トライ×ライブ! ~Rainbow Generations~   作:がじゃまる

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先日デッカー目当てにNEW GENERATION THE LIVE ウルトラマントリガー編の千秋楽を観劇しに行ったのですがステージ演出が滅茶苦茶良くて引き込まれましたね

やはり生で見る演者やウルトラマンはいい……


21話 ミチの色は

 

 

「じゃーね雄牙―! 今日はありがとー!」

 

「おーう。明日の休みも練習するらしいから、気が向いたら来てくれ。場所は後で送る」

 

「おっけー!」

 

初夏の夕陽も大分傾き、体験入部の時間に終わりを告げた。

愛の同好会とのコネクションでもあった先輩達とも別れ、璃奈も含めた3人で進む帰路。ようやく戻ってきたいつもの時間の心地よさはやはり何物にも勝った。

 

「…どうだった? スクールアイドル同好会」

 

「疲れる……でも、楽しかった」

 

「うんうん! 愛さんも楽しかった!」

 

交わされる話題は勿論直前までの経験だ。

耀自身は特別な活動こそしなかったが、自らの意思で参加を表明した璃奈は勿論、発端となった愛も笑顔で答えた。慣れない場所だったが楽しかったのなら何よりだ。

 

「……どうして、スクールアイドルだったんですか?」

 

「え?」

 

「愛さん、色んな部活に勧誘されてるのに、どこにも入部してなかったから。今までの部活とスクールアイドルが、何か違ったのかなって」

 

でも、それが故に気になった。

その動機の発端。部室棟のヒーローとまで言われ、助っ人として様々な部活を経験しているはずの愛が、何故今になってスクールアイドルに興味を持ったのか。

 

「うーん、どうしてって言われると答えにくいんだけど……やっぱり楽しそうだったからかなぁ」

 

「まあ……そうですよね」

 

「楽しいって言えば他の部活とかスポーツもそうなんだけどね。スクールアイドルはの楽しそうは他と違ったというか……それを知りたくて体験入部したのかもしれない」

 

「……何かわかりました?」

 

「ううん……全然。でもこれでいいんだってのはわかった」

 

答えになっていない回答が紡がれる。

でもそれには根拠はなくとも説得力はある。淀みない愛の表情にはそう思わせるものがあった。

 

「多分、答えがないのがスクールアイドルなんだって。ほら、スポーツにはルールがあるし、テストで出る問題には回答がある。でも、同好会で見たスクールアイドルに、決まった答えはないように思えたんだ」

 

今後の同好会はソロ活動をメインで行う。せつ菜達との会合の後、暫定的とはいえ方針として出された答えがそれだった。

 

答えどころじゃない。倣う形も、目指す場所も存在しない。それこそ愛にとっては完全に未知なる道であっただろう。

 

「でもそれってさ、自分で好きな答えを出していいってことじゃん。決まった正解がないってことは、自分がやりたい道が自分にとっての正解になる……それってすっごくワクワクしない?」

 

そしてそれが故に彼女の心を掴んだのか、輝かしい瞳で語る愛はスクールアイドルというものに魅了されているように見えた。

 

「だからさ、ここなら愛さんも目指せると思ったんだ。誰かに楽しんでもらうことが好き、自分で楽しむことが好き……そんな楽しいを皆と分かち合えるスクールアイドルに!」

 

「なれる。愛さんなら、絶対」

 

肯定したのは自分ではなく璃奈だった。理由までは定かではないが、彼女もまたスクールアイドルに魅力を感じた者の1人だ。共感するものがあるのだろう。

 

自分にはまだそれがないから。1人だけ蚊帳の外にいるような気分が少しだけ寂しかった。

 

「じゃあ、愛さんこっちだから。また明日ね2人共!」

 

そんな時間も間もなく終わる。

手を振り遠ざかってゆく先輩を見送った後、努めて普段通りに耀は言った。

 

「…僕等も帰ろっか」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「くぁ……」

 

鳴り響く目覚ましの音を止め、ベッドに沈めていた身体を起こす。

時刻を見れば6時半。何故休日だというのにこんな時間に起床しているのかと寝ぼけた頭で考えるが、すぐにその理由を思い出す。

 

