「それで?2人はあのお屋敷に住むことになったの?」
トブの大森林にある【鉄の闘志】拠点の広間で、今後のレベル上げのプランに話し合いたいからと呼び出されたアルシェは【フォーサイト】のヘッケランとイミーナがカルネ村に訪れた事を【鉄の闘志】に報告した。
「いや。二人はカルネ村の別の空いている家を借りてそこに住むらしい。ただ、屋敷には出来るだけ顔を出すと言っていた」
「冒険者をやるなら、カルネ村よりエ・ランテルの方が利便が良いんじゃない?」
「私もそう思う」
「恐らく2人はアルシェが心配で帝国から態々拠点を移したのでしょう。エ・ランテルを拠点にしてしまったらせっかく王国に来た意味が半減してしまうのでは?」
「だったら私の提案通り、屋敷の空いた部屋を使えば良い。税も折半すれば節約できる」
「………ほら、あの屋敷は貴族仕様で、あの2人には住みなれないのだよ。そんな事より今後のレベル上げのプランを考えて来たので聞いてくれ」
モモンガは適当な理由を述べてお茶を濁し、即座に話題を切り替えた。
「私が提案するのは聖王国周辺でレベル上げをするプランだ。元々はブリタさんのレベル上げ用に目を付けていた場所だが、ブリタさんはもう十分レベルが上がったから、その辺の亜人などではもうレベル上げは出来ないだろう」
「聖王国周辺というと、アベリオン丘陵かエイヴァーシャー大森林?」
「ほう、詳しいなアルシェ嬢。その通りだ。そこに存在する亜人を狩ってレベル上げをする」
「私の実力では難しいと思う」
「心配ない、私の魔法でアルシェ嬢にバフを掛けるし、マジックアイテムの指輪を貸そう。それに、魔法詠唱者用の装備なら人間の装備出来る物も割と潤沢にあるのでな。とは言え多少職業レベルが足りないから最初のウチは装備出来ないが……」
「私もそんな感じでれべる上げっていう特訓をしたわ。精神的には疲れるけどモモンガが居れば危険は少ないと思うわよ」
ブリタの実体験を元にした判断を聞いて、アルシェは覚悟を決める。
「分かった。それで構わない」
「何?……そうか。一応説得用にメリットデメリットを纏めた資料も用意しておいたのだが、無駄になったな。レベル上げの際は私の転移門の魔法で送迎してやろう。出立は毎日朝、日の出と共に。昼は一旦戻って来て屋敷で妹たちと昼食を取り、日が沈む前にレベル上げは終了する。休みは週一回でレベル上げ期間は30日だ。何か質問は?」
アルシェに質問の有無を問うたモモンガだったが、質問はアルシェからでは無くブリタの方から上がった。
「いたせりつくせりね。私の時と比べて優しすぎない?ひょっとしてモモンガってロリコン?」
「私に変な性癖つけようとするの止めて貰えませんか?アルシェの年齢を考慮したのは確かにそうですけど、妹さんたちの面倒もありますからね」
「何から何まで本当に感謝する。私からは質問はない。よろしく頼む」
アルシェは深々と頭を下げた。