トライ×ライブ! ~Rainbow Generations~   作:がじゃまる

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アニガサキ3話で無事灰になりました
ネオスカ特殊EDはアカンやろ……


9話 合身する脅威

「南雲君、これバックヤードの方まで運んでくれない?」

 

「うーす」

 

炊事前の主婦や仕事帰りの人々で賑わう店内。忙しく動き回る店員達と同様の制服を着用した昂貴もまた眼前の業務へと勤しんでいた。

 

週5回の頻度で出勤しているアルバイト。ここに勤め始めて長いが、やはりこの時間帯の激務は堪える。

 

『……本当に苦労しているな、君は』

 

(ま、母さんは過労でぶっ倒れて以降入院してるし親父は豚箱の中だ。流石に俺が働かねぇとどうしようもないからな)

 

一応母親の保険である程度の生活費は確保できているが、やはりそれだけでは厳しいものがある。

 

居住地区がお台場近辺であるのはある意味幸いだったろう。最低賃金の高い東京というだけでなく、人の往来が多いここら一帯の小売店は軒並み給料が高い。少しでも金が欲しい自分にとっても有難いことだ。

 

最も、父親があんなことをしでかしてなければこんな事にはなっていなかったのだが。

 

『その姿勢には感服する。君は立派だ』

 

(そりゃどーも。どこまで報われるかは知らないけどな)

 

『報われるさ。私が保証する』

 

そう断言したタイタスの声音はいつになく優し気なものだった。

少しの間の後、意を決したように彼は続ける。

 

『このような同情の仕方が好ましくはないことは理解の上だが……実は私の両親も誇れるようなものではなくてな。星に背いた反逆者だった……養父からはそう聞かされている』

 

「っ……」

 

出かけた声を飲み込んだ。

タイタスの母星、U-40についてはこの数日間で度々聞かされていたことだが……そんな話は初めて耳にする。

 

『私の黒い肉体はその動かぬ証拠だ。故に昔の私はこの姿になること、延いては自らの存在に悩むことも少なくはなかったな』

 

時折作られる彼の思念体が他のウルトラマンと大きく異なる理由を理解する。それは反逆者の血を引く証だ。もしそれを目にされればどのような扱いを受けるか、それは昂貴にとっては想像に難くない。

 

『そんな私に血筋など関係ないと教えてくれたのがマティアという友だ。彼にこの背を押されたからこそ今の私がある…………もう、遠い場所に行ってしまったがな』

 

最後に声を窄ませた訳は察さずともわかる。

タイタスが反逆者の血筋という枷を負いながらも戦士団の一員として認められるまで邁進したのは、その友人の想いに答えるためだったのかもしれない。

 

『まあ、何と言うかな。出自がどうとか、そんなことは関係ない。君の心は君だけのものだ。君がそれを忘れずに歩み続ければ、必ず世界は変わる』

 

(……そんな単純じゃねぇだろ)

 

確かに彼は変われたのかもしれない。けれどそれは誰しもに当て嵌められるものではない。

励まし自体は有難く受け取っておくが……この現状が覆せるようなものとは思えない。

 

(…まあ、一応覚えてはおくが……今は仕事だ。サボったせいでクビになって今あるモンまで失うのはゴメンなんでな)

 

『それもそうだな。私も力を貸そう』

 

肉体に宿ったタイタスの力により抱えた荷物が綿のように軽くなるのと、それらが床へと雪崩落ちるのは同時だった。

 

勢い余った訳でも、まして昂貴の身体に異常が起こった訳でもない。原因は今しがた起きた巨大な揺れだ。

 

「地震か……?」

 

『いや、それにしては短すぎる……これは―――、』

 

タイタスが言い切るよりも早く。

 

『ッッッ――――――!!!』

 

大地を割くような轟音が、全てを震撼させた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『シュアァッ!』

 

立ち昇った光の柱から即座に跳躍。降臨したウルトラマンタイガは進行する怪獣へ飛び蹴りを叩き込む。

 

『ゴルザ……? いや、それにしては形状が……』

 

