「うっ……ここは……?」
ブレインが目を覚ますとそこには見慣れぬ天上があった。身を起そうとすると、手足を拘束されている事に気が付いた。それでも何とか身をよじり上半身を起こすと周囲を確認した。すると自分の近くに金髪の女が座っている事に気が付いた。たしか、自分を倒したブリタと一緒にいた女だ。
「やっほ~、目ぇ~覚めた~?」
「此処は何処だ?」
「此処はね~、トブの大森林内にある【鉄の闘志】と私の拠点だよ~」
「トブの大森林……」
トブの大森林、ブレインの記憶では相当強いモンスターが闊歩する森だったはずだ。何故態々そんな場所に拠点を設けるのか。かつて傭兵もどきの野党に身を窶した自分としては、後ろ暗い事があるとしか思えなかった。
「それで、何で俺はお前らの拠点に連れてこられたんだ?冒険者組合に差し出されると思ったんだがな」
「んふふ~、それはねぇ、アンタにお願いしたい事があるからだよ~」
金髪の女は何が楽しいのかずっと嗤っている。
「お願い?何だ?」
「アンタにブリタの武技の指導をお願いしたいんだよね~」
「…………は?」
ブレインはその言葉の意味が分からなかった。自分より強い相手に、それも自分の放った四光連斬を凌駕する武技を放った相手に、一体何を教えろというのか。
「意味が分からん。俺はそのブリタに負けたんだぞ?」
「まぁ、そうなんだけどねぇ。アンタの領域とか神閃とかいうオリジナル武技にモモンガ様は大層興味を持ったみたいでねぇ。その武技と、出来ればオリジナル武技を生み出すコツとか教えてあげてくれる?おねぇさんからのお・ね・が・い」
「………」
金髪の女のふざけた口調を無視して、ブレインはブリタの姿を思い浮かべた。金髪の女の言葉から推測するに、ブリタはオリジナル武技を持っていないのだろう。だとすれば、ブリタが最後に見せた六光連斬はブリタのオリジナル武技では無いという事になる。アレがブリタのオリジナルでは無いのだとすれば…
ブレインはその答えを求めた。直接ブリタに会って本人の口から聞きたいと願った。その答えは予測出来ているのにも関わらずに。
「分かった……ブリタに俺の武技を伝授しよう」
「え?」
予想外の答えに金髪の女は呆気にとられる。
「良いの?自分が必死に生み出した武技を簡単に人に教える何て」
「構わんさ。人に教えたところで俺が弱くなるわけでも無いしな」
「ふぅ~ん……」
金髪の女はそれ以上何も言わなかった。
少しの間沈黙が流れる。続く沈黙に耐え切れずブレインが金髪の女に質問を投げかけようとした時、女の後ろに闇が広がった。そして、その闇の中から高価そうな法衣に身を包んだアンデットと、あのブリタという冒険者が姿を現した。