せーのっ、御幸くん!   作:槙明

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この前、御幸くんには友達がいないのではないか、という話をルナとしてからもしかして本当に友達がいないのでは、と思い始めた。

 

休み時間はいつも一人で机に向かっているか寝ているかの二択だし、お昼ご飯も購買のパンを買っては一人で済ませてしまう。

 

一人が心地好いという人もいるし、別にそれが悪いとは思わないけど、何となくそれでいいのかなと気にかけしまう。

 

「何読んでるの?」

「ん、野球の本。富永も野球勉強してみ?けっこー楽しいぜ」

「私はバレーで精一杯」

 

後ろの席だから前の人が何してるかは割と見える。

今日もパンを片手に本を読む御幸くんを見て、いつも通りだなーと思った。

 

「御幸くんって友達いないの?」

「ぶっ、お前…直球すぎないかその質問」

「ご、ごめん!いやほら、いつも一人だから…」

 

一人が好きなタイプか友達がいないのかどちらか聞きたかっただけなのだ。

…いや、友達がいないのかって結構失礼だな、ごめん御幸くん。

 

「友達って言えるかわかんねーけど、部内の人とは話すよ」

「そっかぁ…」

「なんで安心してんだよ」

「仲のいい人がいることにほっとしちゃった、ごめん」

「大体友達って富永いるし」

 

…………は?

 

「えっ」

「えっ、俺の一方通行……?」

「いや!いや!違う!私で良ければお友達です!」

「動揺しすぎて日本語おかしくなってんぞ」

 

 

 

 

 

 

御幸くんは顔がいい。所謂イケメンである。

それはつまりモテる男であるということだ。

本人曰く「もう数回は告白されてる」らしい。

ーーちなみに私はラブレターも告白もされたことはない。悔しい。

 

「富永さんって御幸君と付き合ってんの~?」

 

女子トイレの隅。高圧的な女子数人が私を壁に追い詰めて御幸くんとどういう関係か、と言うのを聞いてくる。

彼女たちは御幸くんのファンか何かだったりするのだろうか。

 

「私は」

「ここハッキリさせよ~?」

 

ハッキリさせるもなにもただのお友達です。

ここは正直に友達だと言って引き下がってもらおう。

 

「付き合ってません。お友達です!」

 

ハッキリさせました。

すると、高圧的な女子達はぽかーんと口を開けて「……まじで?」と言い放った。

マジですけど。

 

「てっきり付き合ってんのかと思ったわ~なーんだ収穫ゼロ?」

「まぢかつまんねー」

「つーかお友達って、御幸一也友達出来たのかよこれ成長ぢゃん」

 

あれ?思っていたのと違うぞ。

私はあたふたして女子の顔を交互に見ているとぷっ、と笑われた。

 

「富永サンなんか勘違いしてる?」

「えっと…」

「うちら御幸なんか眼中ないから安心して~!普通に2人のカンケー気になっただけだし!つーか御幸陰キャぽくね?付き合うなら断然倉持!」

「ウチは三年のーー」

 

ま、待ってくれ。話に追いつけないぞ。

つまり別に怒られるわけでもなくただこの人達の好奇心に付き合わされただけということで合ってるのか?

 

「はぁ、びっくりしたぁ…てっきり私の御幸くんに近付かないでって怒られるのかと…」

「いやいや御幸は顔だけっしょ」

「それなー、野球が彼女ですって感じだしね~」

 

彼女たち、言いたい放題である。

 

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