エ・ランテルでの活動二日目、とは言っても転移の魔法でトブの大森林にある拠点で寝泊まりしているわけだが、それは兎も角、【鉄の闘志】の二人は小遣い稼ぎの為に何か手ごろな依頼はないかと冒険者組合で依頼書の確認をしていた。そんな中、モモンガは気になる依頼書を発見する。
「ん?傭兵団【死を撒く剣団】の討伐?」
依頼書を確認すると、【死を撒く剣団】は戦争の時期のみ戦争に出て金を稼ぐが、それ以外の時期は野盗に成り下がるらしい。それが目に余り冒険者組合に討伐の依頼が来たという事だった。モモンガはそんな傭兵団に心当たりがあった。
(これはもしや、クレマンティーヌの資料にあったブレイン・アングラウスという戦士が所属しているという傭兵団か?クレマンティーヌに確認を取ってみるか)
モモンガはクレマンティーヌと連絡を取るため、
「<
カチリとモモンガの頭の中で誰かと糸が繋がるような感覚を感じる。
『クレマンティーヌ、私だ。聞こえるか?』
『んひゃ!!モ、モモンガ様ですか?』
モモンガの脳内にかなり驚いた様子のクレマンティーにの声が響く。
『そうだ、お前に確認したい事があってな。今大丈夫か?』
『大丈夫です。ですが、
『何?それはどういう意味だ?』
『はっ、実は―――』
クレマンティーヌが言うには、かつてこの世界では
『良く分からんな。直接会話出来るのだぞ?手紙や人を挟む伝言や言伝などより余程信憑性が高いと思うが、この魔法の何処に虚偽情報が挟まる隙があるのだ?』
『……モモンガ様は今エ・ランテルでしょうか?』
『ん?そうだが』
『本来この距離ですと
『なるほど……しかし、私が直接お前に
『申し訳ございません、モモンガ様。私にはモモンガ様が本人である確証が持てないのです』
『なるほどな……私たちも合言葉でも決めておくか?まぁ、それは後日考えよう。今回は別に他者に聞かれても問題の無い様な質問だ。お前が他者に聞かれたらまずいと思ったなら質問に応えなくとも良い』
『そういう事でしたら畏まりました。それで、質問とは何でしょうか?』
『お前の資料に書いてあったブレイン・アングラウスという戦士がいる傭兵団の名前は【死を撒く剣団】であっているか?』
『はい、間違いありません。ブレイン・アングラウスは【死を撒く剣団】という傭兵団で、用心棒の様な事をしているはずです』
『そうか、分かった。突然済まなかったな。要件は以上だ。それではな』
『はっ』
モモンガは
「ブリタさん、この依頼を受けませんか?」
ブリタはモモンガから依頼書を受け取ると、その内容に目を通す。
「野党化した傭兵団の討伐?別に構わないけど、何でこの依頼なのよ?」
「実はですね―――」
モモンガはクレマンティーヌから得た情報を出来るだけ詳細にクレマンティーに語った。
「へぇ、あのブレイン・アングラウスが野盗になってるとは、世の中分からないものね」
「ブレインという男をご存じなんですか?」
「有名人だもの。かの王国戦士長と互角の戦いをした戦士としてね」
「なるほど、ところでそんな男なら有用な武技を習得している可能性が高いと思いませんか?」
ブリタは少し考えてから頷く。
「相手が野盗だって言うなら遠慮もいらないものね。いっちょボコボコにして根性叩き治してやりましょう……って、私だいぶモモンガに毒されているわね。相手は王国戦士長と同等の戦士だっていうのに」
「自分の実力に自信を持てるのは良い傾向では?では、この依頼を受けるという事で宜しいですね?」
「ええ、良いわよ」
ブリタの了承を確認し、モモンガは依頼書を受付に持って行った。