モモンガは事前に教えておいた魔法でアルシェに馬型ゴーレムを創らせた。これは一人の魔法詠唱者に一体しか想像出来ないのでモモンガとブリタは相乗りだ。また、このゴーレムは24時間経過すると自動で土塊になるので出来ればそれまでに距離をかせぎたい事をグスターボに伝えておく。
アルシェはゴーレムを作った後転移の魔法でカルネ村へと戻った。
「とことで、お二人は斥候の様な役割は可能ですか?」
出発して直ぐにグスターボが【鉄の闘志】にそう問いかけて来た。
「?いえ、アルシェ嬢の感知の魔法で補っていたので我々はそういうのには向きませんね。しかし、何故今それを?」
正確に言えば、ブリタがクレマンティーヌの講義を受けているので、真似事程度なら出来なくは無い。しかし、クレマンティーヌも本職というわけでは無いし、その講義を受けただけのブリタの腕前も勿論言うまでもない。
「そうですか……いえ、何でもございません。斥候は此方でやりますので、ご安心を――ネイア・バラハ!」
グスターボが名を呼ぶと、1人の女聖騎士が馬を駆って近づいて来た。
「彼女は見習い聖騎士のネイア・バラハです。お恥ずかしながら我々は斥候の様な能力に欠けていまして、彼女に一任しております」
「ご紹介にあずかりました、聖騎士見習いのネイア・バラハです。この部隊では斥候の任を任されております。御見知り置き下さい」
「そ、そうか。よろしくお願いする」
「よ、よろしくね、ネイア」
【鉄の闘志】の二人は返事をしながら、同じことを考えていた。
((目ぇこわ!!))
ネイアはグスターボと【鉄の闘志】の後ろ、一団の前から4番目に着き周辺の警戒に当たる。
そうして一行は順調に聖王国への旅を進めた。
「へぇ、それじゃあネイアのレンジャーとしての知識や経験は父親譲りなのね」
道中、馬ゴーレムの上で暇を持て余したブリタが何かとネイアを質問攻めにしていた。
「は、はい。聖騎士を目指したのは聖騎士である母親に憧れて、でも弓や斥候と違って剣の方は余り得意ではなくて」
「でもネイアの獲物は剣よね?」
「あ、これは見習い聖騎士全員の共通のモノで」
「弓が得意なのならば、そちらを伸ばした方が良くないか?」
「え―――?」
突如会話に加わったモモンガの意見に、ネイアは少しばかり混乱した。
「い、いえ。私は聖騎士なので」
「聖騎士は支給された剣以外の装備を禁止してるのですか?」
モモンガは質問の矛先をグスターボに向ける。
「……明確に禁止しているわけではありませんが。剣以外の装備をしていると良い目はされないでしょう」
「斥候が居ないのもそういった理由で?」
「………はい。仰る通りです」
「ならばやはり、バラハ嬢は弓と斥候のスキルを磨くべきだと思うぞ?そういった能力に長けた者が居なければ不測の事態に対応出来ないからな。それに、変わった組み合わせは、レア職への道だからな」
「……はい?」
そんな会話をしながら一行は馬を走らせる。
ローブル聖王国は近い。