新入生勧誘期間。それは第一高校に新しく入ってきた生徒を自分たちの部活に勧誘せんと目をギラギラさせながら色んな部活の生徒が問題を起こしまくる、生徒会、風紀委員会、部活連にとって頭痛の種となる期間のことである。
今年の新入生も粒揃いだ。既に生徒会に入っている司波深雪を除いてもまだ沢山成績優秀者は残っている。
周りからの評判は悪いが新入生首席、そして四系統八種の魔法を満遍なく使え、知識面でも優れた魔法師である『一条総司』
名前通り光のエレメンツであり、魔法師としての力量も深雪や総司と比べれば落ちるが数字付きナンバーズに負けてないであろう『光井ほのか』
ホクザングループの総帥の娘にして、Aランク魔法師『北山紅音』の血を引き、主に振動系が得意な魔法師である『北山雫』
数字付きであり『金属精錬』で有名な十三束家の息子であるが、金属精錬が使えずに『鬼子』として敬遠されている一方、近接戦闘に於いてはめっぽう強い『レンジ・ゼロ』の異名を持つ『十三束鋼』
十三束鋼と同じく数字付きで、十三束鋼程の特徴は持っていないが確固とした実力を持つ『SSボード・バイアスロン部』所属の五十嵐亜実の弟、『五十嵐鷹輔』
イギリスにおける現代魔法の名門『ゴールディ家』の血を引き、ゴールディ家から認められていることから『魔弾タスラム』を使えると推測される『明智=エメリア=ゴールディ=英美』
他にも実力ある魔法師の卵がいるため、今代の生徒会長達の代と同じくらい騒ぎになると考えられており、風紀委員会と部活連、そして生徒会が提携して対策を講じている。
そんな中、総司はというと……
「これより、ブランシュのアジト襲撃ブランシュのメンバー捕縛する作戦を実行する!」
「……作戦名、どうにかならなかったんですか……総司様」
「略してブランシュ襲撃ブランシュ捕縛作戦!」
「略せてないです!石山、何とかしてください」
「総司様のネーミングセンスの無さと厨二病っぽさは変わらないでしょうっ!今更ですよ〜!」
「……どちらにせよ、ブランシュを壊滅させるんだからブランシュ壊滅作戦でいいか」
「あ、やっとまともなネーミングになりましたね……」
正雪と石山とじゃれあいながら正雪達に渡された情報を元としてブランシュのアジトに強襲をかけようとしていた。
原作では第一高校への襲撃が理由だったが、今回はアンティナイトや銃火器を始めとした軍事物資の仕入れなどが理由となっている。
この作戦は一条家当主『一条剛毅』、七草家当主『七草弘一』、十文字家当主『十文字和樹』の認可の元動いているため誰も文句は言えない。
この作戦を実行するメンバーは総司、石山、正雪の他に、『一条総司』が抱えている私兵だけで行なわれる。総司以外に克人や七草家の長男などが動けばその家の私兵も動かせたが、総司はそれをしなかった。
「そろそろ汚名を返していきたいからな」
アンティナイトという言葉を聞いて少し心配していた剛毅だったが、その言葉を聞いて『一条家』の私兵は出さなかった。
だが他の家の私兵を出させなかったのは他にも理由がある。
総司の使う魔法とアンティナイトだ。
『
『
どうせ見せるなら日本中の人々が注目する場である『九校戦』などの大舞台で見せたい。そしてこれまで自分を見下してきた奴らを驚かせてバカにした奴らを笑いたい。
それが理由のひとつだ。これを聞いた正雪と石山は、
『相変わらずひねくれてますね……まぁ気持ちはわからんでもないですが……』
と言っていた。
そしてもうひとつの理由がアンティナイト。ブランシュがアンティナイトを仕入れたという話は総司にとって嬉しい話だった。
昔の話だが、アンティナイトを総司は1回受けたことがある。北山家が襲撃された時の話だ。水を司る力で事なきを得たが、あの魔法師に魔法を使えなくさせる力は強大だ。
その力を少しでも得て研究するために、総司は認可を取るために提出した書類を少し改竄し、アンティナイトを3つほどリストから消しておいたのだ。
水を司る力だけでは勝てない時を考慮して、アンティナイトという切札を得ておこうと考えて。
「……ここか」
少し経ってから総司達は第一高校近くの廃工場に着いた。中には大量の武器を持った兵隊がいると考えている総司は急いで敵を倒そうと勢いづく部下を押しとどめてアーカイブから魔法を読み込んで発動する。
「あまごい、あられ」
水を司る力によって作られた戦術級魔法『あまごい』『あられ』。これは総司が指定した領域内に雨と雹を降らせる魔法。水を司る力を持つ総司が使えば戦略級になることも有り得る。
