【鉄の闘志】の貴族街の観光も済み、いよいよアルシェたちを連れてカルネ村に移動する事当日の朝、一行は帝都の入り口、関所の外側に集まっていた。
そこでアルシェたちは予想だにしていなかったモノを目撃する。
「すごーい!かっこいいね、クーデ!」
「すごーい!おっきいね、ウレイ!」
2匹のドラゴンと、大きなハムスターを見上げつつ、双子がはしゃぐ。その声に先ほどまで呆けていたアルシェが正気に戻った。
「クーデリカ!ウレイリカ!危ない、下がって!」
アルシェは杖を取り出して臨戦態勢を取ろうとするが、その杖を持つてにブリタがそっと手を当てて制した。
「落ち着いて、こいつらは私たちの従魔よ。王国まではこいつらに乗って移動するから」
「従……魔?」
意味が分からなかった。ドラゴンなど神話レベルのモンスターだ。このオリハルコン級の冒険者たちはそれを従えているというのだ。
「そ、従魔。ちゃんと冒険者組合で魔獣登録もしてあるわ。ドラゴンとハムスケ、どっちに乗りたい?」
「「ドラゴーン!!」」
双子が聞かれるやいなや、そろってドラゴンに乗りたいと答えた。
「だ、駄目。危ない」
アルシェが止めるが、幼い少女たちの好奇心はそう簡単には止められない。結局アルシェが折れて3人はドラゴンに乗って王国を目指すことになった。
「では3人にはこちらの少しぽっちゃりした方のドラゴンに乗って下さい。名前はへジンマールです。へジンマール出来るだけ低空飛行で徐行で飛んでくれ」
『畏まりました。モモンガ様』
へジンマールの返事に鷹揚に答えるモモンガの横でアルシェと双子の3人は驚きを見せる。
「すごーい!ドラゴンさんお話が出来るの?!」
「すごーい!ドラゴンさんかしこーい!!」
「へジンマールの趣味は読書だから、色々な事を知っている。道中の暇つぶしに話し相手になって貰うと良い」
モモンガは双子を担ぎ上げると、そっとへジンマールの背に乗せる。
「落ちないようにしっかりと掴っているんだよ?」
「「は~い!」」
双子をへジンマールの背に乗せたモモンガは、次にアルシェを乗せようと手を伸ばすが、アルシェは一歩下がってその手を避けた。
「だ、大丈夫。自分で乗れる。<
アルシェが飛行の魔法を唱えると、彼女の体がふわりと浮き上がる。その姿をブリタが微妙な表情で見ていることに気づく者はいない。
アルシェがへジンマールの背に乗ったのを確認すると、モモンガはドラゴンたちにカルネ村に向けて出発するように告げた。ハムスケに跨ったブリタがそれに続く。
一行は馬車と同等の速度で進んでいく。