先制の一撃を決めたタイガの中で眼前の怪獣を注視する。頭部やその体系から恐竜のような印象を受けるが、肩から伸びる羽を始めとした、それぞれの部位で形状や体色の一致しないパッチワークのような全身はキメラを思わせる。

 

間違いなく自然下に存在する生物ではない。そんな確信と共に雄牙は警戒の帯を締める。

 

 

 

―――――合体怪獣(ガッタイカイジュウ) トライキング

 

 

 

『ッッッ――――――!』

 

『うおぉぉッ!?』

 

身構えた直後、怪獣の頭部から放たれた雷を伴った火炎。

同時に迫りくる高温と衝撃を側転で回避し、体勢を立て直したタイガは勇猛に構える。

 

『テヤァッ!』

 

進路上の建物を粉砕しながら突き進んでくる奴に対しとったのは正面衝突。

相手は未知の怪獣だ。一先ずは力量を図る狙いもあっての行動なのだろうが―――、

 

『ぐあぁ……!』

 

その圧倒的膂力を前に容易く突き飛ばされるタイガ。同化している雄牙にもその力量差がジンジンと伝わってくる。

 

『何て、パワーだ……!』

 

「痺れてるみたいだ……力勝負じゃまず勝てそうにないな」

 

『ああ……だったら!』

 

即座に立ち上がったタイガは次の手に出る。

再度突撃を仕掛けてくる怪獣の真上を跳び箱に挑むかのように飛び越え、陣取った真後ろから水晶体の生える背中へラッシュを仕掛ける。

 

『ッッ――――――!!』

 

『くっ……!』

 

だがそれも長くは続かない。真上へ振り抜かれた尻尾を回避したことで再度距離が開いてしまう。

 

『ッッッ――――――!!!』

 

『˝スワローバレット˝ッ!』

 

今度のその距離を詰めたのは突進ではなく弾幕。

第二の顔面を持つ腹部より無数の光弾が乱射され、対抗したタイガの打ち出す刃と衝突する。

 

だが僅かに――――奴が勝った。

 

『コイ、ツ……!』

 

後方へ身を投げ出し、何度も地面を転がる最中でタイガに生まれた一つの気付き。それは直ぐに雄牙へと共有される。

 

『……前に訓練校で習った˝ファイブキング˝って怪獣に似ている。けどコイツはそれを構成するパーツが二つほど減っている―――言うなればトライキングだ』

 

「名前なんてどうでもいいだろ! それよりどうすんだよコイツ!」

 

『言われてもわかんねぇよ! 俺だって初めて戦うんだぞ!』

 

口論の間にもトライキングと呼ばれた怪獣の攻撃が止むことはない。

吐き散らされた咆哮と共に広がる光弾の嵐。その間を掻い潜りながら必死に打開策を模索する。

 

ゴルザにメルバ、そして超コッヴ。奴を構成する怪獣の情報はタイガの知識から共有されている。そこから何とか反撃の糸口を見つけたいが―――、

 

『ッッッ――――――!!!』

 

「ちぃぃ……!」

 

トライキングの猛攻はそんな暇すら与えてくれない。

回避、回避、とにかく回避。無尽蔵に湧き出てくる光弾に対処するので手一杯だ。こうしている間にもどんどん街は壊されているというのに。

 

またも警報よりも前の出現だったが故に避難は殆ど完了していないはずだ。

 

一体どれだけの人がこの戦いに巻き込まれているのか……そう考えるだけで焦りが加速する。

 

「タイガッ……!」

 

『わかってる!』

 

このままでは埒が明かない。多少強引であろうと光明が見えるのならその手段に出る他なかった。

 

掲げたタイガスパークを媒介として光を集約させ、増幅された虹色のエネルギーを全身に巡らせる。

 

『˝ストリウムブラスター˝ッ!!』

 

弧を描くようにして放った奔流が軌道上に存在する全ての光弾を打ち消し、その上でトライキングへと命中。衝撃で後退した奴目掛けて全力でスパートを切った。

 

