「うーん、この辺の亜人は思ったより経験値効率が良かったんだが、流石にそろそろ上がらなくなってきたなぁ……」
魔法を使ってアルシェのレベルを確認していたモモンガは、アルシェのレベルがここ3日ほど殆ど変動が無い事に嘆息した。
とはいえ、亜人たちの経験値はモンスターより高いらしく、当初の目標である第6位階魔法は既に会得出来ているので、これ以上は高望みではあるのだが。
「アルシェの今のレベルなら第7位階魔法も使えても良さそうなものだが……それに実際に見せた魔法は習得に掛かる時間が少なくて済む様な気がするな。ふむ、この辺はまだまだ実験が必要か」
ちなみに、現在アルシェは深い緑を基調としたローブを身に纏っている。首や肩、腰には蒼い輝きを放つタリスマンがあり、手には杖でも魔導書でもなく、水晶を持っている。
「まさかこの短期間に本当に第6位階魔法を行使できるようになるなんて。モモンガさんには感謝してもしきれない」
「私としては出来れば第8位階程度は使えるようになって欲しいのだがな」
(そして出来ればフールーダの師匠役を押し付けたい)
モモンガの本心を知らないアルシェにとって、その言葉は自分の為を思って言っている様に聞こえた。
「モモンガさんの期待に応えられる様、努力する」
「是非そうしてくれ。―――ん?」
オーバーロードの姿で会話をしていたモモンガが、突如魔法で鎧を創りそれを纏った。
「どうしたの、モモンガ?」
「どうやらお客さんの様ですね」
ブリタの問いに、モモンガは一点の方向を指さした。
「私が事前に展開していおいた感知魔法に反応がありました。数は13」
「いつもこちらの様子を伺ってるって言ってた人間?」
アルシェのレベル上げを開始して暫くしてから、モモンガの感知魔法に引っ掛かる生命反応が現れ始めた。モモンガがマジックアイテムと魔法を使用して調べたところ、それらはローブル聖王国の諜報員だという事が分かっていた。それ以外にもスレイン法国の人間なども確認しているが。
「多分違いますね。いつもなら多くても3人のグループで行動していましたからね。13人という数は偵察には多すぎます。恐らくこちらに接触してくる気だと思いますよ?」
「何の用事かしらね?」
「さぁ。ただ、聖王国は長年亜人たちの侵攻に悩まされていたらしいですから、勝手に狩場を荒らした事を責められる。何て事は無いと思いますけど……」
【鉄の闘志】がそんな事を話していると、モモンガが指さした方角から鎧を着た一団が馬に跨って姿を現した。
そしてそのまま駆け寄ってくると、先頭の中年の男が下馬し、名乗りを上げた。
「我々はローブル聖王国の聖騎士団の者です。私は聖騎士団副団長、グスターボ・モンタニェスと申します。銅級冒険者のアルシェ様、並びにアダマンタイト級冒険者の【鉄の闘志】のお二人とお見受けします。御3方と話をさせていただきたいのですが、構わないでしょうか?」