「知らないオリハルコン級冒険者と、やたら豪華なローブを着たアンデッド、それに元漆黒聖典第9席次……訳の分からない組み合わせね」
目を覚ました番外席次が最初に口にした言葉がそれだった。
「さて、私は一応アナタ達に助けられたって事になるのかしら?」
番外席次の問いにブリタが首を傾げて問う。
「一応って?」
「貴方から見たら強姦されているように見えたかも知れないけど、私の目的は強い、それも私より強い男の子種。もう少しでそれが手に入るところだったのに邪魔されたのよ、貴方たちに」
「ええ~……」
ブリタは番外席次の言葉に仰け反って身を引いた。異世界であっても自身の親と性行為をするなど、正気の沙汰では無いのだ。
「強い男の子種を求める理由は?」
モモンガの問いに番外席次は即答する。
「強い子を産む為に決まっているでしょう?分かり切った事を聞くのね」
「私の知識では近親交配は奇形児などが生まれる可能性が高まり危険な筈だ。強い子を求めるなら自分の親族と交配するなど愚の骨頂だと思うが?」
「何それ?そんな話聞いた事無いわよ?」
「ふむ……こんな世界だ。強い子を求めるのは理解できるが、その辺りの研究は進んでいないのか?それともこの世界では近親交配に伴う危険性が発生しないのか?いや、人間の遺伝子の問題だ。異世界だろうと関係ないと思うが。或いはエルフの特性か?」
モモンガがまた思考の海に潜るが、それを引き上げたのはブリタでは無かった。
「……ねぇ、この世界とか異世界とか、それに貴方のその姿……もしかして貴方。プレイヤー」
「……だとすればなんだ?」
「そうね、法国の者としては法国に連れ帰るのが使命なのかしらね」
「当然断る。正直法国には碌な印象が無い上にメリットを殆ど感じない。正確に言えばメリットより遥かにデメリットが上回る」
「法国に良い印象が無いって事は、貴方はスルシャーナでは無いの?」
「ん?違うぞ?そう言えばクレマンティーにも始め間違われたな、そんなに私に似ているのか?そのスルシャーナというのは」
番外席次は首を横に振る。
「当然実物は見た事ないわ。でもスルシャーナを模した像に似ているの。そうね、瓜二つと言って過言では無いわ」
「ふむ、そんなにか……」
ユグドラシルでは、オーバーロードという種族は少なくはあったがモモンガの他にも当然いた。しかしその見た目は千差万別だ。中にはオーバーロードと分からない程見た目を弄っているも少なくは無かった。それが2度も間違われる程似ているというのはどういう事だろうか。
「スルシャーナか……私の知っているプレイヤーの中にはそんな名前は無かったが。傾城傾国の様になまって伝わった可能性もあるか?いや、そもそも私に瓜二つのアバターを知らないな。まぁ良い、それより話を戻すぞ。私がプレイヤーだとして、お前はどうするんだ?」
「その前にもう一つ質問させて。なぜ元漆黒聖典第9席次が貴方と行動を共にしているの?」
番外席次は視線でクレマンティーヌを指した。
「こいつは何かと便利だからな、知識を得るのと実験の為に手元に置いている」
「勿体なきお言葉」
クレマンティーヌが恭しく頭を下げる。
「実験……彼女が法国に居た時とは比べ物にならない程強くなっているのはそのせい?」
「質問は1つじゃ無かったのか?」
「あら?小さい事を言う男はモテないらしいわよ?」
「アンデッドに男も女もあるまい。ちなみに、先の質問の答えはイエスだ」
「そう…………」
質問の答えを聞くと番外席次は何やら考えてから口を開いた。