ブリタさん可愛がり   作:ミソカッスン

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31話・グリーン・シークレット・ハウス

 トブの大森林内に設置する拠点は元々ハムスケが巣として使っていた洞穴の近くに決まった。ハムスケが森を出た事により東に流れたモンスターたちが徐々に戻ってきているらしく、以前来た時よりもモンスターの姿が多かったので、カルネ村の防衛の事も考慮しカルネ村に近く、かつ人が滅多に足を踏み入れない程度には深い場所としてこの場所が上がった。

 目的の場所に着くとモモンガはインベントリに手を突っ込む。それを見たクレマンティーヌが一瞬肩を震わす。ブリタは流石になれたのか、今では動じることはなかった。モモンガがインベントリから引っ張り出したのはコテージのミニチュアの様なアイテムだった。

 

 「モモンガ、それは?」

 

 ブリタが訊ねると、モモンガはそのミニチュアを地面に放り投げながら答えた。

 

 「グリーン・シークレット・ハウス、拠点制作系のアイテムの一つです」

 

 地面に着地したそのミニチュアは途端に大きくなり、人が入れる程の大きさになった。

 

 「うわ!」

 

 ブリタが驚いて一歩下がる。

 

 「これはマジックアイテムなので、中は外見よりずっと広いですよ」

 

 「いや、外見も結構広いけど……」

 

 「そんなことより、さぁ、二人とも中に入ってください」

 

 ブリタとクレマンティーヌが恐る恐るコテージの中に入ると、そこはモモンガの言うとり外観からは想像もつかない程に広かった。

 

 「ひっろ……」

 

 ブリタが思わず声を漏らす。クレマンティーヌは声こそ出さないが驚愕で目を見開いていた。コテージは入ってすぐに広間が広がっており、壁にはバランスよく幾つかの扉が配置されている。ブリタが幾つかの扉を開け中を確認しはしゃいでいる。

 

 「うわ、何あのベッド。貴族でも泊まるの?それにあの天上のランプ?あれもどうなってるの、マジックアイテム?それぞれの部屋に箪笥と机も付いてる……作りはどの部屋も同じなのね。ちょっとモモンガ!エ・ランテルの安宿何て引き払って私たちもこっちで寝泊まりしましょう!」

 

 ブリタがはしゃいでコテージの中を見て回るのをクレマンティーヌも部屋を確認したくてウズウズしている様だったか、モモンガの手前勝手に動く訳にはいかずじっとしている。

 

 「活動拠点を移すかはともかく、二人とも部屋を決めてください。グリーン・シークレット・ハウスには手を加えていないので初期設定のシンプルなレイアウトのままですね。好きにいじって良いですよ」

 

 「やった!それじゃ私ここね!一番右端!」

 

 ブリタはさっさと部屋の中に入ると、ベッドにダイブした。

 

 「うわ!なにこの寝心地!弾むしふかふか!!たまんなーいっ」

 

 部屋の中からブリタのはしゃぐ声が聞こえる。モモンガがその声に満足していると、クレマンティーヌが動いていない事に気が付いた。

 

 「どうしたクレマンティーヌ?お前も早く選ぶが良い」

 

 「私も部屋を頂いて宜しいのでしょうか?」

 

 「ん?当たり前だ。そもそもこの拠点はお前の為に設置したのだしな」

 

 「…ありがとうございます。これだけのマジックアイテムの一室を貸与して頂けるとは。この御恩に報いるべく、今後も誠心誠意、御身にお仕えさせて頂きます」

 

 オーバーだなと思いつつもモモンガはその言葉を受け入れる。

 

 「うむ。お前の知識と能力(まだブリタが使えない武技を使えるという点で)には期待している。今後も励んでくれ」

 

 「はっ!」

 

 一連のやり取りの後、クレマンティーヌは左端の部屋、モモンガは中央の部屋という事に決定した。

 

 「ねぇ、モモンガ。この部屋の中にある小さな部屋みたいなのは何?あと、このボタンがいっぱいついたトイレの使い方教えてくれる?」

 

 このコテージには各部屋にスチーム風呂とトイレが設置してある。ゲームだった頃は只の飾りだったが、この世界ではどちらも機能するらしい。

 

 「その箱はスチーム風呂と言って、裸でその中に入り、スイッチを押すと自動で体を綺麗にしてくれる場所です。トイレは―――」

 

 モモンガは風呂とトイレの使い方を説明した。排水管の工事もしていないのに水に押し出されるように消える排泄物が何処に消えているのか、それはモモンガにも分からない。魔法的な何かでどうにかしているんだろうと、モモンガは深くは考えないようにした。

 

 「あー、こんなの知っちゃったらもうあんな安宿に戻れない!絶対こっちに拠点を移しましょう!いいでしょモモンガ?」

 

 「まぁ、私は構いませんが。カルネ村には冒険者組合はありませんし、エ・ランテルの宿に入ったあと、毎回転移門(ゲート)の魔法でこちらに来るって感じになりますかね」

 

 「ソレで良いわ!!ありがと、モモンガ!!」

 

 ブリタは部屋に常備されていた枕を抱きかかえてクルクルと回って喜んでいる。睡眠をとることの出来ないモモンガとしては安宿で十分なのだが、ブリタの喜び様を見て、転移門(ゲート)分の魔法力ぐらいケチらない事に決めた。

 

 

 




 「うーん、どうしたものか……」

 モモンガはグリーン・シークレット・ハウスの広間に様々な防具系マジックアイテムを並べて唸っていた。
 それを目撃したブリタが声を掛ける。

 「どうしたの、モモンガ?」

 「あ、ブリタさん。まだ寝てなかったんですね。いや、実はクレマンティーヌの装備に迷ってまして」

 「クレマンティーヌの装備?」

 「そうなんです。アイツに今の鎧の代わりに装備を渡すって言ったものの、人種、それもレベル制限の低いもの、又は無いものとなるとかなり限られてて、碌なものが無いんですよね。ブリタさんの鎧もたまたま持っていただけですし……」

 モモンガの話を聞いて、ブリタは並べられたマジックアイテムに視線を移した。そこには到底防具とは言えないようなものが並べられている。

 「何……これ?」

 「右から、水着イベント限定のビキニ、夏祭りイベント限定の着物、ハロウィーンイベント限定のゴスロリドレス&パンプキンヘッド、クリスマスイベント限定ミニスカサンタ服、入学式シーズンイベント限定のセーラー服、スポーツの秋イベント限定体操服ブルマタイプ、このナース服とスク水は何のイベントだったか、最後にカジノの景品のバニーガールセットです。これらは人種の女性ならレベル制限なしに着られる装備です。殆ど防御力何て無いにぎやかし用アイテムですが」

 「何かどれも露出が多いわね。なんでこんなの持ってるのよ?やっぱりモモンガって変態なんじゃ……」

 ブリタがじとりとした目でモモンガに疑いを向ける。

 「止めてくださいよ。どれもイベント限定アイテムだから捨てられなかっただけです。言わばコレクターズ魂ってやつなので他意はありません」

 結局クレマンティーヌの装備はブリタのレベルが上がり【見習い戦乙女セット】以上の装備が出来るようになったら【見習い戦乙女セット】をおさがりでクレマンティーヌに回す、それまではエ・ランテルで適当な装備を買って装備させておくことに決まった。


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