ありふれないファイターは最強を目指す   作:クラウディ

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勢いだけで二話目を書いた。

頭空っぽにして書くの楽し~





弐撃 小・嶋

『激しい攻防が続いているぜ!! ブレッド・アーガス!! 2メートルを超える身長と分厚い筋肉の鎧を纏っていながらもなんて身のこなしだ!! チャンプの攻撃を紙一重で躱していくぅ!!』

『しかし、かなり息が上がっているようです。たとえ凄まじい筋肉を持っていようとも、それを制御するには膨大な体力を要求されますからね』

『あぁっと!! ここでチャンプのボディブローが炸裂ゥ!!』

『頭部への防御を誘って、無防備な胴体に強烈なブロー。よく見ていますね』

『これはかなりこらえ――うっそだろ!? ブレッド・アーガス! そのままタックルへと切り替えたっ!!』

『ガッツがありますね。チャンプの拳を受けてもなお前進できるとは』

『ブレッド・アーガスのタックルが直撃ぃっ!! チャンプがぶっ飛ばされちまったぜ!!』

『ブラフのために跳んでいたのが仇になってしまいました! これは痛い!』

 

「フッ! シッ! シッ!」

 

 近くに置いていたスマホから流れる実況のアーカイブをBGMに、サンドバッグに拳を繰り出す。

 俺が今いる場所は、自宅にあるトレーニングルーム。

 そこで、俺は汗を流していた。

 あの後、俺は【豪腕の勇者】ブレッド・アーガスとの激しい戦いを繰り広げた。

 互いに譲らない熱いバトルだったが、勝ったのは――

 

『勝者!! リュウヘイ・コジマ!!』

『『『『『『『『『『ワァアアアアアアアアアアアアアア!!!!』』』』』』』』』』

 

「ハァッ!!」

 

 俺、リュウヘイ・コジマこと「小嶋竜平」だった。

 正直、勝てると思っていなかった。

 むしろ、まともにやり合えば間違いなく負けるとすら思っていたほどだ。

 それほどまでに、ブレッドの強さは圧倒的で、正真正銘の本物だった。

 そんな相手との戦いを制したのだから、俺は素直に喜んだ。

 

 だが……

 

(あともう少し体にひねりを加えられていたならばノックアウト寸前まで持って行けた……衝撃の勢いを受け流せていればすぐさまカウンターができた……体を大きく動かしすぎた……防御が甘かった……相手が大柄で動きの読みやすかったが、爺さんやシスターの姐さんには通用しないだろう……それに……『発勁』の精度も悪かった……観客で気が散っていた……何もかも甘すぎる……!!)

 

 俺は自分の不甲斐なさを悔いた。

 結局、俺は自分が思っている以上に、まだまだ未熟なんだ。

 もっと強くならなければ……そう思った。

 だが……

 

《ピロン♪》

「……ん?」

 

 突然、俺のスマホが鳴った。

 最初は無視しようと思ったが、その通知を見た瞬間、俺はすぐにスマホを手に取りタップする。

 すると、画面に表示されたのは一つの動画。

 タイトルは、『竜平へ』とあった。

 

「親父が……? ……見てみるか」

 

 疑問に思いながらも、一先ず動画を再生した。

 そして、そこに映る人物を見て、俺は思わず目を見開いた。

 それは、白髪交じりの頭にダンディーな雰囲気を醸し出す男性。

 俺が身を置く格闘界隈では知らない者はいないほどの有名人であり、俺の親父である小嶋源次郎(げんじろう)その人だった。

 

『……久しぶりだな、竜平。……突然こんな形で顔を合わせることになってすまねぇな』

 

 俺が驚いていることなど露知らず、画面の向こうにいるそんなこと知らないと言わんばかりに親父は語り掛けてきた。

 

『この間の試合、ちゃんと見たぞ。相変わらず甘いところが多すぎる。チャンピオンを名乗るなら、もう少し鍛えてこい。俺の若い頃どころか、今の俺より弱いぞ?』

「うっせ。分かってるっつぅの」

 

 どうやら、この間の試合に親父も来ていたらしい。

 そして、俺の戦いぶりにダメ出しをしているようだ。

 少し恥ずかしい気持ちもあるが、それよりも嬉しいという感情の方が強かった。

 こうして、親父の声を聞くことなんて、この数年間、ほとんどなかったからな……。

 だが、 どうしていきなり連絡を寄越してきたんだ……?

