結局、武技を覚えられたのはブリタだけで、モモンガには覚えられる気配すらなかった。
ブリタが覚えた武技は3つ、”能力向上”斬撃””要塞”だ。
<能力向上>はその名の通り、一時的に肉体能力を向上させる武技。<斬撃>は斬撃系の攻撃で与えるダメージを上昇させる武技。<要塞>相手の攻撃を跳ね返す防御系の武技だ。どれも基本的な武技だが有用性は高いものばかりらしい。ブリタの感覚としては他の武技も覚えれそうな気がするのだが、ペテルが習得している武技はこれぐらいらしい。その時モモンガがは王国戦士長、ガゼフ・ストロノーフの事を思い出した。彼は幾つもの武技を使いこなしていた。王都に来た際は訪ねてくれと言われているし、フロストドラゴンでレベルリングをした後にでも行ってみるの良いかもしれない。
カルネ村で一夜を明かした後、一行は本来の目的である薬草採集の続きを行った。森の賢王の助けもあり、ンフィーレアでさえ滅多にお目にかかれない貴重な薬草を大量に採集することに成功した一同は予定通りの日程でカルネ村を後にした。
エ・ランテルに帰還した一同は冒険者組合に依頼の報告と森の賢王の魔獣登録の為に足を運んだ。その時森の賢王の名前はモモンガがハムスケと命名した。ブリタはなんだか微妙な顔をしていたが、本人(本魔獣?)が気に入っている様だったので黙っていた。その後荷下ろしを手伝うためバレアレ薬品店に同行した。
「おばーちゃーん、ただいまー。貴重な薬草が沢山取れたよー!……おばぁちゃん?」
ンフィーレアがバレアレ薬品店の戸を開けて奥に居るだろう祖母に帰宅を告げるが何故か返事は返ってこない。
「おばぁちゃーん、居ないの?」
あの研究大好きな祖母が赤いポーションの研究を放っておいて出かけるとは考えにくいが、そう考えながらンフィーレアがリイジーの部屋の戸を開けると、そこには血痕らしきものと、置手紙が置いてあった。
「これは……!?」
置手紙には簡潔に、リイジー・バレアレは預かった。返して欲しければ一人で墓地まで来いと書いていた。
「ど、どうしよう。おばあちゃんが……」
不安で震えるンフィーレアの肩に手が置かれた。ンフィーレアが振り返ると冒険者たちは自信に溢れる顔で頷いた。
「安心して、リイジーさんは私たちが連れ戻してあげる。何たって私たちは冒険者なんだから」
ブリタが格好良く決める。
「という事は指名依頼ですか?」
モモンガのその言葉にせっかく格好よく決めたブリタが肩を落とす。
「なんでそうなるのよ?」
「え?だって前にブリタさんが組合を通さない依頼は辞めた方が良いって言ってたじゃないですか」
「こういう緊急事態の場合は良いのよ!カルネ村の時だってそうだったでしょうが」
「ああ、そういえば」
「今度はメリットがどうとか言わないわよね?リイジーさんは赤いポーション作りに必要な人でしょ?」
「そうですね。わかりました」
【鉄の闘志】の二人はリイジーの救出に手を貸すことに決定した。残りは【漆黒の剣】の方だが―――
「もちろん我々も手を貸しますよ。護衛依頼を受けた身です。最後までお付き合いしますよ。皆も良いですよね?」
ペテルの問いかけに他の三人は一様に頷いた。
「それでは、リイジーさんの救出の為に作戦を立てましょうか」