ブリタさん可愛がり   作:ミソカッスン

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34話・霜の竜(フロスト・ドラゴン)(対峙)

 「<全体飛行(マス・フライ)>」

 

 モモンガが魔法を唱えるとモモンガとブリタの体が浮かび上がり、その高度はドンドンと上がっていく。

 

 「おお!本当に浮いた、コレで上から入るのねって……高い高い高い!!こわいこわいこわい!!」

 

 ブリタは必死にモモンガにしがみ付く。

 

 「心配しなくても落ちたりしませんよ」

 

 「無理無理無理!死ぬ―!!」

 

 「ははは、大袈裟だなぁ。それじゃ行きますよ」

 

 モモンガはスピードを上げ霜の竜(フロスト・ドラゴン)が根城にしている城に一直線に向かった。

 

 「おっきゃあああああああ!!」

 

 ブリタには叫びながらモモンガにしがみ付く事しか出来なかった。

 暫く空の旅を楽しんだモモンガが満足して目的地に着地する。その頃にはブリタはぐったりとして一言も発さなくなっていた。

 

 「ブリタさん大丈夫ですか?」

 

 「だ……」

 

 「だ?」

 

 「大丈夫じゃないわよ!ちょっとちびっちゃったじゃない!どうしてくれんのよ!!」

 

 「えー……」

 

 モモンガはスッとブリタから距離を取る。

 

 「なんで引いてんのよ!アンタのせいでしょうが!!」

 

 二人がドラゴンたちのいる部屋の前で騒いでいると扉の奥から声が響いた。

 

 『なんだ、騒々しい。俺の部屋の前で騒いでいる不届き者は誰だ』

 

 普通の者なら心胆寒からしめるその声は、だけど【鉄の闘志】を恐れさせることは無かった。

 

 「ほら、ブリタさんが騒ぐからバレちゃったじゃないですかぁ」

 

 「正面から乗り込むつもりでいたのにバレるも何もないでしょーが!!」

 

 今にも胸倉を掴んできそうなブリタを他所にモモンガはドラゴンたちが待つ部屋の扉に向かう。

 

 「ほらいつまでも漫才してないで早く行きましょう」

 

 「漫才って何よ……あ、ちょっと待ちなさいよ」

 

 ブリタが近づいてくるのを確認し、モモンガは扉を開いた。

 

 「たのもーっ」

 

 モモンガが扉を開くと、4体の霜の竜(フロスト・ドラゴン)の視線が二人に突き刺さった。

 

 『スケルトンと……人間?ネクロマンサーというやつか?』

 

 意外な言葉にモモンガが手を打った。

 

 「なるほど、その手があったか。ネクロマンサー役を用意すれば態々鎧を着なくても街中を歩けるのでは?」

 

 モモンガの間の抜けた提案にブリタは額を抑え首を横に振った。

 

 「何処にアンタみたいなアンデットを連れたネクロマンサーがいるのよ。ってか、四六時中アンデットを連れまわしているネクロマンサーなんかいないわよ」

 

 ブリタに提案を却下されたモモンガはがっくりと肩を落とす。

 

 「所詮トカゲのアイデアか……」

 

 『トカゲ……だと』

 

 ドラゴンの表情は分からないが、その言葉には怒気が含まれているように感じる。

 

 『この俺をトカゲ呼ばわりして生きて帰れると思う……ん?』

 

 ドラゴンは言葉の途中である事に気が付いた。ドラゴンの知覚がスケルトンの纏う法衣が、あるいはアクセサリーがとんでもなく価値のある財宝だと告げてくる。いや、よく見れば後ろの人間も相当な鎧を身に着けている。

 

 『まて、その法衣、それにその鎧はなんだ?』

 

 ドラゴンの嗅覚が財宝を嗅ぎつけたらしい、ドラゴンはモモンガたちの装備に興味深々の様だ。唯一1匹だげ僅かに後ろに下がる。どうやらモモンガたちの存在を警戒しているのはその1匹だけの様だ。

 

 『それほどの財宝は初めて見た。お前の無礼な発言を許して欲しければそれらの装備を俺に献上しろ』

 

 その言葉に応えたのはブリタだった。

 

 「うわ、いきなり脱がそうとするなんて、モモンガ並みの変態ね!」

 

 「クレマンティーヌの時の事を言ってます?というかさっきの事根に持ってますね」

 

 二人の陽気な会話にドラゴンは青筋を立て声を荒げる。

 

 『トカゲの次は変態呼ばわりとは……お前たちは今唯一生き残る道を捨てたのだ。お前たちを殺してその装備を奪ってやる!』

 

 ドラゴンは吠えモモンガにその爪を振り下ろした。モモンガは後ろに跳んでそれを避ける。

 

 「それじゃあブリタさん頑張って下さい」

 

 「本当、気軽に言ってくれるわね」

 

 モモンガに指名されたブリタは一歩前に出て槍を構えた。

 

 

 




 久しぶりにブリタさんに「おっきゃあああああ」って言って欲しかった。
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