雨と雹がいきなり降り始め驚く正雪と石山以外の総司の私兵。だが総司が動じてないことを見るとすぐに落ち着きを取り戻した。
「……下地はもうすぐ出来上がる」
3分くらい経ち、廃工場やその敷地の地面が雨と雹によって濡れ始めると総司は新たな魔法を読み込む。
「凍てつけ…Eternal Coffin」
その魔法名を口にすると廃工場とその地面が氷に覆われていく。廃工場からは徐々に建物が凍っていく恐怖からか悲鳴が聞こえてくる。
「……身体が冷たくなって活動できなくなるまでこのままにする。どうせここには防寒器具も満足にないだろうし……ストーブやエアコン程度なら簡単にぶっ壊れる」
「……えげつねぇ…」
誰かが言った言葉に総司以外の面々が納得する。ブランシュのメンバーは出たくても分厚い氷に包まれた廃工場からは出られず、凍えて捕まる未来を待つしかないのだ。
これをえげつないと言わずしてなんという。
扉なども凍って開かなくなるので氷を破壊するためのロケットランチャーなども使えない。まぁ破壊されたところから氷はすぐに修復されるが。
凍らせてから少し経ち、そろそろ動けなくなって気絶でもしている頃だろうと考えた総司は氷を溶かしてブランシュのアジトである廃工場に侵入する。
侵入した廃工場の中ではブランシュのメンバーだと思われる男たちがあまりの寒さに眠ってしまっていた。総司は部下に拘束して武器を取り上げるよう指示して奥の方へと進んでいく。
奥にはブランシュのリーダー『司一』がおり、司一もやはり眠っていた。総司は正雪達から聞いた『
「……これか」
総司はアンティナイトを3つ懐に仕舞い、司一を移動魔法で動かして正雪達の方へ持っていく。
「目的のものは手に入れましたか?」
「あぁ、警察呼んで引き渡すぞ」
「了解しました」
総司はブランシュのメンバーとブランシュのアジトの中にあったエガリテメンバーの名簿を手に入れそれを警察に渡し、事情聴取を受けてそのまま家に帰っていった。
家に帰った後、一通のビデオメールが届いていた。
「(父さんかな)」
労いのメッセージでも送られているのかと開けてみると一条剛毅の名はなく、総司がよく知る人間の名前が書かれており、総司は嬉しそうにする反面、何故このタイミングで……と考える。
「(とりあえず、見てみるか……!?)」
その内容はというと……
『ちょ、この惨状を送るのはやめてくれ!兄の威厳が薄れてきてるのにこれを見られたらまじで威厳が完全に無くなる!総司だけなんだぞ、俺を尊敬の眼差しで見てくれるの!』
『うるさいわよ、将輝!私に総司が第一高校に行くって伝えなかった罪は重いわ……!ジョージ、重石を追加しなさい!……安心しなさい、まだ撮ってないわ』
『え、いや将輝も割と限界……『やりなさい』はいぃぃ……』
「なぁにこれぇ……」
一条家の訓練施設で撮られた動画なのだ。そして端っこに見えるのは一条家次期当主一条将輝で『一色家』の長女であり『
将輝は愛梨の指示で重石をジョージに載せられている。そういえばあの3人に第一高校に行くことを伝え忘れたということをやっと思い出した。
「(これ、俺もやばいかな……)」
将輝が伝えなかったことで重石を載せられているのだ。総司はそれでは収まらないだろう。
『カメラ回ってるよ、愛梨』
『はぁ!?嘘でしょ撮り直して!こんな姿見せられないわよ!』
『今更だぞ愛梨よ……』
上から順に『十七夜栞』『四十九院沓子』。総司が色々な技術に手を出していた頃に知り合った少女達である。
『ちょ、切ってちょうだい!本当に……!』
『わ、わかったわ……じゃあね、総司』
慌てて切るよう言った愛梨の言うことを聞いて栞はカメラを切った。
「……これ、送る送らないで揉めて結局送ってきたパターンかな?……もう1個来てるし……」
総司はもう1個のメールを見て愛梨が伝えようとしていたことを理解した。
『九校戦までに覚悟を決めておくのね』
将輝以上に酷いことになりそうだと思いながら総司は顔を青ざめさせながら額に手を置いた。
「九校戦、嫌になってきたな……」
そう総司は言葉をこぼしたのだった。
情報を手に入れて、アンティナイトやら色々仕入れられているのに手をこまねくつもりは総司にはありません。ブランシュを速攻で潰しにかかりました。
次回はブランシュ壊滅後の後始末ですね。
それで入学編は終わりです。入学編が始まって4話しか経ってませんが……。
『あまごい』『あられ』:ポケモンの技
『Eternal Coffin』:魔法少女リリカルなのはAS、クロノ・ハラオウンの魔法
です。