ブリタさん可愛がり   作:ミソカッスン

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06話・グ

 部屋に戻り鎧を着込んだブリタを確認したモモンガは反対に鎧を消してオーバーバーロードの姿に戻り転移門(ゲート)の魔法を唱えた。すると、二人の前に闇の渦の様な門が現れた。

 

 「さ、行きましょうか」

 

 「これに入るの?というか何で鎧を消したのよ」

 

 「鎧姿のままでは使える魔法が限られるんですよ。そんな事より早く行きましょう」

 

 不気味な雰囲気を醸し出すその門にブリタがしり込みする。

意を決して足を踏み込むと、そこは森の中だった。

 

 「本当に一瞬でトブの大森林に着いたのね」

 

 ブリタがきょろきょろと周辺を確認していると、後からやってきたモモンガが声を掛けて来た。

 

 「目的の場所の近くに転移しました。今のうちにブリタさんにバフを掛けておきましょう」

 

 「ばふ?支援魔法の事ね」

 

 「はい。本来なら幾つも重ね掛けするんですけど、相手がトロールなら魔法耐性を上げる必要もありませんね」

 

 そういうとモモンガはブリタに向かって手をかざした。

 

 「<上位全能力強化(グレーター・フル・ポテンシャル)><上位硬化(グレーター・ハードニング)>」

 

 「うん、力が湧いてくる感じがする」

 

 「それでは、魔法の効果が切れないうちに急いでトロールを殲滅しましょう。トロールの巣はこっちですよ」

 

 「巣?」

 

 モモンガが歩き出し、ブリタがそれに続く。

少し歩くと直ぐに洞窟が見えて来た。

 

 「あそこです。あ、そうだ、ブリタさんは暗視も対策しないとですね。<闇視(ダーク・ヴィジョン)>」

 

 「うわ!急に明るくなった!」

 

 「それなら洞窟の中でも平気ですよ。さぁ、入りましょう」

 

 「う、うん」

 

 モモンガを先頭に二人は洞窟に入っていく。

少し進むとブリタが顔を顰めた。

 

 「凄い臭いね」

 

 「…一瞬ガス溜まりトラップを考えましたが、鏡で確認した限りただ不衛生なだけですね。我慢して進み見ましょう」

 

 「……わかった」

 

 ブリタは出来るだけ呼吸を減らすため口数少なく歩を進めた。

暫く進むとトロールを発見した。数は3体。何やら動物の骨らしき物をかじっている。

 

 「おっ、いたいた。さぁブリタさん、相手は食事中みたいですし、先制攻撃を決めましょう」

 

 モモンガがトロールを指さすとブリタがブンブンと首を振った。

 

 「無理無理無理無理!3体もいるじゃない!トロール何て普通1体でも絶対勝てないのに!」

 

 「その装備と支援魔法があれば余裕ですって、あんまりもたもたしていると魔法が切れちゃいますよ。先ずは不意打ちで数を減らしましょう」

 

 「う、う~……分かったわよ」

 

 ブリタはそろりとトロールに背後から近づくと、その内1体の首もと目掛けて全力で剣を振り下ろした。すると剣はトロールの首をすり抜けるように、いともたやすくトロールの首を切り落とした。

 

 「っへ?」

 

 あまりの手ごたえの無さにブリタは素っ頓狂な声を上げる。

 

 「テ・敵!」

 

 「コイツ!強イ!!」

 

 トロール2体が横に置いていた棍棒を持って立ち上がる。それを見たブリタはバックステップでトロール達から距離を取った。

ブリタは剣を正眼に構え隙なくトロールと対峙した。

 

 「ブリタさん、そんなに警戒しなくても大丈夫ですよ。トロールの攻撃何てダメージ入りませんから。ガンガン攻めましょう」

 

 ブリタの後ろから緊張感の欠片もない声が聞こえてくる。確かにモモンガの言う通り、ブリタの剣はいとも容易くトロールの首を切り落とした。だから防御に関してもモモンガの言う通りダメージは入らないのだろう。だが、トロールの攻撃を受けるという恐怖は並大抵のものでは無い。

