何試合かを数字的連鎖・水の型や振動氷結雨で相手を絶望のふちに叩き込みながら突破して行った総司。さながら氷の魔王のようだとか水の王様じゃねぇの?とかネットで騒がれているのを気にせず、総司は準決勝まで駒を進めた。
「……次の相手は
森崎である。総司は入学以来全く喋っていないため、記憶にもほぼ残っていなかった。雫やほのか、深雪と仲良くしているからという理由で憎悪の目で見られていたが。総司を出会い頭に罵倒したが。
「一応は百家の人間。警戒はしておくべきだろう……真紅郎用に取っておいた策で行くか」
百家というのは十師族と比べれば軽いが、それでも魔法師にとってはとても重いものだ。負ける訳にはいかないと常日頃から努力しているのだろう。総司は森崎のハードルを滅茶苦茶高く上げた。
自分の魔法を知り尽くしている真紅郎を倒すために持ってきた、他の家の魔法を自分なりに再現したものを使うことにしたのだ。
「そろそろ時間か……ふふっ、楽しみだ……」
総司は戦闘狂の気があるのかも…しれない。総司は森崎との準決勝へと足を進めるのだった。
「……雫からだ。なになに…………!」
「…なんなんだあれはァァァ!!?」
森崎は控え室で大声で叫んでいた。一条総司が繰り出す未知の魔法、とんでも威力の魔法は完全に森崎にとって予想外だった。
相手の妨害を全体のクレーに送りながら自分のクレーを破壊する振動氷結雨、十七夜栞が使っていた魔法の改造版、数字的連鎖・水の型。どれをとっても勝てる気がしない。
「しかも俺は入学の時にバカにしてるんだぞ、あの化物を!終わった、終わったァァ!!!」
森崎の記憶がフラッシュバックする。
『
『一条家で唯一爆裂が使えないんだもんな、そりゃ落ちこぼれの
『北山さん達もこんな奴と一緒に居ない方がいい、穢れた出来損ないが移るからな!』
とんでもないことを言っている。ハリポタ世界の純血主義と同じようなことを。こんなことを言ってしまっているのだ。死亡フラグは建ちまくっている。一級フラグ建築士の称号すら今の森崎は手に入れることが出来るだろう。
「親父は一条総司はそういうことを気にしないとは言っていたが……嫌な予感しかしないんだが!」
森崎の父親は人伝に総司の噂を聞いている。悪口言ったら気をつけるべきなのは総司の周りの人間だと。この前の総司が出たパーティーでも取引先の社長が総司に絡んだ人間を追い出していることからもよくわかる話だ。
森崎は頭を抱えながら先輩が調整してくれたCADを持って試合へと進む。暗い空気を醸し出しながら。
カウントダウンが終わり、試合が始まった。総司はアーカイブのダウングレード版を使って8つの水魔法を自分の周りに展開する。
知名度は低いかもしれない。ファランクスや爆裂と比べれば。だが見るものが見ればわかる。あの魔法は、『
八重奏とは四種八系統の魔法を1つずつ待機させ、それを状況に応じて発動していく魔法。そして総司が使っているのは……
加速系魔法『ウォーターブースター』
加重系魔法『不可視の弾丸』
移動系魔法『エクスプローダー・エア』
振動系魔法『振動氷結雨』
収束系魔法『ウォーターカノン』
発散系魔法『インビジブル・ミスト』
吸収系魔法『
放出系魔法『輻射波動』
水魔法だけに頼らずに自身の魔法力で作り出した魔法が2種類、既存が1種類、既存の魔法を改造したのが1種類、水魔法が4種類。これが総司なりの八重奏である。
先ずは暴食之王を使用して目の前のクレーを飲み込み、森崎のクレーだけ森崎が狙いづらい方向へと飛ばし、自分のクレーは壊す。これにより得点が一気に20点ほど増えた。
次に輻射波動を遠隔で起動して狙いづらいところに飛び回っているクレーを破壊する。
もちろん森崎への妨害は忘れない。領域干渉をしながらインビジブル・ミストを使用して視覚的な妨害も行なう。
そして振動氷結雨を使って残りのクレーを破壊すると……
『100対1』
とんでもない試合結果になった。なぜ、このような結果になったのか。それには3つほど要因がある。
1つは森崎の心的要因。総司を怖がりすぎたために十分なパフォーマンスを行なうことが出来なかったのだ。
2つ目は領域干渉とインビジブル・ミスト。七草真由美でもなければ視界を妨害されながら魔法もろくに使えない状況を打破するなんて不可能なのだ。
3つ目は、総司が試合に出る前の連絡だ。雫から連絡が来ていたのだ。雫からの連絡には、『私も十七夜栞さんと本気で戦うから本気で戦って』ということが書かれていた。
『……ふふっ、なら本気でやりましょうか、私が使うつもりはなかった、水を使わない戦術級魔法、そして私の技術の粋を集めた魔法を!』
水を使わない戦術級魔法とは暴食之王、輻射波動のこと。そして技術の粋を集めた魔法はエクスプローダー・エアやインビジブル・ミストなどのことである。
暴食之王は『転生したらスライムだった件』のリムルが使うスキルで、捕食やら解析やらできるチート。ちなみに解析ならギリギリできる。
輻射波動は『コードギアス 反逆のルルーシュ』の紅蓮弍式の武装。これはどんなところでも超高出力な電子レンジを配置することが出来る。この波動に当たればどんなものでも膨張して破裂するのだ。
エクスプローダー・エアは着弾点から等距離,円形の範囲の物体を高速移動で遠ざける魔法だが、どんなものでも、どんなところでも飛ばすことが出来る。明智英美が使う魔法だが、地面から飛ばすのに対して、総司は空中からでも飛ばせるのだ。
インビジブル・ミストは、水を瞬時に気体にして視界を狭めさせる魔法。そしてインビジブル・ミストは、それを好きなだけ広範囲に展開できる。ちなみに爆裂を組み合わせると地雷原なんて比べ物にならないほどの大爆発を起こせたりもする。
総司は真紅郎との戦いで、追い詰められたら使おうと思ってた魔法を森崎を完膚なきまでに倒すために持ってきたのだ。雫の言葉によって。
森崎の父親が聞いてた通り、悪口言ったら気をつけるべきなのは総司の周りの人間だ。総司は覚えていなくても、雫は覚えていたのだ。
森崎は控え室に戻った瞬間、ショックで寝込んだ。一点しか取れなかったのと、フルボッコにされたことからである。
総司は嬉々として雫に勝利報告を行ない、雫は栞に勝ったことを総司に報告した。
総司は知らない。ほのか経由で聞いた、森崎が負けたショックで寝込んだことを知った時の雫の顔を。とても総司には見せれないような顔だったと、ほのかは後に語る。
次回でスピード・シューティングは終わりです。そうしたら今度はアイス・ピラーズ・ブレイクです。
この話とても書きやすかったです。新ソ連との戦いを書いてた時くらいです。楽しかったです!
……この小説とは関係ない話なんですが、昨日の夜勢いでR18小説を書きました。後悔してます。書いて投稿して1日経って、あれ?これ普通にMだなって。何してんですかね…www
書くの楽しかったと言えば楽しかったので気が向けば投稿しますので、そちらもよろしくお願いします。魔法科ではなくありふれなのでそこだけよろしくです。