「『うおおおぉぉぉぉぉぉッッ!!!」』

 

稲妻と火炎の障壁を掻い潜り、辿り着いた奴の懐へ渾身の体当たりをぶつける。

 

エネルギーの消費が激しい故に多用出来ないストリウムブラスターをここで切ってしまった。だからこそ求められるのは短期決着だ。

 

間合いに踏み込めた、この千載一遇の機会で決める。

 

『はああぁッ!』

 

弾幕を放出せんと煌いた腹部を踏みつけることで無理矢理抑え込み、そのまま右左の拳を繰り返し打ち付けた。

 

連撃の締めとして振り抜いたラリアットはトライキングの側頭部を捉え、強い衝撃を与えたそれは一時的に動きを止めることに成功する。

 

今だ。タイガ共々疑うことなく、再びストリウムブラスターの溜めへと入った―――その時。

 

『ッッッ――――――!!!』

 

脳震盪を起こしたと思われていたトライキングはそれを待っていたと言わんばかりに行動を再開し、隙だらけのタイガへ向けて巨大な爪を振り下ろした。

 

『ぐあぁぁッ……!』

 

踏ん張りも聞かず、火花を散らして倒れ込む巨人。

点滅を開始したランプが迫る活動限界を指し示す中、奴はタイガを見下すように踏みつけた足越しに体重を掛けてくる。

 

「誘われた……?」

 

『まさか、コイツ知性が……!?』

 

失望や侮蔑の秘められた視線が向けられる一方で解き放たれた炎雷の槍。

それは逃げ場のないタイガへとモロに直撃し、悲鳴すらも掻き消す爆音がお台場の街に響き渡った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「何やってんだ……!」

 

警報の発令により営業は一時中断。客や他の従業員共々避難を開始する中でやられるがままのウルトラマンを見上げる。

 

『これはマズいな……あの怪獣、明らかに知性がある。まさか何者かが変身しているのか……?』

 

冷静に分析を始めるタイタスに対し、昂貴の思考を満たすのはかつてない程の焦燥だった。

脳裏を過るのは今朝の彼方との会話。放課後に妹と買い物をすると言っていたことを思い出す。

 

そして普段彼女が利用しているスーパーは……丁度ウルトラマンと怪獣が衝突している地点だ。

 

「クッソ……! これだから安い貧弱回線は……」

 

既に何度も彼方へとコールを掛けているが、災害に際して多くの人間が安否を確認しようとしている影響か、混みあう回線に阻害され一向に通じる気配がない。

 

『ふむ……携帯電話というやつか。上手く行くかはわからんが……!』

 

タイタスの力に押し上げられたのか、混雑する通信網を突き抜ける電波。

ガチャリと、通話が繋がったことを意味する音が鳴ると共に昂貴は捲し立てた。

 

「彼方……今どこだ! 無事なんだろうな!?」

 

繋がったということは彼女が一先ずは無事であることを意味する。

その事実に安堵はするものの、電話越しに聞こえる人々の声の様子からまだ油断できない状況であることもわかった。

 

『あはは……ゴメンねコウ君。彼方ちゃん、ちょ~っとピンチかも……』

 

そして告げられたのは、許容し難い現実。

 

『天井が崩れて、出入り口を塞いじゃってさ。……出られないんだ』

 

「嘘、だろ……?」

 

彼方の声に交じって怪獣の咆哮が聞こえる。正確な距離まではわからないが、近い証拠だった。

建物もろとも押し潰されるのは時間の問題。心よりも先に頭がそれを理解してしまう。

 

「待ってろ……すぐ行く!」

 

『え……ちょ、コウく―――』

 

返事を待つことなく走り出す。

先行く人々を抜き去り、押し退けて向かう先では……巨獣の暴虐がより一層その激しさを増していた。

 

 




トライキングとかいう絶対に序盤で出しちゃいけない怪獣
案の定タイガをボコボコにしてますがまだ3回目の戦闘だということを忘れてはいけない


次回は遂に賢者様が……?
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