ブレインは息はしているものの絶え絶えと言った感じだ。死なれては勿体ないとモモンガはユグドラシルポーションをブレインに振りかけた。レベル30程度ならこれで全快するはずだ。そのはずだった。しかし、確かに回復はしたものの、傷は各所に残っており完全には回復しきれていないのは目に見えて明らかだった。
「なんだと……」
その現状にモモンガは首を傾げる。そして、ブレインが装備していた刀に注目した。ユグドラシルでは刀を装備出来る職業はかなり限られていた。そしてその全てが上級職だった。その中でも侍はHPが高い。もし侍としてのHPボーナスが入っているなら、ブレインの傷がポーションで全快しなかったのも頷ける。しかし、上級職である侍は最低でもレベル45は必要な筈だ。ブレインがそのレベルに到達している様には思えない。
モモンガが導きだした答えは、この世界の人間は条件をクリアしていなくても上級職を習得出来るのではという考えだった。
(しまった……もしそんな事が可能なら、ブリタさんの職業ビルドを完全に間違った。刀や大盾、なんなら銃を装備させてみるべきだった。装備出来ないと思い込んでいたな。今からでも遅くないか?とりあえず拠点に戻ったら刀を装備してみてもらうか)
モモンガはそんな事を考えながら、ブレインを掴み上げ開いた転移門に放り投げた。その後クレマンティーヌに、彼女を縛ったのと同じマジックアイテムを手渡して縛った後にブレインに拠点に連れて来た理由を説明し、その後は監視しておくように命じた。
クレマンティーヌが転移門を潜ったのを確認するとモモンガは転移門を閉じ、鎧を身に纏った。そして冒険者組合で見せられた手配書と同じ顔の野党の頭目の首を切り落とし麻袋に入れると、それを組合に提出する為にエ・ランテルを目指した。
道中、モモンガはブリタに刀や大盾や銃を装備してみて貰ったが、刀は装備出来たが大盾と銃は装備出来なかった。恐らく適正によるものだろうと判断したモモンガは取りあえずブリタの槍を刀に交換した。これで侍の職業を習得出来るならかなり大きくHPと攻撃力に補正を掛けることが出来る。しかし、スキルを習得出来ないこの世界では侍の恩恵はさほど大きくはない。今後は格闘系の職業も上げることを視野に入れるべきだなと、インベントリにある装備を頭の中で整理しつつ歩みを進めた。
エ・ランテルに到着した【鉄の闘志】は直ぐに冒険者組合に状況を報告し、残った死体は組合から調査員が派遣された。頭目の首だけは持ってきていた為、その分の報奨金を受け取ると、【死を撒く剣団】壊滅の報酬は後日となったので、モモンガたちは組合を出て常宿にしている安宿に向かった。
安宿に戻ると、部屋の戸を閉めて直ぐにモモンガが鎧を消して転移門を開き拠点へと帰還した。
何となく試験的に「」を減らしてみましたが、ちょっと肌に合わないかもです。多分次回から元に戻します。