フードの下から現れたのは髪の毛と眉毛の無い男だった。目はくぼみ、頬はこけ、土色という言葉が似合う程顔色が悪い。まるでアンデットのような外見をしている。その見た目からは年齢は判断しずらいが、4・50代ではなかろうか。
その男が掲げた珠はまるで鉄の様な無骨な輝きを放っており、その珠からは不気味な気配を感じる。
「死の宝珠よ!」
男がそう唱えると、突如月明かりが陰り、空からドラゴンの骨の様なモンスターが姿を現した。
「スケリトル・ドラゴンか……」
「その通り、ガゼフと同程度の実力があるというのならば、スケリトル・ドラゴンでも倒せるだろう。だが、クレマンティーヌを相手にしながらどこまで戦えるかな」
モモンガは抱えていたリイジーをゆっくりと地面に寝かせた。
「ところで、一つだけ質問があるのだが、かじっちゃんとやらは武技、又はオリジナル魔法は使えるか?」
質問の意図がまるで分からないかじっちゃんは少し考えてから、別に答えても問題ない質問なのでとりあえず返答した。
「……馬鹿か?儂は
「オリジナル魔法は?」
「……無いな。ワシは
そう彼が生涯を掛けて研究しているのはオリジナルの魔法ではない。
「そうか……ならばお前は必要ないな」
「何?」
モモンガはゆっくりと歩いてブリタの隣に並んだ。
「ブリタさん、選手交代です。そっちのクレマンティーヌという女は生かして捕らえたいので私が相手をします。ブリタさんはかじっちゃんの方を相手にしてくだい」
「……分かった、後は任せるわ」
ブリタは大剣を構えてスケリトル・ドラゴンと対峙する。一方、二人の会話を聞いていたクレマンティーヌはいら立ちを隠せない。
「ああん?このクレマンティーヌ様を生かして捕らえるだぁ?テメェのそのヘルムの下にどんなクソッタレな顔が有るか知らねぇが。初撃にすら碌に反応出来てなかったテメェにそんな事出来る筈ねぇんだよ!」
「このヘルムの下のクソッタレな顔なら直ぐに見せてやろう。万が一【漆黒の剣】が戻ってきても厄介だ。さっさと終わらせたいんでね」
そう言うとモモンガは魔法で出来た鎧を消し去った。
「アンデット?!……エルダーリッチか?」
「まぁ、正解に近いと言っておこう。<
モモンガが魔法を唱えると周囲の時間が制止した。クレマンティーヌやかじっちゃんは勿論、ブリタも指先一つ動かない。モモンガは悠々と歩いてクレマンティーヌに近づくと他の魔法を発動する。
「はやり時間対策も無しか。そう言えばブリタさんにも時間対策を施したいな。しかしその為にはレベルを上げないと。おっと、今はそんな事を考えてる場合じゃなかった。<
モモンガが魔法を唱えると彼の右手に漆黒のオーラが纏わりついた。モモンガはその手をクレマンティーヌの肩に置いて「麻痺」と呟いた。その後モモンガは元の位置まで歩いて戻り時間停止の効果時間が終わるのを待った。
「麻痺しか使わないのであれば
モモンガのその呟きと共に時間停止の魔法の効果が切れ、世界は時間を取り戻した。それと同時にクレマンティーヌはどさりとその場に崩れ落ちた。
「……あ……が……」
クレマンティーヌは何か喋ろうとしている様だが、真面に喋る事が出来ないようだ。
「ふむ、我ながら完璧なタイミングだ。本来なら麻痺に遅延は必要ないのだがな、この世界での練習も必要だからな。どうだ、私の遅延魔法のタイミングは?ちょっとしたものだろう?」
モモンガが自慢気に語るが、クレマンティーヌにはモモンガが何を言っているのか、自身の身に何が起きているのかまるで理解できなかった。
「さて、後はブリタさんの方が片付くのを待つか。あのハゲは結構良い経験値になりそうだ。<
モモンガは鎧を纏った後、リイジーを拾い上げクレマンティーヌの近くに降ろすと、ポーションを振りかけブリタの戦いを観戦することにした。
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モモンガがクレマンティーヌの肩に触れようとすると、かつてのギルメンの声が聞こえた気がした。
『モモンガさん、垢BANの検証をするなら今ですよ!ほら、ぐわしっと揉んじゃいましょう!!』
モモンガは懐かしい気持ちになり、ふっと笑う。
(ちょっと黙りましょうか、エロ鳥さん……)
モモンガは黙ってクレマンティーヌの肩に手を置いた。
鳥)結局手を出さないんですねモモンガさん、さてチキンは一体どちらでしょうね?
骨)本当にちょっと黙ろうな!