「私は各地を旅して回っていたのですが、旅の途中とあるマジックアイテムを入手いたしまして。それをリ・エスティーゼ王国のエ・ランテルという街で鑑定して貰ったところ。かなりの価値があるマジックアイテムだと判明したのです。それがこちらです」
そう言ってモモンガが取り出したのは水晶だった。
「これは?」
「これは魔封じの水晶というマジックアイテムで、中に一つだけ魔法を封じて置けるというアイテムだそうです。そして、この中には既に魔法が込められておりました」
「ふむ、それで?」
ジルクニフは話の先を予想しながら、モモンガに続きを促した。
「なんでも、フールーダ様は魔法の深淵を探求しているとか。これはきっとそんなフールーダ様のお役に立てるアイテムでは無いかと思うのです。こちらをフールーダ様にお譲りする代わりに、私たちのお願いを聞いて頂ければ、と思いまして」
「その願いとは何だ?私に仕えればその水晶を手放さずとも叶えられるかも知れんぞ?」
「陛下は魔法がお得意ですか?」
「まさか。しかしフールーダはこの国の人間だぞ?皇帝の私に仕えればフールーダにその願いを言い聞かせることも出来るかも知れんぞ?そうすればその貴重な水晶とやらを手放さずに済むのではないか?」
「何故そこまで遠回りをする必要が?それに私は誰かに仕えるつもりはありませんよ。メリットよりしがらみの方が多そうですし。まぁ、これはあくまで私個人の意見なのでブリタさんの方はどうかは分かりませんが」
モモンガはブリタに視線を送る。つられてジルクニフもブリタの方を見た。
「え、私?」
「ブリタさんにはブリタさんの人生がありますからね。ブリタさんがバハルス帝国の騎士になりたいと言うなら、私は止めませんよ?」
「あ、私もパス……です。元々王国の兵士に志願しなかったのも戦争とか嫌だったからだし……ですし、冒険者になったのも戦争時の徴兵は免除されるからだし、騎士とかそういうのは性に合わないです」
ブリタの拙い敬語に苦笑しつつもジルクニフは了承した。
「了解した。そなたたちを召し抱えるのは諦めよう。それにフールーダに会えるよう手配しておいてやろう」
「それは助かります。ありがとうございます」
「なに、優秀な相手に恩を売っておくのは悪くないのでね。ところで、これは興味本位で聞くのだが、その水晶とやらに封じられているという魔法はどんなものなのだ?」
モモンガは水晶を手に取って懐にしまいながら答えた。
「詳しくは分かりませんでしたが、何でも第7位階の魔法が込められているそうですよ?」