隊長と呼ばれる男の持つ槍が
モモンガか警戒しつつ観察していると、老婆は傾城傾国の使用モーションを起こした。モモンガは直ぐに講じていた対応策を打つ。
「<下位アンデッド創造>」
モモンガはアンデッド創造のスキルを使い、老婆とクレマンティーヌの射線上に一体のスケルトンを創り出した。
「なっ?!」
老婆は驚いて傾城傾国の発動を中止しようとするがもう遅い。傾城傾国は発動していまった。傾城傾国から放たれた光は龍を模りながら一直線にスケルトンに向かう。光はスケルトンに衝突すると一層輝いて消滅してしまった。
「確か傾城傾国のリキャストタイムは72時間だったか?しばらくは使えまい。駄目だぞ?切り札は大切に使わないとな」
クレマンティーヌの想定を絶する実力に驚き、すっかり存在を忘れていたエルダーリッチらしきアンデッドの声にその存在を思い出した老婆は舌打ちをした。
「ちぃ!ネクロマンサーか?!まさか、6大神がもたらし秘宝がその様なちゃちな魔法に阻止されるとは」
「正確には魔法ではなくスキルなのだがね。それに良いピストルは撃ち手を選ぶとも言う。お前如きにはそのワールドアイテムは使いこなせぬさ」
「何……?」
老婆はアンデッドの言葉に違和感を覚えた。まるでこのアンデッドは神のもたらし秘宝について、自分たち以上の知識を有しているような。そんな言い回しに聞こえたのだ。
「クレマンティーヌ、選手交代だ。その男は私が相手をする。お前はこの老婆の相手をしろ。殺して構わん。ワールドアイテムは回収しておけ」
「はっ!!」
クレマンティーヌはモモンガの方に跳び男と距離を取ると、武器を老婆の方に向けた。
「させるかっ!!」
隊長と呼ばれる男がクレマンティーヌを追従しようとするが、それはモモンガが許さない。
「それは此方の台詞だ。<
モモンガの魔法で世界は時間を止める、が―――隊長と呼ばれる男の体がぎしりと鈍い音をたてると、まるで絡みついた蜘蛛の糸を引きちぎる様に身をよじりモモンガの
「ほう、時間対策ぐらいはしているか。その槍の効果か?いや、武器に時間対策を施すのは効率が悪いな。とすると防具の方も6大神とやらが残したものか?見覚えのない装備だな。それも槍と同じで生産職のスキルで創られた物の可能性が高いか……」
モモンガの時間停止の魔法に抵抗して見せた男だが、驚きは隠せなかった。何せ戦闘で時間対策の効果が発揮したことなど過去一度もないのだ。始めは何が起こったのかさえ分からなかった。しかし、モモンガの言葉を聞いてはじめて自身が時間系魔法に抵抗したのだ判明した。そして、彼の思考は一つの事に囚われた。このアンデッドの正体である。時間系魔法なぞ過去の神人にも使える者の記録は残っていない。それが使えた存在は神のみである。つまり、目の前にいるこのアンデッドの正体とは……
「<
相手の正体を思考しながらも、隙無くアンデッドの動向を注視していた男だったが、気が付けばアンデッドの手には心臓の様なものが握られていた。アンデッドがその心臓を握りつぶすと男の世界はそこで終焉を迎えた。