ブリタは終始スケリトル・ドラゴンを圧倒していた。習得したばかりの<能力超向上>の武技はかなり優秀な様だ。その剛剣はスケリトル・ドラゴンを吹き飛ばし着実にダメージを与えていく。
「おのれ……流石にクレマンティーヌが手を焼くだけの事はある。支援魔法で能力を底上げしたスケリトル・ドラゴンを圧倒するとは。……仕方があるまい。死の宝珠よ!」
かじっちゃんが宝珠を掲げると、更にもう一体のスケリトル・ドラゴンが現れた。
二体のスケリトル・ドラゴンが同時にブリタに襲い掛かる。3メートルは有ろうかというその巨躯から繰り出される一撃がブリタに命中し、その体が吹き飛んだ。
「おお……!」
勝利を確信したかじっちゃんが思わず声を漏らすが、土煙から現れた彼女は無傷だった。
「なに?!」
「ふぅ……今のはこの鎧が無いとやばかったかもね」
「お、お主何者だ!どうやって今の攻撃を耐えた!?」
「ただの冒険者よ。さっきも言ったけどダメージを受けなかったのは防具のおかげで、別に私が凄いわけじゃないわよ?」
ブリタはパンパンと鎧についた土埃を払うと戦闘を再開した。ブリタはあっという間に二体のスケリトル・ドラゴンを倒すとかじっちゃんとの距離を詰めた。
「ば・馬鹿な……この儂が5年を掛けて作り上げた努力の結晶が、この僅かな時間で崩壊するというのか……」
「知らないわよ。その努力を別の事に使えば大成したかもね」
ブリタが大剣を振り下ろし、一撃のもとに戦いは終了した。
「お疲れ様です」
モモンガがブリタに歩み寄る。
「そっちはいつの間に終わったのよ?全く分からなかったけど。ところでその女どうするの?」
ブリタは倒れてピクピクと痙攣しているクレマンティーヌを顎で指した。
「連れて帰ってブリタさんの武技の指導をさせようかと思いまして。誘拐の首謀者としてはそっちのかじっちゃんとかいうヤツの死体を差し出せば良いでしょう」
「そいつが素直にいう事を聞くとは思えないけど?それと、さっきのハゲ、流石にかじっちゃんは本名じゃないと思うわよ?」
「それは分かりますけど、本名知りませんし。かじっちゃんで良くないですか?」
「まぁ、別に何でも良いけどね。そのクレマンティーヌだっけ?その女を【漆黒の剣】に何て説明するのよ?」
モモンガは少し考えてから答えた。
「一旦、カルネ村の外れにでも置いて来ましょう。問題がひと段落したら回収する……いや、いっそのことトブの大森林内に拠点を作るのもありだな」
「クレマンティーヌに掛けてる魔法が切れたらカルネ村の人たちが危ないんじゃない?」
「そうですね……何か拘束するのに良いマジックアイテムはあったかな……」
モモンガはインベントリから縄の様なアイテムを取り出すと、それをクレマンティーヌの方に放り投げた。すると縄はひとりでに動きクレマンティーヌを拘束した。そのクレマンティーを担ぎ上げたモモンガはいつの間にか鎧を解除しており、魔法でゲートを作ると、そこにクレマンティーヌを放り込んだ。ゲートを閉じると再び鎧を着る。
「さて、それじゃ【漆黒の剣】と合流しましょうか」
「そうね。あ、帰りはリイジーさんは私が担ぐわ。モモンガは荷物みたい担ぐから見ていて忍びないのよ」
「そうですか?」
こうして二人は霊廟を離れた。本名も知らぬかじっちゃんと、存在を忘れられた死の宝珠を置き去りにして。
鳥)縄が勝手に拘束……それは亀甲縛りですか?
骨)俺のイマジナリーエロ鳥、こんなのばっかだな。