「バジウッド。あの二人の強さお前はどう見た?」
王宮に戻る馬車の中でジルクニフがバジウッドに話しかけた。
この豪華絢爛な王族専用の馬車の中には今現在四人が座っている。ジルクニフと帝国4騎士であるバジウッド、ニンブル。そして秘書官であるロウネ・ヴァミリオンである。ジルクニフはこの中で相手の戦力を見極める事を得意としていそうなバジウッドに先ほどの質問を投げかけた。
「うーん……あのブリタとかいう女は相当ヤバイですね。俺たち4騎士が束になって掛かっても勝てないとおもいやすぜ?ただ、難度150のドラゴンを圧倒出来るかと言われれば疑問があります。まぁ、人類最強の戦士ではあるんじゃないですかね?」
「なるほど……それでは、モモンガという鎧の男の方はどうだ?」
「それなんですが――」
バジウッドが言葉の続きを言い淀む。
「何だ?もったいぶらずに早く話せ」
ジルクニフに促されバジウッドが話の続きをする。
「弱い……と思いますぜ?俺たち4騎士どころか、一般の兵士並み、いやそれ以下だな。王国の民兵と同レベルかもって感じだな」
「なに?」
バジウッドの意見を聞き、ジルクニフは顎に手を当て考える。モモンガが嘘を言っている気配は無かった。だがバジウッドはそんなモモンガを一兵卒以下だと評した。これは一体どういうことか。ジルクニフの脳裏に一つの可能性が過る。
「バジウッド、お前から見てフールーダはお前たちに4騎士が束になって戦えば勝てる相手か?」
ジルクニフの質問の意図が分からないバジウッドは取りあえず正直に答えた。
「無理じゃないですかい?正直魔法詠唱者の強さってのはピンとこな……まさか陛下」
「うむ、モモンガとかいう男、あの恰好はカモフラージュで実は魔法詠唱者なのではないか?」
「それはどうでしょう」
ニンブルが会話に加わる。
「事前に調べさせた情報によると、モモンガは腰に下げていた剣でオーガを真っ二つに切り裂いたことがあるとの情報もあります。今回に限ってはバジウッドの相手の力量を見る目が無かった可能性もあります」
「あ~……その情報が確かなら、確かに俺の目が曇ってることになるな。なにせ王国の民兵にも帝国の一般兵にもオーガを真っ二つにするなんて芸当出来るはずねぇ」
「ニンブル、その情報の信憑性はどの程度だ?」
「冒険者組合を通じてのものですからかなり高い信憑性があるかと」
「ふむ……」
「あの、陛下」
ここで今まで沈黙していたロウネが発言した。
「何だ?」
「モモンガが魔法詠唱者ならばフールーダ様のタレントで判別がつくのでは?」
ロウネの意見にジルクニフは苦虫を噛みつぶしたような顔をした。
「それはそうなのだがな。万が一モモンガが難度150のドラゴンを圧倒出来るほどの魔法詠唱者だった場合、かなり面倒な事になるぞ」
自身を超える魔法詠唱者を前にテンションを爆上げさせる法国一の魔法詠唱者を幻視し、ジルクニフは眉間の皺をさらに深めた。
(くそ、余計な約束をしてしまったな。こうなれば何かしら理由を付けて二人が合うのを妨害するか?いや、それは悪手だな。下手をすれば法国はフールーダという切り札を失う事にすらなりかねん。頼むから私の思い過ごしであってくれよ)
第7位階の魔法が封じ込められたマジックアイテムを自身の計らいで入手出来ればフールーダの心象も良いかと思ったが、今となっては簡単にフールーダとモモンガの面会を許可したのは不味かったかと、ため息を吐いた。