 とはいえ、ここでにらみ合いをしている間に支援魔法が切れたら洒落にならない。ブリタは意を決して踏み込んだ。

トロールの棍棒がブリタに向かって振り下ろされる。ブリタはそれを剣で切り裂いた。続けてトロールの体を横なぎに切り払った。トロールの体は真っ二つになり、たったの一撃で絶命してしまった。

 ブリタは休む暇なく残り1体のトロールに突っ込む、トロールは恐怖のあまりブリタに背を向け逃げようとするが、ブリタはトロールの背後から迫ると、ジャンプして首元を狙った。

横なぎに放たれた一撃はまたもトロールの首を切り落とすのに成功した。

 

 「はぁ……はぁ……信じられない。私がこんなに簡単にトロールを3体も倒せるなんて……」

 

 「どうです?強くなった実感ってありますか?」

 

 モモンガに問われてブリタは冷静になって確認してみる。

 

 「……あるわね。間違いなく強くなってる。これがれべるあっぷ」

 

 ブリタは手を開いては握りを繰り返して、体の変化を実感しているよだった。

 

 「それは良かった。さ、残りのトロール達もサクッと倒しましょう!討伐証明部位は帰りに纏めて剥ぎ取りましょう」

 

 「え、ええ。時間を掛けて魔法が解けたら怖いものね。……ところでこの魔法の効果時間ってどのぐらいなの?」

 

 「少なくともまだ切れませんよ。とはいえ念の為に急ぎましょうか」

 

 「う、うん」

 

 モモンガに急かされてブリタは奥を目指す。

進みながら次々とトロールを倒していき、その度にブリタは強くなる実感を感じていた。

 最奥と思しき場所に着いた時にはトロールの経験値では中々レベルが上がらないぐらいには、ブリタは強くなっていた。

 

 「ここが最奥ですね」

 

 「なんか、一際強そうなのがいるわね」

 

 「おそらくボスモンスターですね」

 

 最奥には5体のトロールと一体の大きなトロールがいた。トロール達は既に侵入者に気が付いており、のしのしと歩いて近づいていく。

 

 「お前たチ、ナニ物だ」

 

 他のトロールより、若干悠長な言葉でボストロールが2人に話しかける。

 

 「見てわからないか?侵入者だよ」

 

 「愚か者ドモめ!俺に挑もうと言うのカ!頭からボリボリ食べてヤル!」

 

 「ふむ、喋るだけ時間の無駄なようだな。ブリタさん、サクッとやっちゃって下さい」

 

 「分かったわ」

 

 ブリタが前に出るとボストロールは部下たちに指示を出した。

 

 「ふん、俺が出るまでもナイ!お前たち、ヤれ!」

 

 ボストロールに指示されると5体のトロール達が一斉にブリタに襲い掛かった。その5体すべてを、ブリタは一撃で仕留めていく。

戦いは僅か数秒で終わった。

 

 「オマエ、強いナ!俺に殺されル前に、このグ様に名乗ることを許してヤロウ」

 

 「「ぐ?」」

 

 モモンガとブリタの声が重なる。二人は少しだけ考えて、それがこのボストロールの名前だという事に気が付いた。

 

 「グって名前なのね。私はブリタよ」

 

 「ホウ、やはり強者の名前だ。だがやはり俺ホドでは無いな」

 

 ブリタは首をかしげる。

 

 「どういう意味?」

 

 「俺の名前のホウが短い!つまり俺の方ガ強い!」

 

 グは吠えながら、大剣を構えブリタに突っ込んだ。

 

 「どういう理屈よ」

 

 ブリタは正面から剣でその大剣を受け止めた。続いてその大剣を弾き飛ばした。

 

 「バ、バカな!?お前、何をしタ。魔法か?!」

 

 グがあたふたと後ずさる、ブリタは距離を詰めると剣を振り下ろした。

 

 「ま、魔法は使って貰っているけどね」

 

 グも他のトロール同様たったの一撃で絶命した。

 

 「あ、れべる上がったっぽい」

 

 最後は洞窟内にブリタの緊張感の無い声がこだました。

 

 

 

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