「まさか、四光連斬まで習得していたなんて……」
ブリタとブレインの戦いを観戦していたクレマンティーヌがポツリと漏らしたそんな言葉をモモンガが拾う。
「四光連斬……たしかガゼフ・ストロノーフが六光連斬という武技を使っていたな。有名な武技なのか?」
「有名と言えば有名ですが、それはガゼフが生み出し得意としている武技としてです。ガゼフ以外に使えるものは居ないと言われておりましたが……」
言葉を途中で濁し、クレマンティーヌの視線はブレインを捉える。モモンガもそこまで聞けば続きは用意に想像出来た。
「先ほどの領域なる武技もガゼフを倒すべく生み出したと言っていたな。なるほど、凄い執念だな」
「さらに、その後に放った神閃も、聞いた事のない武技でした。恐らくあれも奴のオリジナルでは無いかと思われます」
「なるほど、オリジナル武技を2つも扱う上に、人のオリジナル武技まで模倣出来るのか。これは是非にブリタさんを手ほどきさせたいな」
そんな呑気な会話が耳に入ったブリタは軽くため息を吐くと、頭を振って邪念を払う。今は余計な事を考えている余裕は無いと、気合を入れなおし眼前の敵に集中した。すると、ブリタの脳裏に先ほどブレインが使った四光連斬という武技の残像が浮かび上がった。そして、自分にもその武技が放てるという感覚を覚えた。ブリタは自分が四光連斬を放つ姿をイメージする。それは自分でも信じられないほどはっきりとイメージ出来た。しかし、そのイメージの自分が扱っていたのは槍ではなく大剣であった。大剣ならば、間違いなく使える、ブリタはそう確信した。
「モモンガ、ちょっと武器を変えたいんだけど、前に貸して貰ってた大剣を出してくれる?」
ブリタはブレインから視線を外すことなくモモンガにそう頼んだ。頼まれたモモンガは理由も聞かずとりあえず大剣をインベントリから取り出してブリタに近づくと手渡しで武器を交換する。
「おいおい、慣れている上に有利な武器を交換するのか?あまり俺を舐めるなよ!」
ブレインが怒気を込めて吠えるが、ブリタはそれを受け流し、大剣に意識を集中する。先ほど明確に見えた、自身が四光連斬を放つ姿は明確なままだが、その奥にかつて見たガゼフの姿がブレて重なる。イメージのガゼフが放つのは6つの光の筋。大剣を振るいそれを放つガゼフのイメージが自分の姿に変わる。その瞬間ブリタの中でカチリと音がした。
「<四光連斬>!」
意識を集中しているブリタに、ブレインは渾身の力を込めた四光連斬を放った。4つの光の筋は凄まじい速さでブリタに襲い掛かるが、その光がブリタに届く前に、彼女も武技を放った。
「<六光連斬>!!」
「なにっ?!」
ブレインの驚愕と共に彼が放った4つの光は、ブリタが放った6つの光に飲まれて消えた。そしてその6つの光はそのままブレインを襲う。ブレインの正確無比なそれと違い、ブリタの六光連斬は荒れ狂う防風の様に散らばり、6つの内2つは外れたが、残り4つの光がブレインを直撃し、それはブレインを吹き飛ばし壁に叩きつけた。
「ぐはっ!!」
ブレインは瀕死のダメージを負い、その場に倒れた。死なずに済んだのは彼が放った四光連斬がブリタの六光連斬の威力を半減させたおかげだろう。
「ふぅーーーー……」
ブリタは興奮する自身を落ち着かせる様に、深く息を吐いた。