ブリタさん可愛がり   作:ミソカッスン

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12話・バレアレ薬品店

 【鉄の闘志】の二人はバレアレ薬品店に来ていて。二人が来店するとすぐに少年が対応してくれた。

 

 「いらっしゃいませ」

 

 この子がリイジー・バレアレだろうか?モモンガは首を傾げる。

 

 (名前からして女性だと思っていたが、もしかして少年じゃなくて少女だったか?確かに忠誠的ではあるが……)

 

 モモンガが脳内で失礼な事を考えていたが、次のブリタの発言でモモンガの疑問は解消した。

 

 「あなたがンフィーレア・バレアレさん?」

 

 どうやらこの人物はリイジー・バレアレでは無かったらしい。落ち着いて考えてみれば、この歳で店主ということも無いかとモモンガは一人納得した。

 

 「何か御用ですか?」

 

 「見て欲しい物があるんですけど……」

 

 ブリタはポーチから赤いポーションを取り出してンフィーレアに見せた。その瞬間、前髪の隙間から見えるンフィーレアの目が大きく見開いた。

 

 「赤い、ポーション?」

 

 少なくとも彼の興味を引くには赤いポーションは十分な効果があったようだった。

ンフィーレアは二人に一言残し店の奥に姿を貸した。店の奥からは「おばーちゃーん!」という声が聞こえて来た。

暫くするとンフィーレアが老婆を連れて戻ってきた。おそらく彼女がリイジー・バレアレだろう。

 

 「アンタ等かい?赤いポーションを持ち込んだっていう冒険者は」

 

 まるで睨む様な鋭い眼光にブリタが怯みつつ答えた。

 

 「え、ええ。これがそうよ」

 

 ブリタが赤いポーションを掲げて見せた。するとリイジーの目つきが益々鋭くなる。

 

 「どう思う?」

 

 ンフィーレアがリイジーに訊ねると彼女は嬉々とした表情で答えた。

 

 「とにかく見てみようか」

 

 リイジーはブリタから赤いポーションを受け取ると、それに鑑定の魔法を掛けた。

 

 「<道具鑑定(アプレイザル・マジックアイテム)>エンチャント」

 

 リイジーは魔法を唱えた後、少しの間黙り込んだと思ったら、突如として笑い始めた。その様子を皆が訝し気に眺めていると彼女は語り始めた。

 

 「真なる癒しのポーションは神の血を示す……ただの伝説じゃと思っておったが」

 

 リイジーはンフィーレアに向き直ると、急に問題を提示した。

 

 「ンフィーレア、ポーションはその制作過程で全て青くなる。そうじゃな?」

 

 「う、うん」

 

 ンフィーレアが答えるとリイジーは満足そうに頷いて話を続ける。

 

 「このポーションは今まで誰にも開発出来なかった完成されたポーションなんじゃ!」

 

 リイジーは今度は【鉄の闘志】に向き直り説明の続きをする。

 

 「このポーションじゃが、効果は第二位階の治癒魔法相当。価値は金貨にして8枚といったところか―――」

 

 リイジーはそこで一旦言葉を溜めて、まるで脅す様に続けた。

 

 「じゃが、付加価値を考えるとアンタ等を殺してでも奪いたいといった連中が出てくるじゃろう」

 

 その言葉にブリタがごくりと唾を飲む、モモンガはまるで動じていないようだった。

 

 「そこでじゃ。これを私に売る気は無いかい?」

 

 「お断りします」

 

 間髪入れずに答えたのはモモンガだ。

 

 「今回はそのポーションの事で貴方に……あなた方に提案が有って来ました」

 

 「ほう……」

 

 モモンガはバレアレ家にポーションの開発を頼み、そのポーションを独占契約するのが目的だ。ここからはモモンガ、もとい鈴木悟の営業の時間だ。

 

 「私はその赤いポーションをある程度の数用意が出来ます。そしてそのポーションのレシピも知っています。しかし、その素材は恐らく手に入らない物だ。そこでそれらを提供するのでお二人には代用の素材で赤いポーションの開発にあたって欲しいのです」

 

 「……あまりにこちらに得な話だね。そちらのメリットはなんじゃ?」

 

 リイジーにそう問われモモンガは話を続ける。

 

 「むしろメリットは此方の方が大きい話です。開発に成功したポーションの独占契約をして欲しいのです」

 

 「独占契約?どういう事じゃ?」

 

 「バレアレ家で作った赤いポーション、又はその開発の段階で出来たポーション、ないしそれに付随するものは我々【鉄の闘志】にのみ販売する。又は我々が許可した相手にのみ販売出来るといった内容です。そちらのメリットとして我々が買い取る際の売り上げと、知識。そんなところですかね」

 

 「乗った!」

 

 「っへ?」

 

 モモンガとしてはもっと交渉に時間が掛かると思っていたが、驚くほどすんなりとリイジーは提案に乗ってきた。少し不安になったモモンガがンフィーレアを見ると、彼は苦笑していた。

 

 「おばあちゃんにとっては研究が第一ですから、その内容で問題ないと思いますよ」

 

 「な、なるほど」

 

 (ポーション馬鹿かな?)

 

 失礼な事を考えながらもモモンガは赤いポーションを10個ほど、それと事前に(ブリタに字を教えてもらいつつ)書き出しておいたレシピを手渡した。

 

 「ポーションが足りなくなったら言ってください。あまり多くは用意できませんが多少は用意できますから」

 

 「きひひひ!これが真なる癒しのポーションのレシピ!なるほど全て知らない物じゃ!これは研究しがいがるぞ!!」

 

 リイジーは浮かれてモモンガの声が届いていないようだ。そんな姿に不安を覚えつつも【鉄の闘志】はバレアレ薬品店を後にした。

 

 

 




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