への怒りで浮き上がった傷を浮かべながらも、優しい笑顔で声をかける。
「なぁ・・・・・聞いてくれるか・・・・・」
「お・れ・た・ち・は・み・か・た・だ」
子供達にそう優しく語った一文字は再びデューク達の方へ向き直り、3人はそれぞれ変身の仕草をとる。
一文字は右側に水平にした両腕を逆時計にゆっくりと回し、チェイスは〝マッハドライバー炎〟を開いて〝シグナルチェイサー〟を挿し、乾は〝ファイズフォン〟に5を3回とEnterキーを1回押した後に閉じて腕を天に伸ばす。
まるで最初っから示し合わせたかのように3人のタイミングが重なり、同時にあの言葉を叫んだ。
その言葉と同時に3人はそれぞれ白と紫と紅の光に包まれ、姿を変えていく。
一文字を中心に強風が発生し、ベルトの〝タイフーン〟のプロペラが回り始めた。
〝タイフーン〟に吸い込まれた強風がエネルギーとなり、肉体は緑の鎧に・・・・・手脚は紅の手袋とブーツになり、頭部は赤目の飛蝗となった。
チェイスはタイヤ状の紫のサークルがその身を囲み、銀中心のスーツや左右対象の仮面をした姿となった。
そして乾巧が〝ファイズフォン〟をセットした事で〝ファイズギア〟を軸に体に紅いラインの光───〝フォトンブラスト〟が覆い始める。
光が収まるとそこにいるのは黒いスーツに各部の銀の装甲に暗闇でも分かる紅いライン、更にギリシア文字のΦを表す様な特徴の仮面が黄色い光を放っていた。
3人の仮面ライダーが威風堂々と変身した事で配下の黒影トルーパーや改造ゲリラ達は思わず後ずさる。
そんな3人の背中を見る滝や真実達避難民の目はまるで大きな光りの様に見えていた。
「まずは雑魚を片づける」
「だな!」
「俺がやろう・・・・・」
「いらねぇ・・・・・10秒あれば十分だ」
「・・・・・は?」
ファイズの謎の余裕を聞いた2号は思わず呆然とする。そんな2号を他所にファイズは、左手首につけているデジタルリストウォチ型デバイス───〝ファイズアクセル〟から〝アクセルメモリー〟を取りだし、〝ファイズギア〟の〝ミッションメモリー〟と入替える。
その音声と共に胸部の装甲───〝フルメタルラング〟が開いた事で肩の装甲に変わる。
顕になった胸部にはファイズの力を制御する役目を持つ〝ブラッディ・コア〟や媒介装置等があった。
これこそファイズをたった10秒だけ最速の戦士へと変えた姿───《ファイズ・アクセルフォーム》である。
「姿が・・・・・!?」
「これはマズい・・・・・グィン将軍!!奴に集中砲火だ!!」
「もう遅い」
ピピッ
ファイズの性能を既に
その瞬間ファイズの姿が消え、黒影トルーパー部隊と改造ゲリラ達が次々と吹き飛ばされる。
「∑何っ!?」
「やはり速い・・・・・ッ!!」
「オイオイまじか・・・・・ッ!!?」
(
敵も味方も《ファイズ・アクセルフォーム》の力に戦慄していた。
次々と敵が減っていき、残るは戦車数台になった所で周りがスローモーションの様に見えている《ファイズ・アクセルフォーム》は高く飛翔する。
そこで脚に付けている〝ファイズポインター〟から紅い円錐上のマーカー───〝ポインティングマーカー〟を残った戦車数台をロックオンする。
そして〝ファイズアクセル〟から残り時間のカウントダウンと同時に必殺技である〝アクセルクリムゾンスマッシュ〟を浴びせる。
時間切れを告げる音声と共に〝ファイズ・アクセルフォーム〟が片膝を着いた状態で姿を見せると同時に、元のファイズの姿に戻る。
たった10秒によるファイズ無双によって黒影トルーパー部隊と改造ゲリラ達は全て倒され、蜘蛛怪人が持って来ていた数台の戦車も撃破した。
余りにも一方的な出来事に、双方開いた口が塞がらない状態になっていた。
「バカな・・・・・我が兵士達が・・・・・なすすべも無く・・・・・!!!」
「へ・・・・・見せてくれるじゃねェか、ファイズ!!!」
「・・・・・」
「これが・・・・・仮面ライダーファイズの力・・・・・!!!」ゾクゾクッ
「すごい・・・・・」
(成程・・・・・これが
「後はお前らだけだ・・・・・!!」