せーのっ、御幸くん!   作:槙明

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「野球部って大会とかあるの?」

 

ふと、席につくなり御幸くんに聞いてみた。ないわけないじゃん、と笑われたが、ちょっとした質問なんだから流してほしい

 

「なんで?応援に来てくれんの?」

「いや別に行かないけど…」

 

行こうと思えば行けるけど、バレー部もそれなりに忙しいのでいけるか怪しい。行けたら行きたかったかも。

そんな私を見て御幸くんは不思議そうな顔をしている。

 

「御幸くんは試合に出るんだよね」

「ベンチだけどな」

「でも凄いよ一年生でベンチ入りは」

 

"天才ルーキーなんで"と御幸くんはこの前の雑誌の件を根に持っているのか悪戯っぽく言った。

ごめんって、悪気はなかったから許して。

 

「ま、そういう富永は早速スタメンだって聞いたけど?」

「誰に!?」

「ササガワ」

 

ササガワ。同じ部活の友人ルナである。

いつの間にそんな情報を漏洩、というか会話をしていたのだろうか。

 

「この前たまたますれ違ってさ、言うだけ言っていなくなったんだよ」

「えぇ…」

「富永ってそういや身長も高いしなんかやってんのかなーとは思ってたけど、頑張ってんだな」

「うん、そう。私頑張ってんだよね」

「そこは謙遜しろ」

「この前のお返しです」

 

ふふん、と笑った。

 

「バレー部って大会いつ?夏?」

「うーんとね、とりあえず春と夏かな。新人戦と総体」

 

野球部は?と聞くと「夏」と一言返ってきた。

他にも新人戦と秋の大会があるらしいが、とりあえず本命は夏らしい。

 

「私は来週の大会頑張って、それから六月の総体に力を入れるかな」

「お互いがんばんねーとなぁ」

「そうだねぇ…」

 

応援にはお互い行けそうにないね、とは言わなかった。

 

 

 

。* ❤︎… …❤︎*。

 

 

 

「最近御幸くんと仲良いじゃん、どういう関係なん」

 

昼休み、ルナの教室でお弁当を広げながら雑談しているとそんな質問をされた。どういう関係と言われても困る。

 

「普通に友人?」

「なんで疑問形なのさ、まぁいいけど。御幸くんって入学当初からどこか近寄り難いというか、友達少なそうだから女の子と仲良くしてるのなんて初めて見た」

 

御幸くん、すごい言われようである。

うーん、私からすると皆が言うほど近寄り難い雰囲気はあんまり感じないけどなぁ。

でも確かに、あの時保健室で出会わなかったら仲良くなれてなかったかも。

 

「喋ってみると面白いよ。ドジっ子だし」

「ドジっ子」

「この前も移動教室の時に教科書忘れたって言ってノートだけ持って戻ってきたりしてた」

「ドジっ子……?」

「手にシャーペン持ってるのになくしたって言ったりしてたし」

「ドジっ子なのか……?」

 

 

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