ブリタさん可愛がり   作:ミソカッスン

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70話・帝都観光

 「そう言えば、帝国ではずっとごたごたしていて観光が出来ませんでしたね」

 

 へジンマールに借りた本を読んで暇を潰していたモモンガが、不意にそんな事を言いだした。

 

 「観光?観光なんて貴族の娯楽でしょうに。モモンガってもしかして、元の世界では貴族だったりしたの?」

 

 「まさか。ただの庶民でしたよ。向こうの世界でも観光なんて富裕層しか出来ませんでしたからそんな趣味は無かったんですけど、この世界なら気軽に観光出来ますからね。出来るならやりたいですね。それに、この世界は美しいですからね」

 

 「観光が気軽に出来るの何てモモンガぐらいでしょ。貴族だって護衛とか手続きとか大変だと思うわよ。それに、この世界が美しいってのはちょっと分かんないかな」

 

 「そうですか?空も森も大地も、河や草原や丘や山も、人々が住む街並みも、すべてが綺麗で観光してみたい場所だらけじゃないですか」

 

 「そんなの何処にでも当たり前にあるものじゃない」

 

 「………そうですね」

 

 そう応えたモモンガは、どこか哀愁の様なものを帯びていた。

 

 「モモンガ?」

 

 「あ、すみません。ちょっと考え事をしていました。ところでどうです?改めて帝国に観光に行きませんか?闘技場とか劇場とか酒場とかホテルとか、見てみたい場所が沢山ありますし」

 

 モモンガに乞われてブリタはやれやれといった具合に応えた。

 

 「しょうがないわね。付き合ってあげるわよ」

 

 二人はしばらくの休暇期間を帝国での観光をしながら過ごすことに決めた。

 

 

 

 

 

 

 

 バハルス帝国の闘技場では現在天武と呼ばれるワーカーと、6人の剣闘士の試合が行われていた。【鉄の闘志】は半券を片手にその試合を観戦している。ちなみに、ブリタの手には半券の他に串焼きの肉とぬるいエールをがある。

 

 「ブリタさんはどちらに賭けました?」

 

 「わたし?わたしは天武って方。オッズが1.23倍だったから手堅くね。モモンガは?」

 

 「私は剣闘士の方です。大穴狙いってヤツですね」

 

 二人がそんな他愛のない話をしている間も試合は進んでいく。6人の剣闘士たちは始めこそ優勢に戦闘を進めていたが、天武が幾つかの武技を使うと形勢は一気に逆転した。そこから一方的だった。あっという間に剣闘士たちは倒され、運び出されていった。

 

 「やり!ふふん、賭け事のセンスは私の方があるみたいね、モモンガ」

 

 「良いんですよ。こういうのは雰囲気を楽しむんものなんですから。小銭を稼いでも仕方ないです」

 

 「あら?負け惜しみ?男らしくないわね」

 

 「それより、ブリタさんはあの天武の……エルヤーでしたっけ?あいつどう思いました?噂ではガゼフと並ぶ戦士らしいですけど」

 

 「う~ん……見た感じガゼフには劣るわね。使える武技も一般的なものばかりな気がする……かな」

 

 「そうですか。それじゃあ用はありませんね。後は武王でしたっけ?そいつの力も見ておきたいですけど」

 

 モモンガのセリフを聞いてブリタが近くの壁に張り出されていた予定表を確認する。

 

 「武王は強すぎて滅多に対戦相手が居ないみたいね。今日も試合は組まれてないわ」

 

 「そうですか。それじゃあ闘技場はここまでにして、別の場所を見て回りましょうか」

 

 「そうね。何処に行く?」

 

 「そうですねぇ、貴族街の街並みとか見てみたいです」

 

 「いや、近づけないでしょ?」

 

 「魔法を使えば問題なく行けるとは思いますけど、今日は観光ですからね。正規の方法で近づけるだけ近づいてみましょう」

 

 「アンタって、本当に変なところで拘るわよね」

 

 やれやれと首を振るブリタだったが、とくに文句も無い様で、貴族街に向かう道をモモンガと並んで歩いて行くのだった。

 

 

 

 

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