レベル上げを終えた【鉄の闘志】はいつもの様に、トブの大森林内にある拠点であるグリーン・シークレット・ハウスの中で、のんべんだらりとしていた。
そんな中、不意にブリタがこんな事を口にした。
「そう言えば、帝国4騎士の内、3人は見かけたけど、最後の1人は見かけなかったわね」
「ん?そうでしたっけ?え~っと……皇帝とあった時に居たのが2人でしたよね?それと……不動?でしたっけ、死の騎士と戦ってやられてた人。後1人は……確かに見かけてない気がしますね」
「まぁ、別にどうでも良いけどさ。何で見かけなかったのかなって、ちょっと気になるのよね」
「?たまたまじゃないですか?現に不動の何某さんも鏡で覗き見しただけですし」
「それもそうね」
「まぁ確かに、ゲーマーとしては人物図鑑を埋め損なった感じでモヤっとしますけどね。クレマンティーヌ、残りの1人がどんな人物か知っているか?」
モモンガの背後に控えていたクレマンティーヌが少し考えてから答える。
「その、不動のナザミ以外の2人が誰だかわからないのですが……帝国四騎士と言えば、雷光のバジウッド・ペシュメルと、激風のニンブル・アーク・デイル・アノック、最後に重爆のレイナース・ロックブルズですね。バジウッドが金髪の大男、ニンブルが金髪の優男風の男、レイナースが金髪の女です」
「ふむ、という事は見かけなかったのはレイナースという女か」
「レイナースですか。確かその身に呪いを受けていて、それを解呪する方法を探すことと引き換えに4騎士に就いたと聞いた事がある気がします」
「ほぅ、呪いか。呪いのバッドステータスはユグドラシルにもあったな。神殿でも解呪出来ないとなると結構厄介な呪いなのか……ちょっと興味があるな」
「フールーダならば詳しく詳細を知っているかと。伝言で聞いてみては如何ですか?」
クレマンティーヌの提案に、モモンガは少し思案する。フールーダの顔を思い浮かべると頭を横に振った。
「いや、そこまでして知りたいわけでも無いしな、止めておこう。そうだ、それとお前に以前貰った資料には天武という人物について書かれていなかったと思うのだが……知っているか?」
とたんにクレマンティーヌの顔が真っ青になる。
「も、申し訳ございません!!記載漏れが御座いました!天武なら知っております。帝国におけるワーカーで、名前はエルヤー・ウズルスという者のことのはずです」
「うむ、何でも王国戦士長に匹敵するほどの戦士という事らしいが?」
「王国戦士長と、ですか?…………確かにそんな噂を聞いた事はありますが、どうでしょうか。直接目にしたわけではありませんが、そこまで目立った活躍は聞きませんし、もしそれほどの腕の持ち主ならば、あの鮮血帝がワーカーにしたままとは思えませんが……」
「う~ん、そうだな。まぁ一度会ってみるのも悪くないかもな。他にも何か思い出した事や人物がいたら気兼ねなく教えてくれ。それと暇な時にでもブレインにも聞いておいてくれ」
現在ブレインは、拠点の裏でモモンガに出して貰った死の騎士と剣技の特訓を行っている。彼は日がな一日そうしているので、モモンガは余り話をすることは無かった。
「ブレインも良くやるわよね。たまには休まないと体が持たないと思うけど」
「まぁ、プレイヤースキルを磨くのには良い方法かもしれませんね。ブリタさんにもアンデットをお貸ししましょうか?」
「私はパス、しばらくはゆっくり休みたいわ」
「わかりました。クレマンティーヌ、お前はどうする?」
「…………もし、宜しければ、お貸し頂ければと―――」
「うむ、後で死の騎士を一体作ろう。媒体となるモンスターはお前がその辺で狩って来てくれ」
「はっ、モモンガ様のお手間を取らせて誠に恐縮ではございますが、何卒よろしくお願いいたすます」
クレマンティーヌは深く頭を下げた。
そんなクレマンティーヌの頭頂部を眺めながら、モモンガは今後の活動について考えを巡らせていた。