水を司る魔法科高校の転生者   作:排他的

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不法入国者

「……こうやって一人で対処するの、久しぶりかもしれないな」

 

闇夜の中、総司が一人呟く。悲しみを目に宿らせているように見える。総司にそんな気はさらさらないが、約立たずの烙印を押されて一人だった頃のことを思い出しているのかもしれない。

 

夏休みを終えて、雫と共にまた学校に通い始めていた。全国高校生魔法学論文コンペティション、通称論文コンペで生徒が騒がしくなる中、人が足りないことが原因で総司は部下の代わりに対処に来たのだ。

 

その問題とは、密入国。石山や正雪、そして総司の精鋭達がここ横浜山下埠頭に密入国者がやってくることを知らせてくれたのである。

 

敵の正体は未だ掴めてはいないが、この密入国者を捕まえれば少なくともその正体と目的くらいは掴めるだろうと総司は横浜山下埠頭までやってきたのだ。

 

「……あれは千葉の長男かな?」

 

総司は既に神之瞳(アルゴス)という魔法を発動している。色々な場所に分身体を置いて神之怒(メギド)と同じ原理のレンズを操作して色々な目視できない所を観察できる魔法である。

 

その魔法を使うことで総司は遠くにいる千葉の長男こと千葉寿和と彼が率いる警察の群れを確認したのだった。

 

「千葉家の剣士はエグイのが多いって正雪が言ってたからなぁ……先に船に乗り込んで確保するか」

 

『近接魔法師は普通の魔法師にとってキツイ相手ですけど遠距離で動かさなければ何とかなります、ですが千葉家は遠距離攻撃も多彩ですからあまり戦わないようにしてください。もちろん千葉家以外にも頭おかしい近接魔法師はいっぱいいますからね!』

 

正雪が口酸っぱく言っていたことを思い出して総司は密入国者のいる船の中に侵入することにした。

 

「侵入完了」

 

侵入した後、密入国者を確保しようと高速でその者達の元に向かおうとした瞬間、ダガーが飛んできた。

 

ダガーの数は十数本、総司はダガーを咄嗟に氷の盾を作ることで防ぐ。

 

「……もう気づかれたのか」

 

「警戒してた。日本には外敵を許さない鬼がいるってアイツらが言ってたからずっと警戒しとけって言われてた」

 

「……そうか、まぁお前の言うアイツらとやらは確保させてもらう、お前もだが」

 

見るからに小柄な女の子が何も心を感じさせない声で話し、さっき投げてきたダガーと同じものを構えて襲いかかってくる。

 

総司は女の子の攻撃を捌きながら分身体を飛ばす。何となく長丁場になりそうだと思った総司は分身体に他の密入国者を確保してもらおうとしたのだ。

 

「お前、見た目の割に強いな」

 

「何言ってる?私は18歳、大人のレディー」

 

「……雫と同じタイプか」

 

雫と同じ子供体型ということを理解した。だがそれと同時にその子供体型で近接魔法師である正雪と拮抗できる総司を押すことができるその実力に総司は感嘆の声を漏らす。

 

「……きついなコイツは」

 

ダガーによるラッシュ、そして時折挟まれるダガー投げに愚痴をこぼす。中々攻撃を挟むことが出来ずにいた。

 

「このまま押し切る!」

 

トドメを刺そうと急接近してくる相手に総司は身体を流体化して避け、そして通り過ぎた女の子に手を向けて意識を落とす。

 

それが終わったあと、船に強烈な振動が響き、分身体が消えたことが確認された。どうやら千葉寿和率いる警察が強力な魔法を船に叩き込んだらしい。

 

分身体がぐらついたその隙に密入国者はそのまま海に飛び込んで逃げたようだ。総司の分身体は警察が乗り込んできたためそのまま消えたということだった。

 

「……逃げられたか。まぁコイツを捕まえて置けばいいか」

 

アサシンっぽい自称18歳の女の子ごと流体化して家まで帰ることにしたのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「お前の所属とか諸々吐いてくれ」

 

「吐くわけない、寝言は寝て言え」

 

家に着いた総司は自分で作った氷の縄を使って捕縛した女の子に対して尋問していた。まぁ結果はご覧の通りであり、睨まれるだけで終わった。

 

「……仕方ないか」

 

総司は先程意識を落としたように女の子の前に手を向ける。その様子をキョトンとした様子で見る女の子は手を向けて何かを発動した瞬間に目が虚ろになった。

 

「お前の情報を全部吐け」

 

「私は林 夜鈴(リン イーリン)、14歳、大亜連合の人造魔法師の一人で要人警護が役目。身体強化が得意魔法」

 

