漆黒聖典第1席次との連絡が途絶えた。
その知らせはスレイン法国の最奥に集まった国の主要人物たちを震撼させた。
「まさか漆黒聖典第1席次までもがやられてたのか?」
「行動を共にしていたカイレはどうなったのだ?!」
「ケイセケコゥクは?!」
幾つもの疑問が飛び交うが、答えを知るものはいない。
「カイレとも連絡は取れない。当然同行させた風花聖典の3人ともだ」
「直ぐに捜索隊を派遣するべきだ!」
「二次被害が出るだけではないのか?」
「ケイセケコゥクは6大神が残せし秘宝だぞ!かのアイテムを回収するためなら被害など目を瞑るべきだろう!」
「神人たるあの男の死体も回収せねばならん。金を用いれば復活も可能なのだからな」
「まだ死んだと決まったわけではありませんがね。問題は仮に彼らが全滅していたとして。その全滅に追い込んだ相手が誰かと言う事です」
「竜王でないのであれば、やはりあの裏切り者どもの王であろう」
「前にも言ったが奴にそこまでの力が有るとは思えん」
「しかし他にその様な事が可能な者がおるとは考えにくいが……」
答えの出ない会議が白熱していくその部屋の外で、本来立ち入りを許可されていない筈の一人の少女の姿があった。長い髪は左右で左右で色が異なり、片方が白、もう片方は黒い。髪と同様に瞳の色も左右で異なっている。そんな彼女は聖堂と呼べる場所から漏れ聞こえる会話に耳を傾け、その内容にその艶やかな唇を明けの三日月の様にして笑った。
彼女がその場から立ち去るまで、彼女の存在に気が付く者はいなかった。
翌日、番外席次と呼ばれる存在が法国から姿を消した事で騒ぎは更に大きくなる。
「まさか番外席次まで姿を消すとは……」
「彼女の存在が竜王に気取られれば、竜王が法国に攻めてくるやも知れんぞ」
「いっそエルフどもの国を滅ぼしてくれれば良いのだがな」
「番外席次の行方は掴めんのか?」
「調べをさせている風花聖典の者たちの話では、自分の意志で出て行った可能性が高いとの事だ。となれば向かった先は恐らくエイヴァーシャー大森林であろう」
「あの子……彼女の性格を考えればそうね。まったく、当時の神官長たちに文句を言いたい気分よ。何故彼女の性格をあの様に育てて……」
「酷い話ではある。しかし、結局悪いのはあの森の蛮族どもであろう。兎も角、彼女の目的があの大森林にあるのだとすれば、漆黒聖典第1席次とケイセケコゥクの捜索も兼ねた部隊をそうそうに準備せねばなるまい」
彼らは知らない。自分たちが情報系魔法を使用して情報を収集していたように、自分たちもまた何者かに覗かれているという事を。
「それで、如何しますか?モモンガ様」