水を司る魔法科高校の転生者   作:排他的

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投稿遅れて申し訳ないです!TS劣等生の婚約者もよろしくお願いします!


本戦・ミラージ・バット

総司がモノリス・コードにていつもは見れない様子を見せた翌日、総司は頭を抱えていた。理由は簡単。なんであんなことやっちまったんだろうと。

 

「いくら2年前から探している再成と分解の持ち主かもしれないのが司波くんだからってあの暴走はやばい。石山と正雪はまだいいけど雫に見られちゃったしな……」

 

「総司、入るね」

 

「(し、雫!?)」

 

落ち込む総司の元に雫がやってくる。いつもなら動じることは無いのだが、今回はやらかした後だ。様々な企業に対して支援を持ちかけたり、ホクザングループに企業を誘致させるなどを行っているために顔に出すことは無いが、心の中では動揺しまくっている。

 

「今日は深雪が出るミラージ・バットだよ?早く行こう」

 

「あ、あぁ(……気にしてないのか?)」

 

やらかしたことについて全く触れてこないことを不審に思いながら総司は雫について行く。そして部屋から出ようとした瞬間、雫が口を開く。

 

「あの時のことは夏休みの特訓の時に教えてね」

 

「……わかった」

 

忘れられているなんてことはなく、総司は自分のやらかしたことだ、仕方ないと割り切り、雫に対して自分の目的を雫の特訓を行った後に話すことを決意した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……っ!」

 

「むっ……!」

 

雫に連れられてミラージ・バットの観戦席に向かおうとしている総司の目の前に愛梨が現れた。愛梨はミラージ・バットの試合に使う服を着て、栞と一緒に歩いていたのだ。

 

会った瞬間にバチバチと目から黄色い稲妻を出して睨み合う二人を見て栞はため息をつく。

 

「随分と余裕そうだね、流石稲妻(エクレール)。調整とかしなくていいの?」

 

「もうやることが終わったからとデートですか。いいご身分ね、北山雫……!」

 

「総司、おはよう」

 

「おはよう栞」

 

総司を取り合うライバルとして負けられない2人は言葉による応酬を繰り広げる。そんな2人を尻目に栞と総司は普通に挨拶する。

 

「愛梨、応援してるぞ。ミラージ・バットでも優勝できることを期待してる」

 

「私の対戦校に所属しているのにそんなこと言っていいのかしら?まぁ素直に受け取っておくわ」

 

愛梨は総司に応援してると言われて顔をほんのりと赤く染めながら礼を言う。少し言葉がキツイかもしれないが、内心とても嬉しがっている。

 

だがそんな2人の様子が気に入らないのか雫はジト目を愛梨に向ける。雫のジト目に耐えきれず愛梨はこほんと咳払いした。

 

「行きましょう、栞。あの司波深雪は油断ならないし、調整を完璧にこなしておかないとね」

 

「ええ、じゃあね総司、北山さん」

 

愛梨と栞はそのままスタスタと歩き去っていった。

 

「……もう少し愛梨に対しての口調、どうにかならないか?」

 

「ふん!」

 

いくら総司の言葉であってもそれだけは認められないと、雫は顔を横にそらして嫌だという意思を総司に示した。

 

それからまた少し歩くと今度は達也と深雪がやってきた。2人がやってくるのを見て、大丈夫かなという目を総司に向ける雫。だが総司は雫の懸念とは違うことをした。

 

「……兄が過剰攻撃(オーバーアタック)をしたことに対して謝罪させて欲しい」

 

「……いや大した怪我は無かったから大丈夫だ」

 

「頭をあげてください、そもそも貴方が悪い訳では無いでしょう!」

 

「そうだ、それに十師族に頭を下げさせたなんてことが知れたら噂に尾ひれが着く」

 

総司は深々と深雪と達也に向けて頭を下げたのだ。頭を下げた理由は家族の行ったことについて。

 

