「ねぇモモンガ」
「何ですか?ブリタさん」
「暇」
「…………」
【鉄の闘志】が聖王国内に用意されたホテルに滞在するようになって既に10日以上が経過していた。最初の数日こそ、モモンガに付き合って観光をしていたブリタであったが、それにも飽きてしまいここ数日は近所の酒場で昼間から酒を飲みそれ以外の時間はホテルの部屋でだらだらと過ごしていた。
「ブリタさん直ぐに休暇が欲しいって言うじゃないですか、長期休暇だと思えば良いと思いますよ?」
「人をサボり魔みたいに言わないでよ。れべる上げの後は流石に疲れて休みたくもなるのよ。でもここまでする事が無いとねぇ……歓迎の準備とやらにどれだけ時間かけているのかしらね」
「どうも南部の貴族たちから邪魔が入って、その対処に時間を取られているみたいですよ?」
「なんでモモンガがそんな事を知ってんのよ」
「城内を観光している時に小耳にはさみまして」
「城内?そんな所どうやって入ったのよ?聖騎士に案内してもらったの?」
「まさか、南部の妨害でごたごたしている城になんて、入れて貰えるわけ無いじゃないですか」
「ってことはあの透明化の魔法みたいなやつを使って無断で入ったとか?」
「ご明察です」
「アンタ、帝国の観光の時にそういうインチキしないで観光を楽しみたい、みたいな事言ってなかった?」
「………飽きました」
「……あっそ」
…………
会話も付き、室内に沈黙の陰りが見え隠れしだした時、部屋の戸がノックされた。
「どうぞ―――」
「失礼します」
モモンガの許可を得て、開かれた扉の先には聖騎士が2人立っていた。
「【鉄の闘志】のモモンガ様、ブリタ様。歓迎の準備が整いましたのでアルシェ様にご連絡を入れていただけますでしょうか」
「畏まりました。ただ、連絡の手段は我々の企業秘密ですので、申し訳ございませんがお見せ出来ません。それと、登城はいつでしょうか?その時刻をアルシェにも伝えますので」
「これは失礼しました。登城は明朝改めて迎えの馬車をよこしますので、その馬車でお越し下さい。それでは我々は部屋に戻りますので、御用の際はお気軽にお声がけください」
2人の騎士は頭を下げると静かに戸を閉めた。遠ざかる足を音を確認したモモンガは、ブリタに戸の前に立ってもらい、念の為に幾つかの魔法を使用した上で魔法で出来た鎧を消して伝言の魔法でアルシェに連絡を取った。
『アルシェ、私だ。モモンガだ。今会話出来るか?』
『うわっ!びっくりした。……大丈夫、問題ない』
『先ほど聖騎士たちが来て歓迎の準備が整ったと伝えて来た。明朝にこの宿に迎えの馬車をよこすからそれまでにこの宿に来て欲しい』
『わかった、日の出前にそちらに転移する』
モモンガは聖王国に滞在して2日目に一度カルネ村に戻り、
『ところでモモンガさん。私はドレスを持っていない。そちらで貸して貰えるのだろうか?』
『―――――っへ?』
考えていなかったアルシェの問いに、モモンガは間の抜けた声を上げた。
【登城】この漢字、≪とうじょう≫って打っても変換出来ないんで頭に?マークを浮かべながら調べたら≪とじょう≫って読むらしいですね。
登校は≪とうこう≫なのに、日本語ムズカシイデース。