スレイン法国の一団と予期せぬ邂逅を果たしたモモンガは内心非常に焦っていた。
(おいおいおい!聞いてないぞクレマンティーヌ!スレイン法国に伝わるワールドアイテムは傾城傾国だけじゃ無かったのか!?あれはどう見ても
モモンガの目はクレマンティーヌが隊長と呼んだ男が手に持つみすぼらしい槍に釘付けになっていた。
(だが待てよ?何故
先に述べたように、20と呼ばれるワールドアイテムは壮絶な力を持つ代わりに使いきりアイテムだ。6大神が残した物ならば600年前からこの世界に存在している事になる。6大神のNPC達が魔人かしてしまった時や、8欲王が暴れまわった時に、何故使用しなかったのか。また、そんな大事にまで使用をしなかったアイテムを何故持ち歩いているのか……もしやこの世界でもワールドアイテムを入手する方法があるのかと考えたモモンガだが、直ぐに首を横に振った。その可能性は限り無く0に近かったからだ。だとするならば。あの
(―――偽物?)
モモンガがそんな事を思案している間に、クレマンティーヌと隊長と呼ばれた男は緊張感のある距離を保って会話をしていた。
「……第9席次。何故貴方がここに?それにそのアンデッドは何ですか?」
「…………私はもう漆黒聖典の第9席次じゃない。その質問に答えるつもりもない」
いつものおちゃらけた態度でも、モモンガに対する態度とも違う、真剣な態度でクレマンティーヌは返答した。
「確か貴方はズーラーノーンと関係していると報告がありましたね。そのアンデッドはズーラーノーンと関係があるのですか?」
「答えるつもりは無いと言った」
「「…………」」
二人の間に沈黙が流れ、スレイン法国の他の者たちは息をのむ。そんな中、カイレだけは静かにモモンガを見据えていた。
「暫く見ぬウチに増長しましたか?貴方がいくら強いとは言え所詮人の身。神人たる私には勝てませんよ?」
「隊長こそ、番外席次にボコボコにやられて大人しくなったと思ってたのに、また増長しちゃったんですか?」
「「…………」」
再びの沈黙の後、先に行動したのは隊長と呼ばれた男だった。手にしたみすぼらしい槍を構え、一直線にクレマンティーヌ目掛けて突っ込んだ。クレマンティーヌはそれを寸でで避けると、苦無を投げつけた。この苦無は忍者という上級職のレベルを上げる為にモモンガに持たされていたものだ。
「何っ?!」
自分の攻撃がかわされるとは微塵も考えていなかった隊長と呼ばれた男は、反応が遅れ、苦無は彼の頬に傷をつくった。
「馬鹿な!俺が第9席次如きに傷を負うなど!」
「口調が戻ってますよ、隊長!」
今度はクレマンティーヌの方から仕掛けるが、その攻撃は軽く躱されてしまう。
「調子に乗るなよ!クインティアの片割れ風情が!」
「その名で私を呼ぶんじゃねぇ!」
2人の戦いが苛烈になっていくなか、モモンガはその戦いを眺めながら考察をしていた。
(ふむ、どうやらレベルはややあの男の方が高めか?職業ビルドの関係上クレマンティーヌもついていけているが、ステータス差がキツイか。それとあの武器―――はやり
クレマンティーヌの信じられない程高い実力に驚いていたのは漆黒聖典第1席次だけでは無かった。カイレもまたクレマンティーヌの実力に驚きを隠せない。このままでは法国の貴重な戦力である男を失いかねない。何か手を打たなければ。
カイレに思いついた手は1つだった。つまりスレイン法国の秘宝、自身が装備するケイ・セケ・コゥクを使用しクレマンティーヌを支配してしまう事であった―――