トライ×ライブ! ~Rainbow Generations~   作:がじゃまる

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この3日間ゴールデンカムイ読んでた影響で全く執筆が進みませんでした。オワオワリ


11話 衝突する正義

 

 

 

「なんでですかぁ~!」

 

˝˝˝可愛い˝˝˝かすみんは激怒した。

必ず、この邪知暴虐の生徒会長に一泡吹かせてやらねばならぬと決意した。

 

「たった今伝えた通りです。スクールアイドル同好会は部長であった優木さんの申し出が受理されて廃部になった……もう何度も説明したことでしょう? 普通科1年、中須かすみさん」

 

「ぐぬぬ……!」

 

なんて、本日の授業で習った文章をこの状況に準えてみるも何も好転しない。

だが怯んではいけない。そんな考えに倣い、少女―――中須(なかす)かすみは威嚇するように歯を食いしばって見せた。

 

「……そんな顔をされても何も変わりませんよ?」

 

「だって! 納得いかないじゃないですかこんなの! かすみん達に何にも言わずに廃部だなんて!」

 

「けれど衝突があったのは事実でしょう? このままではグループとしての活動はおろか、部員各々の学園生活にも支障をきたし兼ねない……優木さんはそう判断したのではないですか?」

 

こんなにも愛らしい自分が、こんなにも必死に訴えかけているというのに、鉄面皮を張り付けた生徒会長は微塵もその態度を揺るがすことはない。

 

中川菜々(なかがわなな)。後に自らの悪戯リストに名と連ねることになる彼女を、かすみは反抗の意も込めて精一杯睨みつけた。

 

「だったらせつ菜先輩一人で辞めれば良かったじゃないですか! 皆を想っての行動だか何だか知りませんけど同好会を……かすみんのやりたいことまで奪わないでくださいよ!」

 

「っ……、そうは言っても、既に受理されてしまったものは取り消しようがありません」

 

「じゃあこのまま諦めろって言うんですか!」

 

「あなたは結論を急ぎ過ぎです。誰もそうは言ってないでしょう……同好会が無くなったのなら、もう一度作ればいいだけの話ではないのですか?」

 

「……ほぇ?」

 

一瞬回答に詰まったような間に疑心を覚えるものの、直後に並べられた言葉に目を点にする。

考えても見てなかった。そう顔に書いたかすみの表情を見て菜々は続ける。

 

「申請書と規定人数さえ揃えれば新しい同好会として設立が可能です。部活動紹介の時にも説明があったはずですが……?」

 

「そ、そんな手がぁ……!」

 

驚愕しつつ取り出された書類に目をやればそこには名前の記入欄が5つ。つまり部の申請に必要な人数は5人ということらしい。

 

そしていなくなったせつ菜を除いても同好会は5人だ。再びあの面々に声を掛けるだけで同好会は復活する。またスクールアイドルとして活動できる……渦巻いていた感情が喜びに変換されていくのがわかった。

 

「部員が集まったら、この申請書をまた私のところに届けに来てください。そうすればまた同好会として活動出来ます」

 

「わーい! 中川会長、ありがとうございますぅ!」

 

直前の怒りや非礼すら忘れ、書類を受け取ったかすみは子供のような笑顔で生徒会室を後にする。

 

「……これで、いいんですよね」

 

そんなかすみを見送った菜々の瞳には、今にも泣き出してしまいそうな哀愁が漂っていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『まさかこの地球に俺以外にもウルトラマンが来てたなんてな……』

 

ガコン、と。

自販機から排出された紙パックの飲料が上げた音に続いて、思念体を作ったタイガが首を捻った。

 

ファイブキングとの戦闘中に新たなウルトラマンが姿を現したのが昨晩のこと。その残響は一晩経っても自分達の中に残り続けている。

 

(…知り合いじゃないのか?)

 

『少なくともな。そもそも俺とは出身の星が違うと思う。アイツは多分……U-40のウルトラマン。光の国とは兄弟星みたいな立ち位置の星だ』

 

放課後の廊下を進む道すがらでタイガが自らの知り得る˝彼˝についての情報を羅列する。

それらを流し込むように容器に突っ込んだストローから中身を吸い上げた。甘ったるい感触が口の中へ広がってゆく。

 

『なんでU-40の戦士がここに……まさかまた何か起ころうとしてるのか……?』

 

推察を働かせるタイガには新たな脅威の可能性とはまた別な思惑を感じる。

まるで自らに不都合な未来を憂うような……そんな焦りだ。

 

『それにアイツは俺の名前を知っていた。タイガスパークのこともそうだ。何がどうなってるんだ一体……』

 

(本人に聞くのが一番早いんじゃないのか?)

