せーのっ、御幸くん!   作:槙明

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「気合い入れてけよ!!」

 

「「「「はい!!!」」」」

 

四月ももうすぐ終わる頃。春の大会はあっという間にやってきた。

新一年生も入れた新チーム新体制で行う初めての大会に、先輩は勿論一年生も気合いが入っていた。

 

「この大会終わったら次夏かー」

 

チームの指定休憩場所でゼリーを吸いながらルナが言った。

早いもので入学してからもう一ヶ月が経とうとしていた。

 

「夏は総体だね。その頃にはスタメンかなり変わってると思うよ」

「そうかな?あたしもレギュラー入れる!?」

「ベンチは入れると思う」

「おい、そこはお世辞でもスタメンいけるよって褒めろや」

 

ふふふ、と談笑していると不意にエナメルバッグが震えた。

中に入っていた携帯にメールが来たようで、携帯を取り出して確認するとクラスメイトのユミコから『試合頑張れ』と可愛い絵文字とともに送られていた。

 

「誰?彼氏?」

「ううん、同じクラスのユミコ」

「あー、タケダさんか」

「そそ」

 

御幸くんとはメルアド交換してないの?ルナが携帯から目を逸らして言った。

 

「交換なんてしてないよ!そこまで親しくないし」

「えー!その割にはよく喋ってるし仲良いじゃん!交換しなよ!」

「御幸くんはあんまり人と喋らないタイプだからね、私とは席近いからたまたまだよ。メアドは交換する理由がない」

「まー、それもそうか」

 

したところで喋ることないし。

 

 

 

 

 

ありがとうございました。

会場に響き渡った声と観客席から巻き起こる拍手に深々とお辞儀した。

 

春の新人戦は無事に優勝で終わり、私達は地区大会のシードを得た。

このまま夏の総体まで乗り切れればいいな。あと三ヶ月、気合を入れていこう。

 

「お疲れ様凪沙ちゃん」

「タナカ先輩、お疲れ様です」

 

大会を終えて着替えるために休憩場所に戻ると、先輩が汗を拭きながら声をかけてくれた。

タナカ先輩は三年生でバレー部の部長だ。彼女もまたスポーツ推薦でバレー部にいて、オリンピックに出るのが夢だと言う。

 

「2試合目の3セット目!レシーブ良かったよ!あれ落としてたら危なかったからさ、助かった~」

「いえ、タナカ先輩のブロックがあったので取りやすかっただけです」

「…ほんと、凪沙ちゃんいて良かったわぁ」

 

ユニフォームからTシャツに着替えた私は、しみじみ言う先輩を不思議に思った。

私なんて全然まだまだなのにな

 

「三年生は春高があるじゃないですか、まだ終わりじゃないですよ」

 

エナメルバッグを肩にかける。そろそろ会場を出ないと。

 

「ふふ、そうだよね、まだまだこれからだもんね!」

 

先輩もタオルをバッグに入れて帰る支度をする。

明日からまた学校かぁ。

 

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