ちょっとジメジメして来ましたね。
テンションが下がり気味です。
「ようこそ、ローブル聖王国へ」
聖王国を守護する城門を越え、【鉄の闘志】は無事に聖王国へ入国した。
入国すると、グスターボは二人の部下を城へ、もう二人の部下を宿へと走らせた。
「宿には取りあえず1カ月分の予約を入れておきます。それと、聖騎士随伴で無いと入れない場所などの案内もありますので、同じ宿の1階に聖騎士を宿泊させますので、観光の際はその者どもに声を掛けて下さい」
「何から何まで有難うございます。そうさせて頂きます」
監視であろうことは理解したうえで、モモンガは礼を言い頭を下げた。
その後、【鉄の闘志】には案内役の聖騎士を二人付けられ、残りはグスターボと共に城へと帰還していった。
「それではお二人とも、こちらです」
騎士の一人が先導し、一行は聖王国の街を歩く。
「この聖王国は巨大な湾を挟んで南北に分かれており、今我々が居るのは北部になります。ここへ来る途中にあった巨大な城壁は亜人共の侵攻に対し―――」
聖騎士の一人がモモンガの要望で聖王国の簡単な説明をしながら先導をしている。モモンガはそれに時折相槌を打ちつつも、視線はきょろきょろと街中を彷徨わせていた。
ブリタは、最初こそ景色を堪能していたが、過ぎに飽きてしまい、今は途中にあった屋台で買った串肉を頬張りながら、適当に聖騎士の話を聞いていた。
「あ、見えてきましたよ。彼方がお二人に宿泊して頂く宿になります」
聖騎士が指さした先にあったのは、立派な宿だった。モモンガが一度観光がてら外装を見に行ったことのある、王国の【黄金の輝き亭】にこそ劣るが、とても冒険者が泊るホテルには思えない。
満足そうにホテルを目に焼き付けているモモンガの横では、ブリタが口をあけ呆けた顔を晒していた。
「こんな立派な宿に1ケ月も……聖王国は随分と太っ腹ね」
「お二人とアルシェ様は救国の英雄と言っても差し支えない程ですからね。このぐらいの事はさせていただきますよ。それと―――」
聖騎士は話の途中で言葉を区切ると、深く頭を下げた。
「先刻は同僚がお二人に対し失礼な態度を取ってしまい、誠に申し訳ありませんでした。本人に代わり、深くお詫び申し上げます」
頭を下げた聖騎士に続いて、もう一人の聖騎士も頭を下げた。
「申し訳ありませんでした」
モモンガはそれを冷ややかな目で見る。
(大勢の人眼につくところで頭を下げるのはパフォーマンスか。あまり良い手ではないように思えるな。聖騎士というのは、腹の探り合いなどが苦手なのが性分な者たちなのかも知れないな)
「あの時も申し上げたが、私共は気にしていませんとも。頭を上げて欲しい」
モモンガは聖騎士の意志を組んで、周りに聞こえるように謝罪の言葉を受け取った。
「ありがとうございます。それでは歓迎の準備が出来次第ご連絡差し上げますので、それまでは我が国の観光をお楽しみください」
「ああ。是非そうさせて貰おう」
「それでは、我々はコレで失礼します」
二人の聖騎士は再び頭を深く下げたあと、踵を返し来た道を戻って行った。