「何事だ!?」
爆発音を聞きつけた多くの人間が現場に駆け付ける、そこには変わり果てた巫女姫の姿があった。
スレイン法国では以前にも巫女姫の謎の爆発しが発生しており、その時は破滅の竜王の復活が何かしらの原因で巫女姫に死をもたらしたのではないかと推測されたが、結局正確な原因は分からず仕舞いであった。
そんな中二度目の爆発事件だ。しかも今回は破滅の竜王を魔法で監視していた巫女姫が爆発に巻き込まれ死亡してしまったのだ、その場の誰もが巫女姫の死と破滅の竜王の存在を脳内で結び付けた。
そこにチャイナ服を着た老婆が青い顔をしてやってきた。
「カイレ様………」
神官の1人が老婆の名を口にした。
他の神官たちの視線もカイレに集中する。そして彼女は口を開くと、ポツリと言葉を漏らした。
「破滅の竜王が……破滅の竜王の反応が消滅した…………」
「竜王が動いたのか?!」
破滅の竜王を監視していた巫女姫が謎の爆発により死亡した事実と、カイレによりもたらされた破滅の竜王の反応の消滅は直ぐに神官長たちの元へともたらされ、彼らの会議は白熱していた。
「いえ、直前の報告ではそのような痕跡はありませんでした」
「では何故破滅の竜王の反応が消滅したのだ!?」
「もしやあのエルフの王にやられたのか?」
「まさか?!いくら奴でもそこまでの力は無い筈だ!」
「他に何が考えられる」
「破滅の竜王が自力で支配を解除した可能性は?」
「まさか、未だかつてケイ・セケ・コゥクの支配を自力で解いた者だといない!」
「しかし、竜王には効かない可能性があるために敵対は控えるという結論になったではないか。破滅の竜王が何かしらの抵抗をもっておってもおかしくはなかろう?」
「くそ、同時に巫女姫までやられるとは。そうでなければ情報を得られるというのに」
「せめて破滅の竜王とエルフどもがどうなったかだけでも調べねばならぬ。情報系魔法が使えぬ以上現地に人を送り込まねばならんが―――」
「誰を送り込むというのだ?エイヴァーシャー大森林から溢れたモンスターどもの相手で手一杯だぞ?」
「防衛には向かん部隊だろうな。風花聖典か、水明聖典を向かわせるのはどうだ?」
「どちらもモンスターの蔓延る森に派遣するには戦力が心許な過ぎる。漆黒聖典第1席次を向かわせるべきだ。もとより奴は力は強大だが極致的だ、防衛にはあまり向かん」
「防衛力を割くのか……いた仕方ないか。それで他の人選はどうする?まさか1人で向かわせるわけにもいくまい?」
結局、漆黒聖第1席次を隊長に、情報収集に長けた者を風花聖典から3人、それと万が一破滅の竜王を超える存在が居た場合の対応策として、法国の秘宝であるケイ・セケ・コゥクを装備させたカイレの、計5人を派遣する事になった。
2日後。現地で彼らが見たのは1本の巨大な倒木と神話の戦いの爪痕だった。