せーのっ、御幸くん!   作:槙明

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身長変わんないね、とユミコに言われて初めて御幸くんと私は身長差がないことに気付いた。

 

「ほんとだ」

 

体育の授業で校庭に整列していた私は、背の順で言うと一番後ろになるのだが、男子の列では後ろから3番目の御幸くんとそんなに身長が変わらない事にユミコに言われて気付いた。

普段隣に立つことがないし、身長なんて気にしたことなかったから急に意識すると少し恥ずかしい。

こうして見ると、もっと小さく可愛い身長でありたかったと思ってしまうな。

 

「そーいや今日は外周走らしいよ」

「マジで」

 

最悪だ。私は走るのがとても嫌いなので外周走なんてやりたくない。

陸上部のユミコは長距離が得意らしいので走る気満々だ。そのやる気をオラに分けてくれ。

 

「よーしそんじゃあ最初に走る人と後に走る人で分けるよ」

 

男女共に二列にわかれ、ユミコとペアになった私はジャンケンに負けて後に走ることになった。

出来れば先がよかったな。後で休憩する時間を確保したかった、切実に。

 

「富永は後に走んの?」

 

準備体操を終え、先に走る組がスタート地点に移動。

私は校門で待機するため近くで体育座りして待っていた。すると手を軽くあげ「よっ」と御幸くんがやってきた。

 

「うん、御幸くんも後なんだね」

 

御幸くんも後に走る組らしく、私の隣に腰掛けた

 

「あーあ、先に走りたかったなぁ」

「俺も。後に走るの何か嫌だよなぁ」

「先に走って休みたかった」

「分かる」

 

分かるって。野球部は練習もハードだし外周走くらい朝飯前だろうに。

そんな話をしていると、先行組がついにスタートを切った。

男女混合で走るのにも関わらず、先頭で飛び出して行ったのはユミコだった。

 

「うわ、タケダさん超早ぇじゃん」

「スタミナもスピードも化け物だって陸上部で話題になってたよ。期待の新人だって」

「期待の新人って便利な言葉すぎ。はー、青道ってこう見るとやべーやつばっかだな」

 

それは御幸くんも含まれてるの?いや、含んでおこう。彼も充分やべーやつ(凄い人)だ。

 

「御幸くん走るの得意そう」

「はぁ?なんで」

「野球部だし」

「そしたら富永もバレー部だし走れそうな気するけど」

「いやいや、私こう見えて長距離走は本当にダメダメで…ワンチャン倒れるよ」

 

まじかよ、と御幸くんがくすくす笑った。

笑い事じゃなくて。マジなんだってば。

 

「じゃあ倒れたら俺が担いでやるよ。だから安心して走れ」

「待って、倒れる前提で最後まで走らせるの鬼畜すぎ」

「はっはっはっ」

 

いやはっはっはじゃないが。

 

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