 

『お前のことだ。どうせ自分でも未熟なことを分かって、鍛えていたんだろう。鍛えるのは良いことだ。そんなお前に一つ頼みたいことがある』

「頼みたいこと……?」

 

 一体何だろう……?

 今までろくに連絡も取っていなかったくせに急に何を……まさか、また仕事の話とかじゃないよな……?

 不安に駆られていると、親父の口から出てきた言葉は意外なものだった。

 

『お前……学校に興味はないか?』

「……は?」

 

 

 

 

 

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 

 

 

 

 

「学校、か……」

 

 あの後、トレーニングを切り上げた俺は、ポストに投函されていた資料を片手にニュースを見ていた。

 今の時代、ネットさえあれば大抵の情報はすぐに手に入るが、それでも新聞というものは無くならない。

 なぜなら、限定的な情報を集めるにはやはり紙媒体が一番いいからだ。

 特に、簡単にはお茶の間に載せられない格闘関連の記事なんかがその最たる例だ。

 

「なぁにぃ? また大会の記事みてるの? あなたもいい年なんだから、そろそろ勉強とかしなさ~い?」

「勉強はしてるよ母さん。大学に受かれる程度の頭はあるし、今は格闘技関連の記事を読んでるだけだって。それに、別に悪いことばっか書いてあるわけじゃねえさ」

 

 後ろから声をかけてきたのは、俺の母親。

 名前は小嶋明子(あきこ)

 親父みたいな変わり者と結婚しただけあって、かなりの美人だ。

 脳筋である親父のことを補うかのように、いろんなことができる万能人間でもある。

 ちなみに、親父とは今でもラブラブだ。

 そのせいか、『万年新婚夫婦』『ベストカップル』『真のリア充』とご近所さんから呼ばれている。

 

 その間に生まれた俺は、当然のように両親に似たイケメンで、成績優秀スポーツ万能。

 しかし、裏の格闘大会に出場しているという噂が出てからは、不良として周りからも扱われてしまうようになった。

 それ以降、教師からは毛嫌いされ、クラスメイトも避けるようになってしまった。

 そんな状態でも、ほんの数人は俺のことを避けることはしなかったのは救いである。

 だが、彼らが俺といるせいで外れ者にされないよう、俺の方から自主的に距離を置いてるせいで、その数人とも今では疎遠状態。

 別にそれを苦に思っているわけではない。

 格闘の世界に身を置いてるんだから、仕方がないことだと割り切っていた。

 でも、たまに思うこともある。

 あいつらともう一度仲良くなりたいと。

 だけど、もう無理なんだろうな……と諦めてしまっている自分もいる。

 そんなことを考えながら、俺は母さんに資料を渡す。

 

「親父から別の学校に行ってみないかって誘いがあるんだけど……」

「源次郎さんから!? あらまぁ!! あの人から誘ってくるなんて珍しいわね!!」

 

 親父からの誘いを聞いて、母さんはとても嬉しそうな顔をしていた。

 まるで恋する乙女のような反応だった。

 ……いや、恋というか愛情だろう。

 現実は恋に破れて、恋は愛に破れて、愛は現実に負けるというが、この人たちは愛で現実を乗り越えてしまった。

 元々、いいとこのお嬢様だったという母さんは、武術道場の息子であった親父と駆け落ちしたという。

 もちろん反対されたのだが、母さんはそれを押し切って親父とゴールイン。

 それから二十年近く経つが、未だに仲が良すぎるくらいのラブラブっぷりを発揮し続けている。

 俺としては正直勘弁してほしいところではあるが……。

 

(……あれ?)

 

 ふと思った。

 親父に薦めた学校とは、どんな学校なのだろうか?

 他にも送られてきていた資料を見てみた途端、俺は顔をしかめた。

 

「うわ、マジかぁ……」

「えへへ……源次郎さんからの手紙ぃ……私も書こうかしらぁ~♪ あら? どうしたの竜平? 何が書かれてたの?」

 

 いつの間にか背後にいた母さんに資料を取られてしまった。

 そして、母さんも同じように顔をしかめる。

 そこには、こんなことが書かれていた。

 

 一時期世間を騒がせた『帰還者特別クラス』と。





二話目にして、ようやくありふれ要素が出てくるとかマジ?

次回、ようやくありふれ側のキャラとの絡みです。


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