「俺は十師族の中でも評価が低い。俺が頭を下げたところで尾ひれが着くことなんざ皆無だ……俺の頭などで溜飲が下がるとは思えないが、家族の行ったことについて頭を下げない訳には行かないんだ」

 

その言葉を聞いて謝罪を受け取った司波兄妹。総司はようやく頭を上げると達也に紙を手渡す。

 

「俺の財界で動いている時の電話番号だ。俺ができることなら1度だけなんでもしよう……誠に申し訳無かった」

 

総司は再成を見て舞い上がって狂喜乱舞していたが、同時に兄である将輝の行いについて静かな怒りの炎を燃やしていた。もしその怒りの炎がもっと大きければ狂喜乱舞などせずにいたかもしれない。

 

「あぁ、ありがたく受け取っておく」

 

「では私たちはこれで」

 

深雪と達也が去っていく。2人を見送ってから雫が総司に尋ねた。

 

「あれ、渡しちゃって良かったの?」

 

「……いやいいだろう。司波くんとの繋がりがこれでまた強化された。近い未来、俺や雫の所に司波くんが来てくれるかもしれないしな」

 

謝罪の気持ちとしてのものであるはずなのに、それを利用して繋がりを強めようとする総司に抜け目がないと思いつつ、雫は優れた調整技術を持つ達也が来る未来を予想して嬉しそうにする。

 

 

 

だが、2人が予期した未来とは違った未来が2年後、実際に訪れることになるとは、まだ総司も雫にも予想することが出来なかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……あははっ、飛行魔法か。驚いたなこれは……」

 

「大丈夫、総司?発狂しない?」

 

「大丈夫だ。それにしても飛行魔法とは畏れ入る……本当に欲しいな、いやマジで」

 

総司の背中を擦る雫に大丈夫と手を向ける総司。総司と雫は今2人で観戦していた。何故2人で観戦しているのか、その理由は簡単。総司が発狂しても大丈夫なようにである。

 

そして総司と雫は空を見上げていた。ミラージ・バットは本来、跳躍魔法を使用して光の球体を叩いてポイントを得る競技で、滞空時間はとても短いのだが、たった今見せたものは今までのミラージ・バットの常識を根底から覆すものだった。

 

飛行魔法、最近新しく魔法師の常識を塗り替えたその魔法は、今度はミラージ・バットに投入することでミラージ・バットの常識を塗り替えたのだ。

 

使ったのは司波深雪。飛行魔法を調整したのは司波達也だろう。

 

滞空時間が短いとかいう話ではなく、空を自由に飛びまわり、球体を何個も壊していくその姿はまさに妖精であり、見るもの全てを容姿と併せて魅了していた。

 

「……一色愛梨、勝てるのかな」

 

「……分からないな、これは」

 

そんな深雪が飛びまわる様子を見て2人はそう零したのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

飛行魔法とかいうミラージ・バットにおいてのチート魔法が使われてすぐに他の高校も飛行魔法を使い出した。そんな中、飛行魔法を使っていない魔法師が1人だけ存在していた。愛梨の事だ。

 

「栞、調整はどうかしら?」

 

「……これで多分行ける。これなら愛梨が本当の稲妻になることが出来るはず」

 

別に出し惜しみしている訳では無い。第一高校以外の他の高校に配られた飛行魔法はさらなる力を元々強者である生徒たちに与えた。

 

だが愛梨はそれをまだ使っていなかった。

 

「……まさか、これを使う羽目になるなんてね」

 

「……迅雷(ライトニング)だっけ?」

 

「ええ。稲妻と同じ速さ……ううん、稲妻になれる魔法。私が普段使う魔法よりも早いけど、扱いが難しいから総司から渡されたのに使わなかった魔法……だけど、司波深雪に勝つために私はこれを使うわ」

 

「真紅郎に手伝って貰えなかったらこんな短期間で合わせられなかったわよ……とりあえずこの魔法の魔法名は疾風迅雷(ライトニング・ストーム)……これで決勝で司波深雪に勝ってきなさい!」

