ブリタさん可愛がり   作:ミソカッスン

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23話・救出作戦・2

 夜の帳に身を潜め、【鉄の闘志】の2人は霊廟の裏手から目標にゆっくりと近づいていく。モモンガがブリタに渡した指輪の効果で現在2人の気配はとても希薄だ。しかし、看破系のスキル、又は魔法、それにモモンガの知らないタレントや武技にも注意を払わなければならない。二人は油断せず慎重に行動する。

 一方、正面では【漆黒の剣】の4人が打ち合わせ通り墓参りに来た冒険者を装ってローブの誘拐犯に近づいていた。目視出来る敵は2人だが、恐らく伏兵が居るだろう。ンフィーレアのタレントが目的なら犯人は組織的に動いている者たちの可能性が高い。ンフィーレアの持つどんなマジックアイテムも使用可能というタレントは多くのマジックアイテムを有する事が可能な者の元でこそ真価を発揮出来るだろうからだ。

 【漆黒の剣】は周囲を警戒しつつ近づき、ペテルがまるで今気が付いたかの様な台詞を口にした。

 

 「おい!お前たち、一体ここで何をしている!?その老婆をどうする気だ!?」

 

 ローブの誘拐犯たちはお互いに視線を送ると頷きあうと、【漆黒の剣】に向き直り魔法を放った。

 

 「<火球(ファイアー・ボール)>」

 

 「<衝撃波(ショック・ウェーブ)>」

 

 「第三位階!?」

 

 ニニャが驚きの声を上げると共に前衛のペテルが吹き飛ばされた。

 

 「ぐわぁ!!」

 

 「ペテル!」

 

 ダインが急いでペテルに駆け寄り治癒の魔法を掛ける。その間ルクルットが敵に矢を放つ、心臓を狙ったその矢は、寸でのところで回避行動をとられた為に肩に当たった。

 

 「ぐっ!」

 

 ローブの男が肩を抑えてうめき声を上げる。致命傷を与えられなかったことに舌打ちしつつルクルットが次の矢を番える、が敵はその隙を見逃さない。

 

 「<魔法の矢(マジック・アロー)>」

 

 3つの光弾が浮かび上がるとルクルット目掛けて空を駆けた。咄嗟に横に跳び何とか二つを回避したルクルットだったが最後の一つがルクルットの腕に命中する。

 

 「ちっ!」

 

 大したダメージではないが、しばらくは痛みで弓は真面に使えないだろう。そう判断し、ルクルットは弓を捨て短剣を構える。

 

 「<魔法の矢(マジック・アロー)>」

 

 ルクルットの後ろから2つの光弾が敵目掛けて飛んでいく。ニニャが放ったその魔法は見事にローブの男を捉えたが、大したダメージは与えられていないように見える。ローブに仕掛けがあるのか、それとも魔法詠唱者(マジック・キャスター)としての実力が相手の方が上であるためだろうか。

 そうこうしていると回復を終えたペテルが戦線に復帰し、4対2にの構図に戻った。戦況は互角と言ったところだろう。今のところは。しかし、戦闘の音を聞きつけた誘拐犯の仲間と思しきローブの男たちが霊廟からぞろぞろと姿をあらわした。その数は5人。これで戦況は一変した。【漆黒の剣】の負けは確実だろう。後はどれぐらい時間が稼げるかの問題だ。

 

 「おいおい、こいつらただの老婆趣味の変態じゃねぇぞ」

 

 「撤退します!遮蔽物を利用しつつ魔法を回避!皆、死なないで下さいよ!」

 

 敵に聞こえるように大声で会話をしつつ、四人はばらけて撤退を始めた。

 

 

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