ブリタさん可愛がり   作:ミソカッスン

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77話・引っ越し(準備)

 「わぁ!すごーい!わたしたちのお家より大きいね、クーデ」

 

 「わぁ!すごーい!わたしたちのお家よりキレイだね、ウレイ」

 

 【鉄の闘志】が滞在するホテルの部屋で、遠隔視の鏡(ミラー・オブ・リモート・ビューイング)に映るカルネ村の屋敷を覗き込みながら、アルシェの双子の妹、クーデリカとウレイリカがきゃっきゃとはしゃぐ。

 

 「お姉さま、私たちこのお家に引っ越すの?」

 

 「二人が良いなら、そうしたい」

 

 アルシェは、抱き着きながら訊ねるクーデリカの頭を撫でなる。

 

 「お姉さまも一緒?」

 

 「勿論。私たち3人一緒」

 

 反対側に抱き着くウレイリカの頭も撫でながらアルシェは答えた。

 

 「お父さまとお母さまは?」

 

 「……あの二人は今のお家を離れられたない。だから私たち3人だけで引っ越す……いや?」

 

 「ううん!さみしいけどお姉さまと一緒が一番良い!」

 

 「ウレイはお姉さまが一緒ならさむしくないよ」

 

 「あー、ウレイずるい」

 

 「……ありがとう」

 

 アルシェは2人を抱きしめた。

 

 

 

 「モモンガさん。私たちはカルネ村への移住を希望する」

 

 「分かりました。ただ、移住の手伝いをするのに一つお願いがあるのですが」

 

 「……なに?」

 

 アルシェはお願いという言葉に警戒心を持った。

 

 「前に話した通り、私たちは観光目的で帝国に来たのですが、貴族街は許可証がなければ入れないのです。そこで、アルシェさんには私たち2人の紹介状を書いて欲しいのですが、構いませんか?」

 

 「その程度ならお安い御用。任せて欲しい」

 

 「では、お願いしますね」

 

 「了解した」

 

 「それでは、移住のために必要な準備を始めましょうか。先ずは冒険者組合に行って冒険者登録をしましょう」

 

 「分かった。クーデリカ、ウレイリカ、行こう」

 

 アルシェは2人の手を握る。

 

 「お姉さま、どこ行くの?」

 

 「お散歩?」

 

 アルシェは二人の手を引きながら、二人の質問に丁寧に答えていた。

 

 

 

 

 冒険者登録は驚くほど簡単に済んだ。双子は勿論、アルシェでさえ年齢を理由にひと悶着あるかと思ったが、オリハルコン級冒険者の紹介というのが効いたようだ。

 3人は同級の冒険者プレートを首から下げて、双子はそれを見せ合いはしゃいでいた。

 

 「おいおい、冒険者組合はいつから女子供の遊び場になったんだ?」

 

 などとテンプレートな絡み方をしてくる冒険者もいなかった。というか殆ど冒険者が居なかった。やはり帝国では冒険者はあまり人数がいないようだ。

 

 「ではここから近い事ですし、役所に行って貴族街へ出入りする為の許可証を発行して貰いに行きましょうか」

 

 「わかった」

 

 「え~、まだ歩くの~?クーデ疲れた~」

 

 「ウレイも~」

 

 双子が愚図り始めたのをアルシェがなだめる。

 

 「二人とも、もう少し頑張って欲しい」

 

 「「つ~か~れ~た~」」

 

 それでも愚図る双子にアルシェが困っていると、モモンガが後ろから声を掛けた。

 

 「それならば私が担いで運んであげよう」

 

 「担ぐ?」

 

 モモンガは双子を担ぎ上げると、それぞれ左右の肩に座らせた。

 

 「わ~!すご~い!たか~い!」

 

 「たのし~!」

 

 双子はモモンガの肩で騒ぎ、モモンガは二人が落ちないように手で支えた。

 

 「モモンガさん、すまない。二人が迷惑をかける」

 

 「構いませんよ、元々役所に向かうのは此方の都合ですからね」

 

 二人を抱えて歩き出すモモンガの後ろに、ブリタとアルシェが続く。

 

 役所での手続きは割とスムーズに進み、【鉄の闘志】は無事に貴族街へ出入りする為の許可証を手に入れた。

 

 

 

 

 




 「そうか、二人は無事に許可証を受け取ったか」

 執務室で弟子の報告を受けたフールーダは、モモンガに貸与された魔導書の解読を進めながら会話を続ける。
 ちなみに、この魔導書はユグドラシルでは只の武器扱いだったものだ。

 「はい。アルシェ嬢のご両親は既に貴族位を失っておりますからね。こちらで手回ししておきました」

 「ご苦労。これからも二人に何か面倒が起こりそうなら裏から手を回してくれ。お前たちの手に負えないような事があれば、儂に報告する様に」

 「畏まりました、師よ」

 弟子の魔法詠唱者は礼をして退室していった。
それを確認したフールーダは再び魔導書の解読に集中するのだった。



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