水を司る魔法科高校の転生者   作:排他的

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九校戦を終えて

疾風迅雷(ライトニング・ストーム)……肉体に負荷を掛けてスピードを雷のようにして、さらに稲妻(エクレール)を使って方向転換……本当に無理したな、愛梨」

 

「勝ちたかったから……司波深雪に勝ちたかったから、仕方ないわ」

 

「……はぁ。どうして雫もお前もこう負けず嫌いなんだかね……」

 

総司はため息を吐く。ミラージ・バットを終えた翌日、総司は病室にいた。いつも一緒にいる雫はいない。用があるからとほのか達の方へ向かわせて、今頃本戦モノリス・コードで十文字克人の無双劇でも見ているのではないだろうか。

 

「骨は折れてないが身体が随分と疲れている。脱臼しているところもあるな。それに精神も疲労していてとても動ける状態では無いな」

 

「医者にも言われたわよ、それ」

 

「……こうなったのは俺が迅雷を渡したからでもあるからな。責任は取る」

 

「……責任って?」

 

クールに振舞っている愛梨だが乙女である。好きな総司から「責任は取る」という言葉を聞いて病床で寝ていながら頬を少し赤く染めている。

 

「俺の能力ならお前の肉体の修復も可能だ」

 

「……ちょっと待って、貴方の能力は水を操る能力よね?どうやって治すのよ……!」

 

愛梨の疑問は最もである。水を司る能力を持つ総司が肉体の修復や疲労を回復させることなんて不可能だと思うだろう。

 

「愛梨、お前はRPGのゲームをやったことがあるか?」

 

「……少しだけならやったことあるけど」

 

「だいぶ前に俺の秘密を知ってる部下がな、ゲームでよく見る回復薬とか作れないのか、と俺に聞いてきた」

 

「……」

 

「俺は戦闘しか使えないと思っていたんだが、よくよく考えてみたら温泉とかの効能とかって再現出来たっけと思ったわけだ……で、再現しようとしたら出来た」

 

総司の秘密を知っている部下とは正雪のことである。正雪は酒に酔ってこんなことを聞いてきたのだ。

 

『総司しゃまぁ〜疲れましたぁ〜』

 

『……珍しく酒に酔ってるな、普段のお前なら酒をそんなに飲むわけないのに……』

 

この時の正雪は長いこと任務に没頭していたため、ストレスが溜まっていた。そのストレスを解放するために酒に溺れたというわけだ。で、酔った。

 

『総司しゃま〜ゲームの回復薬ってつくれないんですかぁ〜』

 

『ちょ、本当に酒臭いから……回復薬?』

 

『総司しゃまなら作れますよね〜、ねぇ〜』

 

正雪のその言葉によって総司はなんか覚醒した。

 

正雪が酒臭いとかだる絡みしてくるとかは一切合切無視して総司は正雪が言っていたそれを再現して見せた。

 

水の成分を変えるという力は簡単ではなく、最初は鰹節の出汁をとった水とかそんなものしかできなかったが、最終的にはなろう小説とかによくあるポーションが再現できるようになったのだった。

 

「……それ治癒魔法超えてないかしら?」

 

「他にも俺よりすごいのあるからセーフ」

 

「……で、それってどこにあるの?」

 

「俺の身体だが」

 

「……は?」

 

「俺の身体の中でそれを今生成している。いつもは小瓶の中に入れて保管しているんだが、さすがに金沢の俺の事務所まで取りに行くのはめんどくさい」

 

総司は淡々と話しているが愛梨はポカーンとしたまま動かない。

 

「さてと」

 

「ちょっと待ちなさい!どうやってそのポーション?を私に使う気なの!?」

 

「身体の中に入れるんだよ、口からでもどこでもいいんだけど……」

 

「ちょ……」

 

愛梨は顔を赤く染める。試合を終えた後よりも赤い。好意を寄せる総司がキスをするようなことを言ったからだろう。だがそんな淡い期待は簡単に打ち破られることになる。

 

「まぁ腕から注射して流動させる方が楽だからそっちにしようか」

 

「……ガクッ」

 

寝ているから項垂れて地面に這い蹲るのは無理だが、動けたら間違いなくそうしようとするくらいには愛梨は落ち込んだ。

 

「(2つの競技優勝したんだからこれくらいのご褒美があってもいいじゃない……!?)」

 

ちなみに総司の作ったポーションは肉体と精神の状態を完璧に治癒させた。売ってもいいんじゃないかと愛梨は言ったが、総司は売る気は無いようだ。

 

「勿体ないわね……」

 

「これが大亜連合やら新ソ連やらにでも流通してみろ、最悪の事態になりかねない。この国を守るにはこれを流通させるのは得策じゃないよ……それにこれ以上煩くなるのは仕事の邪魔になるし」

