「わ~!広いね、クーデ!」
「すご~い、綺麗だね、ウレイ!」
カルネ村に作られた屋敷に着くと、双子は広間に駆けだして、広間の中央でクルクルと回りながらはしゃぎだした。
「モモンガさん。私たちは本当にここに住んで良いのだろうか?帝都なら金貨数万枚ぐらいしそうな立派な屋敷だけど……」
「事情は前に説明した通りなので、気にしなくていい」
「でも、これだけ広い屋敷だと掃除とか大変そうじゃない?使用人とか雇うお金があるわけじゃないでしょ?」
「―――あっ」
ブリタの指摘に、間の抜けた声を漏らしたのはモモンガだった。どちらにしろ正体を明かさなければならないだろうし、今すぐ正体を明かして、使用人の代わりにスケルトンでも召喚して貸し与えようか、モモンガがそんな事を考えているとアルシェがブリタの指摘に答えた。
「しばらくは自分たちだけで何とかしようと思っている。妹たちも手伝ってくれると言っている。冒険者として私が仕事をしている間、2人には掃除など頼みたい」
「まかせて、お姉さま!わたしたちガンバル!ね、クーデ」
「うん、おそうじやる!ね、ウレイ」
2人は楽しそうにしているが、ブリタは納得しきれない。
「う~ん、そうは言っても2人ともまだ5歳ぐらいでしょ?ちょっと心配よね」
「ですが我々では使用人までは用意できませんからね……アルシェが冒険者として稼げるようになればカルネ村の人を雇って掃除して貰う事も可能になるでしょう。という事でアルシェ、レベル上げをしてみないか?」
レベル上げという知らない単語にアルシェが疑問符を浮かべる。
「れべるあげ?それは何?」
「簡単に言えば、強くなるための訓練だな。これを行えば直ぐに第6位階ぐらいの魔法までなら使えるようになると思うぞ?」
「……モモンガさんはひょっとして、魔法詠唱者についてあまり詳しくない?第6位階の魔法が使える人間はフールーダ・パラダインただ一人。簡単に辿り着けるものじゃない。それに、最近私は自身の限界を感じている。恐らく私は早熟と言われるタイプの人間。どんなに頑張っても第4位階の魔法を覚える気配はない――」
そう言うアルシェの顔は暗かった。
「それは職業レベルに覚えられる魔法が追い付いてしまったんだろう。それに現在の職業レベルも上がりが悪そうだ。アルシェの今の武器は杖だな?」
「?そう、私はこの杖で魔法の威力を底上げしている」
アルシェが腰に下げた杖を見せる。
「では魔導書に装備を変えよう。今は持っていないので後で村の外にある私たちの拠点で渡そう。ついでにその時に見せたいものがある。妹君たちには少々刺激が強いかもしれないから一人で来て欲しい。留守番をさせるにあたって、用心棒代わりにハムスケを付けよう」
「魔導書?魔法詠唱者が本を武器にするなんて聞いた事がない。はやりモモンガさんは魔法詠唱者に詳しくないのでは?」
なお不信感を見せるアルシェに、ブリタが説得のため声を掛ける。
「モモンガのれべるあげの効果は私が保証するわ。とは言っても信じられないでしょうけど。とりあえず、騙されたと思って暫く付き合ってみたら?駄目で元々。第4位階以上の魔法が覚えられたら儲けものでしょ?」
「……分かった。モモンガさん。れべるあげ、よろしく頼む」
頭を下げるアルシェを眺めながら、モモンガは魔導書以外にどんな装備でレベル上げをさせようかと、アルシェの職業ビルドの構想を練っていた。
モモンガさんは相手ごとにころころ口調が変わるのでごっちゃになりそう。