 

「必ず勝つわ!」

 

総司から貰った魔法と飛行魔法を組み合わせた魔法を持って、稲妻こと一色愛梨が司波深雪と相見える。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

本戦ミラージ・バット決勝戦、その会場には思い思いの煌びやかな衣装に身を包んだ少女たちがいた。その中でも一際輝いている少女が2人。

 

1人はアイス・ピラーズ・ブレークにてとんでもない魔法力を見せつけ、難易度の高い魔法をふたつも使いこなして優勝して見せた司波深雪。

 

もう1人は稲妻(エクレール)という異名をリープル・エペーで轟かせ、危なげなくクラウド・ボールで優勝した師補十八家の一色愛梨。

 

この2人がこの決勝の台風の目になり得ることを見ている観客も、参加している選手もそれを悟っていた。

 

「(私に完璧な調整をしてくださったお兄様の為に!必ず勝ちます!)」

 

「(総司、そして北山雫!見てなさい、私が勝つその瞬間を!)」

 

2人がそれぞれの決意を胸に抱き、カウントダウンが始まった。そして決勝戦が始まった。

 

深雪は始まって直ぐに飛行魔法を使用して、熟練の動作と言っても過言では無い動きで球体を叩いて着実にポイントを得ていく。

 

「(さぁ、始めるわよ!)」

 

そんな深雪の動きを見ても全く動じない愛梨。そして愛梨は栞と真紅郎が作り出した魔法を発動させた。

 

発動させた瞬間、愛梨の身体が高速で球体の所まで移動させられ、すぐさま別の所へと移動させられる。もちろん愛梨は移動させられる前に球体を破壊している。

 

明らかに違うそのスピードに深雪を含めた選手が驚いている。

 

疾風迅雷とは、総司がノリで作り出した最高スピードを身体に負荷をかけて一瞬で生み出すことが出来る迅雷と飛行魔法を組み合わせ、なおかつ迅雷によってかかる負荷を減らした複合魔法である。

 

疾風迅雷は移動する際に稲妻を使って精神から直接身体へと進む方向を入力しないと使えないため、これは愛梨にしか使えない魔法でもある。

 

身体に負荷をかけるため、いくら弱めていたとしても長時間の使用によりかなりの負荷がかかるはずだが、愛梨は長い間リープル・エペーで鍛えてきた体力と総司への思いで耐えている。

 

深雪が愛梨のいない所の球体を叩こうとしても、愛梨はすぐ様反応して深雪の叩こうとした球体を叩いていく。

 

「(お兄様に完璧な調整をしてもらったのに!?)」

 

「(身体がキツイ!今にも魔法が使えなくなりそう……!だけど……負けられない!!)」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

試合結果は、愛梨の勝ちだった。決勝戦まで跳躍魔法を使用し、最後の最後で飛行魔法を使えば深雪が優勝していたかもしれない。だが、この試合の勝者は愛梨である。

 

「勝ったわよ、総司!」

 

「おめでとう、愛梨。まさか迅雷を使ってくるとは思わなかった。使ってくれてありがとうな」

 

総司の言葉に愛梨は頬を赤く染める。ミラージ・バットが始まる前のような、ほんのり赤くではなく、本当に赤くなっていた。

 

この時ばかりは雫も邪魔したりしない。雫も仲が悪い愛梨に対して賞賛の拍手を送っていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……申し訳ありません、お兄様。負けてしまいました」

 

「一色選手があんな隠し球を持っているとは思わなかった俺も悪い。気にするな、深雪」

 

「でも……」

 

「来年、必ず勝つぞ」

 

「…………はい!!」




飛行魔法を使ったのは本戦に出てる他の選手が強かったから。愛梨に苦戦している様子は見られなかったし、オリ主の強化を含めてカーディナルと数字的連鎖を完璧に扱えるほどの頭脳を持つ栞が調整すれば勝てるんじゃないかな?と思ってやってみました!
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