ブリタさん可愛がり   作:ミソカッスン

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22話・救出作戦・1

 まずはモモンガの手持ちのマジックアイテムを使い、リイジーの安否を確かめることになった。このアイテムは【鉄の闘志】の切り札であり、申し訳ないが【漆黒の剣】及びンフィーレアには見せられない。という事を言い聞かせ、バレアレ薬品店の奥の部屋でモモンガは幾つかのマジックアイテムを使った。

 

 「場所は分かっているので場所を探る必要はないですね。とはいえ相手の正体が分からない以上用心するに越したことはない。今回は妨害対策が殆ど出来ない遠隔視の鏡(ミラー・オブ・リモート・ビューイング)」ではな千里眼(クレア・ボヤンス)を使いましょう」

 

 「ごめん、殆どなに言ってるか分からないわ」

 

 「魔法を使います。ただしこの鎧のままでは使えません。ブリタさんは人が入って来ないように見張っておいてください」

 

 「それなら分かるわ。了解」

 

 ブリタは戸の前に移動し背中を戸に預けた。

それを確認したモモンガは魔法で出来た鎧を消し、骸骨の姿を晒すと魔法を唱えた。

 

 「<偽の情報(フェイク・カバー)><探知対策(カウンター・ディテクト)><千里眼(クレア・ボヤンス)>……ブリタさんにも見せる必要があるか。<水晶の画面(クリスタル・モニター)>」

 

 モモンガが幾つかの魔法を使うと、ブリタの眼前にエ・ランテルにある墓地の映像が浮かび上がった。

 

 「これは……エ・ランテルの墓地ね」

 

 「リイジーさんと敵を探しましょう」

 

 モモンガが映し出された墓地の映像をスライドさせていく。しばらく映像をスライドさせると霊廟らしき建造物が存在しており、その入り口に血まみれのリイジーと見張りらしきローブの人物が2人立っている。

 

 「リイジーさん!」

 

 映像を見たブリタが声を上げた。死んでいるのかと目を凝らすと肩を揺らしているのが分かる。息はしているようだ。

 

 「生きてはいるみたいね」

 

 とりあえずは良かったとブリタが安堵の息を漏らした。

 

 「おそらく人質にするつもりなのでしょう。それにしても敵はンフィーレアを攫ってどうするつもりだ?身代金が欲しいなら二人とも呼び出したら意味ないだろうし」

 

 「多分だけど、ンフィーレアの有名なタレントが目当てでしょうね」

 

 「タレント?」

 

 「モモンガは知らないか。ンフィーレア・バレアレといえばエ・ランテル最高の薬師であるリイジー・バレアレより有名よ?どんなマジックアイテムでも使用可能というタレントを持っている事でね」

 

 「どんなマジックアイテムでも……使用可能……」

 

 (なんだそのチート能力!?凶悪過ぎだろ?!)

 

 ユグドラシル産のマジックアイテムの多くにはレベル制限、種族制限、性別制限など様々な制限がある。能力が高ければ高い程その制限は厳しくなる傾向にある。その全てを無視して使用出来るなど、その恩恵は計り知れない。もちろんそれだけのマジックアイテムを有している者にとってはだが。現在のモモンガもそこまでのマジックアイテムは持ち合わせていない。かつての仲間たちが集めた大切な宝物はナザリック地下大墳墓に置いてあるからだ。

 そんな人物が薬師というのも勿体ないなと考えが脱線しているモモンガにブリタが声を掛ける。

 

 「それでモモンガ、どう攻める?」

 

 「そうですね。本来なら私が魔法を使用してリイジーを救出するのが最も成功確率が高い作戦ですが、【漆黒の剣】が一緒だとその手が使えません。奇襲を掛けて見張りを殺して救出するか、あるいは理由をつけて【漆黒の剣】と別行動するのが良いと思いますが」

 

 「理由か……」

 

 ブリタが頭を捻る。

 

 「エ・ランテルの墓地と言えば相当な広さよね?捜索の為にチームを二手に分けるっていうのはどう?」

 

 「彼らには私のマジックアイテムで探りを入れると伝えてこの部屋に入りました。ならば場所を伝えないのは不自然では?」

 

 「う~ん……そうかも。じゃあどうする?」

 

 「そうですね。例えば正面から【漆黒の剣】が敵の気を引き、我々が背後から近づいてリイジーさんを救出するというのはどうですか?一応気配遮断の指輪ならありますから、魔法が使えない状態でも不意打ちが出来ると思いますけど」

 

 「実力的には私たちが正面担当じゃない?」

 

 「そうですか?確実に救出するには救出班の方が重要では?」

 

 「それは……そうね」

 

 囮役、それはつまり敵と正面から戦うことになる。正直銀級である【漆黒の剣】ではそう長くは持たないだろう。しかしモモンガの言うことも最もだ。今優先するのはリイジーの身の安全。彼らとて冒険者なのだ。彼らの身を案ずるのは失礼にあたるだろう。

 

 「それは分かったわ。でも手紙にはンフィーレア一人で来いと書いてあったけど、それはどうでするの?」

 

 「別にどうもしませんよ?我々は亡くなった仲間の墓参りに来た冒険者にでも扮しましょう。偶然を装って接敵、リイジーの身を案じて近づいたという事にしましょう」

 

 「こんな夜中に墓参りなんて怪しくない?」

 

 「怪しかろうが問題ないでしょう。事実の確認をしようが無いんですから。酒でも持って行って適当な墓標にでも掛けていればそれっぽく見えるでしょう」

 

 「……何か罰当たりじゃない?」

 

 「タダで酒を振舞われるです。死者も喜びますよ」

 

 「……ふふ、死者が下戸じゃなければ良いわね」

 

 ブリタは自分でも気づかぬうちに緊張していたのだろう。モモンガの下らない冗談で肩の力が抜けるのを感じる。ブリタは心の中でモモンガに感謝を述べた。

 

 「それじゃ、鎧を着てモモンガ。【漆黒の剣】に作戦を説明しに行きましょう」

 

 「了解です。上位道具創造(クリエイト・グレーター・アイテム)

 

 モモンガが鎧姿になったのを確認して、ブリタは部屋の戸を開いた。

 

 

 

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