 

『そうは言ってもどこにいるのかを俺達は知らない。恐らくは俺と同じで、誰かこの星の住民と一体化してるんだろうが……』

 

そもそもタイガ自身があのウルトラマンとの接触を拒んでいるようにも思える。

その理由まではわからないが、なんとなく、雄牙の中にも似たような想いがあった。

 

今あのウルトラマンに関わってしまえば、変わり始めたばかりの自分達の何かが終わってしまう……そんな予感がする。

 

「瀬良」

 

だから可能な限りは彼を避ける方針で行く。思い浮かんだそれをタイガと共有するよりも早く向けられた声。

足を止め、雄牙は自らを呼び止めた者が誰であるかを確認した。

 

「南雲先輩……?」

 

「やっと見つけたぞ………ちょっと面貸せ、話がある」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「へぇ……国際交流学科の機材室前か。よくまあ普通科がこんな場所知ってたもんだ」

 

西日が僅かに差し込む階段の踊り場。放課後の通行人は皆無に等しいその場所の雰囲気が雄牙は気に入っている。たまに一人でここへきてパックジュースを味わう時間が好きだった。

 

だが今はその場に他人がいる。何もまた雄牙に話があり、出来れば人気のない場所でしたいとのことだったが……、

 

「……そう身構えんなよ。今日用があんのはお前だけだ。高咲達は関係ない」

 

「…じゃあますますこんな場所で話をする理由がわからないんですが」

 

「ここまで連れてきたのはお前だろうが。……まあそうだな。俺個人ってよりは、()()()に用がある奴がいる、ってのが正しいか」

 

「お前、等……?」

 

「……その様子だと当たりみたいだな。いるんだろ? 出て来いよ―――ウルトラマンタイガ」

 

「『ッ……!?」』

 

その名が口に出された瞬間、タイガによって操作された身体が大きく後方へ飛び退いた。即座に臨戦態勢へと入り、隠すことの無い警戒心を昂貴へと向ける。

 

なんで、どうして。

現状タイガの名は世間に知れ渡っていない。それこそ雄牙しか知り得てないはずだというのに……いやそもそも、どうしてタイガが雄牙の中にいることまで彼は知っているんだ。

 

「ビンゴか……。まさかこんな近くにいたなんてな」

 

「なんでアンタがそれを……」

 

『それは私から説明しよう』

 

そしてそんな疑問と狼狽は更なる衝撃によって上塗りされることとなる。

雄牙の問いに答える形で出現した小人。タイガの思念体同様に宙を漂うその姿は―――昨日の巨人と一致した。

 

『お前は……!』

 

『初めまして……ではないか。一先ず自己紹介といこう。私はウルトラマンタイタス。少し君に用があってこのような形で接触させてもらった』

 

「アンタがあのウルトラマン……!?」

 

「まあ…色々あってな」

 

『タイタス……って、あのU-40で新しく勇者入りしたって言う奴か!?』

 

『おぉ、U-40だけでなく私のことまで知っているとなれば話は早いが……随分と昔の話をするな。もう10年以上前のことだったと思うが……』

 

遅れて零体を形成したタイガとの問答によって先刻に彼が述べた推察が正しかったことが証明される。

 

だがそれは同時に不都合を齎す可能性を孕んでいることを雄牙は知っている。それを知ってか知らずか、タイタスと名乗ったウルトラマンは落ち着き払った口調で続けた。

 

『まあいい。とにかく私がこの星へ飛来したのはある任務を授かったからだ。今は見ての通り、昂貴の身体を借りてこの星に滞在している』

 

『そんなのはお前がこの星に来てる時点でわかってるんだよ! それよりもなんで俺の名前を知っている……なんでお前がタイガスパークを持ってるんだ!』

 

対して取り乱すタイガ。そんな彼に詰め寄られてもタイタスが動じる様子を見せることはなかったが、代わりに何か考えるように腕を組む。

次の言葉が発されたのは数拍の間の後。

 

『…君に対して隠す意味はないか。実は任務を言い渡された際、少し光の国へ赴く用があってな。これはその際に貰い受けたものだ……君の父、ウルトラマンタロウからな』

 