「本当にそれだけか?お前が常日頃から隠していることとかはないか?」

 

身体強化だけで総司と互角以上に打ち合えるとは考えられない。14歳まで訓練すれば行けるのかもしれないが、生憎と正雪も特殊な生まれである。それだけで勝てるとは思わず、総司はさらなる尋問を行った。

 

「腐れジジイからお菓子とかお金を盗み取ってる。それとこの前スケベジジイの悪口をネットに書き込んだ。それに……」

 

「…………」

 

総司は隠していることを聞いて後悔した。出るわ出るわ夜鈴のお偉いさんへの嫌がらせ。総司はそれを遮断しようとする。

 

「後は、私は転生者ってことと……」

 

「!?」

 

 

遮断しようとした瞬間に夜鈴のふと言ったその言葉に総司は動揺する。そして操作をミスった総司は夜鈴を操っていた術、心理掌握(メンタルアウト)を解除してしまう。

 

「!……何をした!」

 

「……転生者だと?」

 

「!?」

 

「俺以外に転生者がいたことに驚きだ」

 

「……洗脳か何かか!」

 

「違う、お前の意識を操作しただけだ」

 

洗脳と言われて総司は咄嗟に否定する。まぁ心理掌握も洗脳もほとんど同じようなものではあるから訂正しても変わらない。

 

「意識の操作!?なんだそのチート能力!」

 

「うるさいぞ年齢詐称女」

 

「年齢まで……」

 

「なんか悪いな」

 

勘違いした夜鈴に悪口を言うとそこまで知られているのかと落ち込んだ。それに対して少し謝ると気分を持ち直したのかじっと総司を見つめてくる。

 

「それで、ここまで捕らえて何する気?」

 

「情報が欲しいだけだ。大亜連合から来たってことが知れたからな。もう用済みだ」

 

「!?そんなわけない!こんな美少女捕まえて何もしないなんてありえない!」

 

「……なるほど、死がお望みか」

 

「違う違う、そんな殺伐してるのじゃなくて、ほらもっとあの……」

 

「もっとあの?」

 

「せっくモガッ!?」

 

夜鈴がなにか言おうとした瞬間に口を塞ぐ総司。

 

「何言おうとしてんだお前」

 

「くっ……」

 

「いや、くっじゃねぇよ」

 

呆れ返る総司。何を言おうとしたのかは分からないが、言ったら健全なこの小説のイメージが崩れそうになるかもしれないのだ。

 

「……で、私はどうなるの?返してくれるの?」

 

「……帰っても死ぬぞ、お前」

 

「へ?」

 

「お前と同じ姿でお前の仲間を襲ったからな、お前が裏切ったとでも思ってるんじゃないか?」

 

「そんなことできるわけ…………意識の操作か」

 

「いや、認識を操作しただけだ。霧と水を乱反射させて俺の分身体をお前だと誤認させただけ」

 

ご丁寧に分身体が取った作戦を映像付きで見せると夜鈴は諦めたようにため息をつく。

 

「チートすぎ、どんな特典もらったの」

 

「水の操作だ」

 

「なるほど、それなら納得がいく」

 

「お前は?」

 

「身体能力強化。やろうと思えばコンクリートを指で粉砕できるようになる」

 

「そうか」

 

夜鈴の特典を聞くと総司はふとこんなことを言った。

 

「雇われる気は無いか?」

 

「え?」

 

「まぁ敵だったお前にこんな事言うのもあれだがな」

 

「給与は?」

 

「え?……基本月給がこんな感じで手当とかも含めてこれくらいか?」

 

「乗った!」

 

「はぁ!?」

 

「そもそも大亜連合の人造魔法師ってだけだから思い入れないし……給料低いというか貰えない時もあったから」

 

頭を抑えながら言ってしまった上に可哀想な話を聞いたので仕方なく首輪付きで夜鈴を雇うことにした総司だった。




感想で一騒動あった心理掌握と使って欲しい能力募集で来た鏡花水月の偽造能力とだいぶ前に教えてもらった神之瞳を使ってみました。心理掌握と鏡花水月と神之瞳はこれからも多用されそうです。

転生者は複数にして行きます。今回は2人目なので大亜連合から登場させましたが……寝返らせました。夜鈴はモデル未定です。決まったら書きますが、雫くらいの身長の子です。

というか総司がフルで動くと原作勢で勝てそうなの達也レベルの魔法師ぐらいなんですよね。近接で勝つのにもバイオライダー的な能力もありますから難しいですし。

ほとんどの戦略魔法に勝てますから転生者を投入しないと本当に作業で終わりそうなので、転生者複数で行きます。

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