ブリタさん可愛がり   作:ミソカッスン

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57話・アンデットの自然発生のメカニズムの解明、及び、スケルトンを利用した人手不足の解消、それに伴う相乗効果の研究

 「実は私はとある研究をしておりまして、その研究に魔法省の力を貸して頂きたいのです」

 

 「研究?ふむ、それは一体どんな研究なのだ?」

 

 「はい、それは……スケルトンを利用した人手不足の解消です」

 

 モモンガの研究内容にフールーダの眉がピクリと動く。それは、魔法省が密かに行っている研究の内容と類似していたからだ。その研究は、魔法省の中でも限られた者にしか知られていない。万が一外部に漏れたら少々厄介な事になるからだ。特に神殿勢力や聖王国など、口うるさく苦情を入れてくるだろう。もしや、その研究の事を知られているのか?そう思いフールーダは鋭い視線でモモンガを観察する。が、ヘルムのせいでその表情は読み取れない。そうしていると魔法省の研究の事など知る由も無いニンブルが口を挟んだ。

 

 「それはかなり危険な研究ですね。そんな研究が神殿勢力の者たちの耳に届けば糾弾は免れませんよ?」

 

 「あら、流石は魔法省。壁のシミが喋るのね」

 

 ブリタの痛烈な皮肉に、ニンブルが顔を引きつらせる。

 

 「ニンブル殿の言う通りです。ですから見つからないように行いたいのです。その為に魔法省の力を借りたいのです。主に、人手と場所を提供して頂けると助かります。例えば、魔法省の地下などで研究、実験をすれば神殿勢力の耳に入る可能性は低いのではないですか?」

 

 そんなモモンガの言葉にフールーダは確信した。この男は知っている。魔法省が行っているアンデットの実験の事を。ネクロマンサーに従えさせた多くのスケルトンを配置する事で、アンデット発生のメカニズムを解明しようとしている事を。事実、モモンガは事前にマジックアイテムと魔法を駆使し、魔法省の中をのぞき見している。そのためにスケルトンで実験を行っている事を知っていた。

 

 「パラダイン様、この取引は危険です。もしそんな研究を行い、それが外部に漏れれば我が国に対する各国の心象を著しく悪化させてしまいます。引き受けるにしても、陛下に話を通しておくべき案件です」

 

 「ふむ……」

 

 フールーダは髭を扱きながら思案する。アンデットの研究の事は勿論ジルクニフには知らせてあるし、許可も取っている。問題はそこではない。おそらく、モモンガの言葉は脅迫であろう。断ればこの情報が外部に漏れるぞ。暗にそう言っているのが伺える。【鉄の闘志】の真意が分からなぬ異常、安易に引き受けるのは問題があるか?そんな事を考えながら、フールーダはテーブルの上の魔封じの水晶をチラリと見た。

 いや、問題はない筈だ。それがフールーダが出した答えだ。

 元々行っている研究にモモンガたちを参加させるだけなら、手間もかからない。むしろ、モモンガたちを参加させることで行き詰っている研究に進展があるやも知れない。さらには研究の事を知られてしまっている相手を手元に置けば監視もしやすい。どこに問題があろうか?いや、無い。むしろここで相手の話を断る方が問題だ。

 

 「良かろう。魔法省はそなたたちの研究に手を貸そう」

 

 「パラダイン様!!」

 

 「陛下とて同じ判断を下すはずじゃ。ニンブル、お主は今のやり取りを陛下に報告してこい。もし、陛下が儂の判断を覆し、彼らの頼みを断るというのならば、その時は改めて儂自ら陛下を説得しに行くとしよう」

 

 「……畏まりました。ただ、陛下から正式な返答がないうちに、勝手に行動を起こすことはお控え下さい」

 

 「…………………約束しよう」

 

 「その間が不安なんですがっ!?と、兎に角、私は急いで陛下に報告しに行って参りますので、勝手な行動は慎んでください!お願いいたしますよ!!」

 

 怒鳴る様にそう言い捨てて、ジルクニフは速足で退室していった。

 

 (護衛が守るべき者を置いて行ってどうするよ?まぁ、そうしてくれた方が此方としては助かるけど)

 

 ニンブルが退室したのを確認したモモンガは、幾つかのマジックアイテムを使ったのち、自身を覆う魔法で出来た鎧を消したのだった。

 

 

 

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