『父、さんから……?』

 

『ああ。君を本当に心配している様子だった』

 

愛されているな。語末にそう付け足したタイタスの目線にはどこか哀傷を感じた。

だがそれも一瞬のこと。すぐさま元の姿勢を取り戻すとタイガへ向けて告げる。

 

『私が依頼された任務は二つ。一つはとある物質及びそれと関りのある者の追跡。そしてもう一つは……君の捜索だ、タイガ』

 

『はぁ……?』

 

浮かぶ小人が狼狽する。表情の変化こそ存在しないが、それでも困惑の色はハッキリと見て伺えた。

 

『おいおいおい……光の国がわざわざお前に捜索願でも出したってのかよ。そんな馬鹿な話……』

 

『依頼主はウルトラマンタロウ個人だ。別に光の国そのものが関わっているだけではない……だが、そうなるのも時間の問題なのではないか? 何せ君の家系は―――』

 

『それを持ち出す必要はないだろッ!』

 

何かを言いかけたタイタスをタイガが一喝した。

次に滲み出たのは怒りに近しい感情だった。伺い知れない何かを秘めた彼の心が眼前の同族を威嚇している。

 

『爺ちゃんも父さんも関係ない……この星にいるのは俺自身の意志だ』

 

『それが問題だと言っている。君が何を思いこうしているのかは知らないが、組織に所属する者が不当に他の星に滞在しているとなれば宇宙警備隊、強いては光の国の沽券に関わり兼ねないぞ』

 

『U-40の奴には関係ないだろ! とにかく、俺はまだここから離れる訳にはいかない。……勝手に突っ込んで自滅して、10年も行方不明だった上に何も成せないまま星に帰るとか……出来る訳ねぇだろ』

 

『全く君は……ウルトラマンとしての自覚が足りてないようだな。これは無理矢理にでも星へ連行した方が良さそうだ。とにかく一度、光の国へ報告をさせてもらうぞ』

 

「ちょ……待て待て、勝手に話を進めんな」

 

強引に事を運ぼうとするタイタスに今度は雄牙が待ったをかける。彼の双眸がこちらへ向いた。その筋肉や体色も相まった威圧感はとても小人と対峙しているものとは思い難い。

 

「事情はまあ、なんとなく伝わった。タイガの行動がアンタ等ウルトラマン全体としての信用に関わるのも理解はしてる……けど俺としても、まだコイツを連れ戻すのは待って欲しい」

 

『雄牙……』

 

出逢った直後は拒絶した彼の手を今度は離すまいとしている……我ながらその行動には矛盾を覚えた。

 

でも仕方がない。雄牙もタイガと同じだから。

 

まだ何も出来てはいないというのに……それなのにこんなところで終わって納得できるはずがない。

 

「…お前がどうとか関係ないんだよ」

 

だがそれを突っ撥ねたのはもう一人の男。ここまでのやり取りを黙って見守っていた昂貴が割って入った。

 

「ソイツの規約違反だとかは俺もどうだっていい。それ以上に看過できねぇのはお前等がこれ以上出しゃばることだ」

 

「……何が言いたいんですか」

 

「邪魔だって言ってんだよ。お前等が戦っても余計に被害が広がるだけなのは目に見えてる……お前も薄々気付いてんだろ」

 

見下ろす形で突き刺される言葉の槍が雄牙の内心を抉る。

タイタスと主張は異なるが、こちら側も雄牙達に否を叩きつけに来たという点では同じらしい。

 

「お前等には任せられない。……残ろうが帰ろうが知ったこっちゃねぇがもう出てくんな。今後は俺達が戦う」

 

たった数言の中に全ての正論と主張を込めて吐き捨てられた口述を最後に昂貴は踵を返した。これ以上話すことはないということらしい。

 

「とにかくもう引っ込んでろ。これ以上余計な真似しやがったら……その時はわかってるな」

 

階段を登る足音だけが残響する。

あまりに大きい、壁のようにすら感じる背中が立ち去ってゆく様子を、雄牙はただただ拳を握ったまま正視し続けていた。

 

 




早くも雄牙と昂貴の衝突……という形になりました
そしてタイタスがタロウからタイガの捜索依頼と共にタイガスパークを託されていたことが判明。戦いから身を退くよう求められた彼等が取る選択とは……
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