「と、いう事でブリタさん、脱いでください」
突然のモモンガのセクハラ発言にブリタはスパコンとモモンガの後頭部を叩いた。
「痛い。突っ込みでダメージを入れれるようになったとは、成長しましたね、ブリタさん」
「うるさい。で、突然何よ?」
「ブリタさんのレベルがかなり上がったので、防具を交換したいんですよ。【見習い戦乙女セット】は取得経験値上昇の効果がありますけど、防御力を考えるとレベル60ぐらいまでが適正ですしね、それはクレマンティーヌに回しましょう。で、ブリタさんにはこれを――」
モモンガはインベントリに手を突っ込むと、予め準備しておいた防具を取り出す。
それはどす黒い赤を基調とした甲冑だった。肩の矢避けや肘や膝の辺りには厳つい角が付いており、兜部分には悪魔を彷彿とさせる2本の黒光りする角が生えている。
「うわ!こわ!」
それが、その甲冑を見たブリタの素直な感想だった。
「これは【一万人斬り将軍の甲冑】シリーズです。セット効果は全能力3割上昇ですね。状態異常耐性は今まで通り指輪で補いましょう。これはレベル65以上で且つ侍のレベルが10以上の人種が装備出来る防具です。今のブリタさんが装備出来る防具だとこれが一番強いと思いますよ」
「性能が凄いのは分かったけど、見た目どうにかならない?めっちゃ厳ついんだけど。私これ着て街中を歩くの嫌よ?」
「え~?格好よくないですか?この鎧」
「かっこいい?これが?モモンガのセンスはおかしいと思う」
「そんなこと無いですって、ちょっとクレマンティーヌとブレインにも聞いてみましょう」
そう言って呼びつけた2人に、モモンガは【一万人斬り将軍の甲冑】一式を見せた。
「二人とも、この鎧を見てどう思う?素直な感想を聞かせてくれ」
ブレインは顔を顰め、クレマンティーヌは困り顔だ。
先に返答をしたのはブレインだ。
「あ~……ださいですね。あと、各所の尖った部分が邪魔そうです」
「そ、そうか……クレマンティーヌはどう思う?」
問われ、クレマンティーヌは必死に頭を回転させる。ブレインの返事を聞いた時のモモンガの声は、どこか悲しそうに聞こえた。だとすれば、今モモンガが求めているのは賞賛の意見か?しかし、ここで嘘をついても良いものか?モモンガは基本おべっかを好まない、しかしそれは自身に対する事だ。以前ドラゴンたちの住みかを魔法で創った時に褒めた時は声にちょっとした喜色が伺えた。だとすれば―――
「す、素晴らしいと思います!威厳に満ちたデザインですね!これを着て街を歩けば注目の的になるのは間違いないでしょう!!」
「そ、そうか!そうだな!うんうん、クレマンティーヌはそういう意見か」
どうやら正解だったらしい、モモンガは嬉しそうに頷いている。
「な~に嬉しそうにしてるのよ?どう聞いても太鼓持ちだったでしょうが」
「いやいや、デザインの好みは人それぞれですよ、ブリタさん。ブリタさんやブレインにこのセンスが分からないくても仕方ありませんって」
「うざっ!」
「はっはっは」
結局、ブリタはデザインが気に入らないようではあったが、これ以上の適性のある防具は現在のモモンガの手持ちには無かったので、ブリタは戦闘時にはこの甲冑を身に纏う事になり、クレマンティーヌはブリタのお古の【見習い戦乙女セット】を装備する事になった。
なお、ブレインだが、レベル20ぐらいが適性の黒装束を着る事になった。現在のブレインのレベルに合う装備が無かった為だが、それでもこの世界では破格の能力を有する防具であることは間違いがないだろう。