水を司る魔法科高校の転生者   作:排他的

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同じ転生者

「私は反対です!」

 

「えぇ……」

 

夜鈴が総司の首輪付きの部下になった翌日の夜、総司は部下を一度全員帰還させた。夜鈴にした尋問で相手の正体が分かったからだ。

 

部下が全員帰ってきて、夜鈴のことを説明するとほとんどの部下が夜鈴の雇用を認めなかった。理由は簡単、大亜連合の人造魔法師で大亜連合に愛着がないにしろ、雇い主を簡単に裏切る奴を信じられるわけが無い、という理由である。

 

「愛されてるね、総司」

 

「総司様を呼び捨てにするのも気に入りませんが、絶対この人裏切りますよ」

 

ほかの部下もそう思っているのか首を一斉に縦に振る。

 

「夜鈴には首輪が着いてる。正雪と石山、それと夜鈴と行動することになる人にはそれを作動させるスイッチを渡す。なんかあったら独断で消して構わない」

 

「……酷くない?」

 

「裏切る部下なんて要らないからな」

 

まぁそれならと正雪達は仕方なく夜鈴の雇用を渋々認めた。まだ夜鈴を睨みつけている部下も何人かいるが。

 

「さて、提供された情報と想定するべき敵を組み合わせると主な敵の戦力は呂剛虎と直立戦車、ジェネレーターにハイパワーライフル持ちの兵士、戦艦だろう。流石に俺とお前らでこれを全て片付けれるわけが無い」

 

「そうですね、他に持ってこれる戦力ってないんですか?」

 

「一条と七草と十文字は動かせるだろうが……証拠がないんだ、夜鈴の証言だけじゃあ十師族は動かせない。一条はそもそも担当地域が違うしな」

 

総司は軍とのコネクションがない。仕事関係で遠山つかさ辺りとコネがあるが、数が足りないだろう。

 

「なぁ夜鈴、そもそもアイツらは横浜山下埠頭からどこに行くつもりだった?」

 

「知らない、私は護衛でそれ以外は何も」

 

「使えませんね」

 

「む」

 

夜鈴は護衛で守るだけだったために何も知らなかった。まぁ総司が侵入してきた時に一人で警戒していたことからも中枢にいた訳では無いということだろう。

 

「……横浜からそう遠くには行ってないはずだ、大亜連合を受け入れるところ、なんかないか?」

 

「あぁそれなら横浜中華街では?」

 

「中華街か」

 

横浜中華街は現在、戦後の再開発でビルが壁になっており、四方の門からしか入れない城のような作りになっている。商売しか考えていない者もいるだろうが、大亜連合に協力する者もいるだろう。

 

「とりあえずは横浜中華街に探りを入れるか。残りは相手の出方の警戒、後通常業務を行ってくれ」

 

「わかりました!」

 

部下が全員出ていき、総司と夜鈴だけになった。正雪と石山が心配そうな顔をして部屋に残ろうとしたが総司が目で部屋から出るように伝えてきたため渋々出ていった。

 

「で、お前にまだ聞きたいことがあるんだが」

 

「なに?」

 

「俺とお前以外に転生者はどれだけいる?それと大亜連合に転生者はいるのか?」

 

あの時の心理掌握でも答えなかった……というか聞きそびれていたことだ。

 

「転生者はいると聞いてる。でもどれだけいるかは分からない。年代、出身地はバラバラだから」

 

「なるほど、それで大亜連合には?」

 

「末端の護衛にそこまでの情報は回ってこないから分からない」

 

「分かった」

 

夜鈴が転生者関連で知っていることはほとんどないということがわかると総司は端末を取り出して操作する。夜鈴の仕事の説明のためだ。

 

そんなことをしていると夜鈴は不思議そうな顔をして総司を見つめる。総司が端末を操作し終え、端末を見せようとすると夜鈴の不思議そうな顔に気づいた。

 

「なんだ」

 

「いや、心理掌握使わないのかなって」

 

「使う必要は無いだろ、これからは俺の部下なんだし」

 

「は?」

 

「部下のことを信頼するって決めている。一度部下にしたら裏切らない限り俺はそういうことはしないとね」

 

「馬鹿なのか?」

 

「馬鹿ならこんな危険なことしてないぞ」

 

総司はそう言いながら端末を見せて夜鈴に夜鈴がやる仕事を説明するのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「へぇ、司波くんが論文コンペに出るんだ」

 

「うん、ほのかがすごい喜んでた」

 

「市原先輩だったっか、今回のメイン」

 

「そう」

 

論文コンペ、正式名称は全国高校生魔法学論文コンペティション。全国に散らばる魔法科高校の生徒達が大学、企業、研究機関に向けて魔法学や魔法工学の研究成果を発表する場である。

 

総司が投資をしている会社やホクザングループの傘下に入れた会社も見ていることから規模が大きく、かつ社会に浸透していることが分かる。

 

「それとエリカ達が殺気立って出て行ってた。多分なにかあったんじゃないかな?」

 

「……そうか」

 

雫は総司の元で魔法技能の強化を図っていた際に殺気というものを感じれるようになっていた。普通の魔法が使える女の子が殺気を感じ取れるようになったのは良いのか悪いのか分からないが、どうも申し訳なく感じる総司。

 

何故殺気という普通なら感じ取れるはずのないものを感じ取れるようになったのか、それは総司のところで訓練していたら殺気立って戻ってきた部下に出くわしたりしていたからだ。

 

回避させようにも雫の訓練ができる場所はそこしか無かったので仕方ないことではあるが。

 

「千葉さんが殺気を纏うって相当だな……最近妙なものを見るから気をつけてくれ、もちろん潮さん達にも」

 

「うん、わかった」

 

「そろそろ時間だな、送っていくよ」

 

総司は雫を連れて北山家まで送る。警戒を怠るつもりは無い。数少ない友達を全力で守るという意志がそこに見える。

 

「ありがとう、総司」

 

「どういたしまして、それじゃあまた明日」

 

「うん」

 

雫と話していたらもう夜が遅くなってしまい、総司は流体化でさっさと帰ってしまおうかと思いながら歩く。流石に公衆の場で流体化を使う訳には行かない。

 

「あれ?」

 

北山家から離れて繁華街を通りながら一条家の別邸に帰ろうとする。だが気づくと総司は見当外れのところにおり、人が沢山いる賑やかな通りではなく路地裏にいた。

 

「……どうなってる?」

 

「来たか」

 

総司は目の前に引き締まった体つきの大男を見た。

 

「一条総司、我々にとって邪魔な存在はここで排除する」

 

「……大亜連合関係か、とりあえず倒して情報を吐かせるか」




サブタイトルは適当です。変わるかもです。
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