 

「?」

 

総司の言葉に首を傾げる愛梨。もう立ち上がれるくらいには回復しており、最後の後夜祭のパーティーには出れるようになっていた。

 

「アイス・ピラーズ・ブレーク、スピード・シューティング、そして先のブランシュ壊滅などの功績で評価がガラッと変わったようでね、九島と四葉、十山、愛梨達の家以外が俺の事務所に電話を掛けまくってるんだよ……」

 

『あの魔法はどうなってるんだ』『なぜ隠していた』など色んな声が一条家と総司の仕事の事務所に届いていた。元より事情を知っていた家や、総司のことを気にしていない家などは連絡してこなかったが。

 

「あらら……」

 

「あらら……じゃない……仕事にならないって事務所の職員が言ってくるからどうしようか悩んでるんだからな……」

 

そんな総司の様子にそういう事情をまだよく理解していない愛梨は押し黙るしか出来なかったそうな。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…………将輝の気持ちがよくわかるよ」

 

「将輝はあれに付き合ってるのよ?」

 

「あいつ偉いな」

 

愛梨は無事退院し、総司とともに九校戦終了後のパーティーに出ていた。少し遅れて出席したようで学生が男女で踊っていた。

 

総司の評価が上がり、少しでも縁を作りたい魔法師の名家の令嬢や総司と踊りたいという女子学生が詰め寄ってきたが、そばにいた愛梨がそれを弾く。

 

「私も総司がいるから踊らなくて済むわね」

 

「そんなにいやか?」

 

「えぇ、下心が透けて見えるわ」

 

「……愛梨は綺麗だから仕方ないと思うけどな」

 

「あら、ありが…………え?」

 

愛梨は自分が持つ美しさとその実力や名声によって近づいてくる者が苦手なようで辛辣な言葉を吐いている。

 

そんな時に総司がいつもは言わないような褒め言葉を言ったので愛梨は反応が遅れた。

 

「(……え、今綺麗って言った?)」

 

「まぁ踊らない訳にも行かないだろうし……愛梨、少し俺と踊らないか?」

 

「…………えぇ、踊りましょうか」

 

愛梨は総司の言葉を反応を少し遅れさせてから了承した。総司も案外慣れているようで愛梨をリードして踊りの輪の中へ入っていく。

 

「……謝ったのかな?」

 

「え?」

 

総司の目に深雪と将輝が踊っている様子が映る。楽しげに踊っているので将輝は達也と深雪にオーバーアタックについて謝れたのかな?と思う。

 

総司と愛梨、深雪と将輝。2組のダンスは周囲で踊っている人すら魅了していた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「疲れたな……結局色んな人と踊る羽目になった」

 

「お疲れ様、総司」

「!……雫か」

 

総司は愛梨と踊ったあと沓子や栞、そして他の学校の生徒数人と踊ることになってしまった。

 

そのせいで少し疲れてしまい、総司はパーティー会場の外の庭で疲れをとっていた。

 

雫はそんな総司を見ていたらしく、総司の後をつけていたということらしい。

 

「……夏休みからよろしくね、総司」

 

「あぁ、任せてくれ。必ず雫を勝たせてみせるさ」

 

総司は雫の訓練を九校戦終了後に行うことを約束している。

 

「……ねぇ、総司は将来どうするの?」

 

「……俺は俺の夢を叶えるために動く。それだけかな」

 

「そう……」

 

総司の夢というのがよく分からないが、まだアプローチの余地はありそうだと雫は思う。

 

「…………踊ろう」

 

「え?」

 

「最後がよく知らない人なのは後味悪いし、雫と踊ってないからね……どうかな?」

 

「……うん!」

 

月の光に照らされて2人は踊った。疲れ果てるまで踊り続けた2人はとても楽しそうだった。




……なんか長かったなと思います。後よくエタらなかったなと思います。リロメモで星4イベントキャラが全く出なかったり、呼延灼とかのFGOの欲しい星5キャラが出なかったりで落ち込んだりして時間がかかったんですがね……

番外編的なのを予定しています。

①雫の訓練
②追憶、正雪・石山との出会い
③総司のお見合い?

をやろうと考えてます。①と②は必ずやりますが、③はたぶんやる気がなくなりますね。そのまま横浜騒乱に行きそうです。

TS劣等生の婚約者は少し遅くなりそうですね。今八男って、それはないでしょう!と無職転生にハマってて遅くなりそうです。あとモルガン祭とか。

まぁこれからも気長に待ってくれると嬉しいです。来年は受験が本格的に始まるのでもっと投稿スピードが遅くなりそうですしね。
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