「れべる上げもいいけど、先にドラゴンと巨人の討伐証明部位を換金しにエ・ランテルに行かない?」
モモンガがブリタにレベル上げに関する要望を聞いたところ返ってきた返事がこれであった。
「ああ、それもそうですね。ドラゴンたちの魔獣登録もありますしね。そう言えば結局討伐証明部位ってどの部分か確認もしてないですね」
「全部持ってるんだから大丈夫よ。受付で聞きましょ」
「そうですね。今回は転移門は控えて徒歩で向かいましょうか。ブリタさんはハムスケに乗って行きますか?それともドラゴ「ハムスケに乗って行くわ」ン……」
モモンガの言葉を遮ってブリタが即答する。余程空の旅は避けたいらしい。
「はは、了解です。では私はキーリストランに乗せてもらうとします。クレマンティーヌ、お前は今回も留守番だ」
「はっ」
こうして【鉄の闘志】はエ・ランテルに向かった。
【鉄の闘志】がエ・ランテルに到着すると関所に並ぶ人々の列は阿鼻叫喚の騒ぎになった。伝承などに登場しないハムスケと違って、ドラゴンは数々の伝説が残されている。そのドラゴンが突如2匹も現れたのだ。冷静でいられる人間など極少数だろう。
騒ぎを聞きつけた憲兵たちが駆けつけるがその表情からは怯えが窺え、腰は完全に引けてしまっている。しかし駆けつけた憲兵は見知った魔獣を見つけ安堵の息を漏らした。森の賢王ことハムスケは魔獣登録されており、その背には銀級冒険者チーム【鉄の闘志】のブリタが跨っていた。そして、改めてドラゴンを見やると片方のドラゴンの背には鎧姿の人影があった。憲兵はとりあえず近くのブリタの方に声を掛ける。
「【鉄の闘志】のブリタさんですね?あのドラゴンたちはいったい……」
「あら、私の名前を知ってるのね。あのドラゴンたちは【鉄の闘志】支配下にあるから心配しないで、今から冒険者組合に魔獣登録しに行くところよ」
「なんと?!ドラゴンを使役していらっしゃるのか?!」
「ええ、まぁ。ほら、モモンガ!いつまでも飛んでないで説明しに降りて来なさいよ!」
ブリタが空にいるモモンガに声を張り上げる。
「了解です!キーリストン、へジンマール。着地しろ」
『『はっ』』
2匹はゆっくりと高度を下げて、憲兵たちの眼前に着地した。憲兵たちはまじかに見るドラゴンに改めて息をのむ。
「我々は【鉄の闘志】という冒険者チームだ。このドラゴンは冒険者組合で魔獣登録するために連れて来た。何か問題はあるか?」
事前にブリタに聞かされた説明を改めてされ、圧倒されていた憲兵たちは我に戻った。
「い、いえ。ただ流石にドラゴン並ばれると他の者たちが不安になります。列に並んでいただかなくて構いませんので我々に付いて来てもらえますか?」
「並ばないで良いのならコチラも助かる。ブリタさんもそれで良いですか?」
「良いも何も、選択肢何て無いでしょ」
【鉄の闘志】は城壁の中にある小さな部屋に通され、そこで幾つかの質問され、ドラゴンたちは外で質問を受ける。質問は10項目程度で終わり、【鉄の闘志】とドラゴン、そしてハムスケは無事に通された。
冒険者組合に着くとそれはもう大騒ぎだった。受付でドラゴンたちの魔獣登録を頼むと受付嬢は大慌てで組合長であるアインザックを呼びに行き、【鉄の闘志】は直ぐに組合長室に通された。アインザックに事情を説明し、冒険者組合の建物の前に待たせていたドラゴンたちの元に連れて行くと彼は年甲斐も無く大はしゃぎを始めた。ひとしきり騒ぐと漸く魔獣登録に進み、その祭に
またこの功績を評価され、【鉄の闘志】いっきにオリハルコン級チームに昇格する事が決定した。本来ならアダマンタイト級に昇格させたかったが実績が少ないので周りからの難癖が付いたとはアインザックの話だ。
結局一切の収入が無かったモモンガたちはいつもの安宿をとる事になった。ドラゴンやハムスケを連れて行けば流石に断られるかと思った二人だったが、すんなりとOKが取れた。とはいえ魔獣たちは宿の外で寝るわけだが。宿屋の主人曰く「箔が付く」との事だった。【鉄の闘志】は部屋に入ると直ぐに転移門を開き拠点に戻った。