「あぁ……ランニングか。めんどくせぇ……」

 

『まあそう言うなよ。星海耀も来る以上俺達が行かない訳にはいかないだろ』

 

「おはようタイガ。朝から冴えてるな(笑)」

 

『言っとくが狙ってないからな』

 

体内の相方とも手短に朝の挨拶を済ませ、手早く着替えてから部屋を出る。

この時間だとまだ祖父は寝ているだろう。早起きは年長者の専売特許だと思っていたがどうにもうちのは違うらしい。

 

朝食も簡単に済ませ玄関を後にする。エレベーターに乗り込み、赴いた1つ下の階では雄牙と同じく運動着に身を包んだ少女が塀に体重を預けていた。

 

「おはよ歩夢。……侑は?」

 

「まだ準備中だよ。さっき私が電話するまで寝てたみたいだから……」

 

「言い出しっぺのくせにあの野郎……」

 

繰り返すが雄牙と歩夢は侑に引き摺り込まれる形で同好会に入部しているというのに。何と言うか示しのつかない奴だ。

 

「…そういや、歩夢はやらないのかよ。スクールアイドル」

 

「え?」

 

「ああいや、せっかく同好会入ったんだしさ。やってもいいんじゃないかなーと思って」

 

現状同好会に所属しているスクールアイドル以外の者は4人だが、その中でも歩夢は少々異端であった。

 

彼方のサポート(介護)がある昂貴。その昂貴との連携を目的とした雄牙。そしてスクールアイドルを応援したいという侑。だが歩夢には同好会に所属する明確な理由がない。

 

「うーん……私はいいかなぁ。何と言うか、柄じゃないよ」

 

「まあわからなくもないけど……なんかこう、やりたいこととかないのかよ」

 

「やりたいことかぁ……じゃあ侑ちゃんの応援かな」

 

「サポートされる要素あんのかアイツ……」

 

望まない形で侑に拘束されているのなら……と思ったのだが、まあ本人がそれでいいのなら特に雄牙が言うことはない。

 

それにしても聖人のような優しさと健気さだ。これがたった今ドタバタと玄関から飛び出してきた阿呆にもあればいいのだが。

 

「おはよ2人とも~……って、雄牙何その顔」

 

「なんでもない。いいからさっさと行こうぜ」

 

当人にその自覚がないのがまたタチが悪い。

だが指摘する気力もない。呆れ気味に溜息をついた雄牙は、誤魔化すように出発を急かすのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…何か変ですね?」

 

同好会メンバーと合流し、辿り着いた公園は異様な雰囲気が漂っていた。

 

早朝の時間とは言え今日は休日だ。それなりに遊ぶ親子連れなどで賑わっていると思っていたが、想像していたそれらは疎らにしか散見できない。

 

加えてその親御の方は何かを気にするようにちらちらと一方へ視線を向けており、釣られるように雄牙もそれをなぞってみる。

 

「あれ、遥也さん?」

 

「ん……? お、雄牙!」

 

見知った顔に声を掛ければすぐに返答が返ってくる。珍しい場所で姿を見かけた遥也は隊服を着込んでおり、それ即ちE.G.I.S.の仕事の真っ最中であることを示していた。

 

成程。妙に人が少ないと思えばそういうことか。確かに怪獣対策チームであるE.G.I.S.の姿があれば警戒もするだろう。

 

「雄牙~!」

 

そしてここにいる隊員は遥也だけではないらしく。

停められたE.G.I.S.の専用車の中から別な声が聞こえた次の瞬間、雄牙の顔一杯を温かさと柔らかさが包む。

 

「久しぶりぃ~。元気だった~?」

 

「涼香さん……暑い……」

 

ぼぼっと熱が跳ね上がってゆくのを感じ引き剥がそうとするが、満面の笑みを作ったその女性隊員は雄牙を愛でて離そうとしない。これであのホークイージスのパイロットだというのだから信じ難い。

 

年上の女性に抱擁されているというだけでも思春期男子には刺激が強いというのにこの人はいつもそれを理解しようとしない。加えて今日は同好会の面々にも見られている状況だ。居心地の悪さはこれまでの比ではなかった。

 

「えっ……と、E.G.I.S.の方と知り合いなんですか……?」

 

案の定どう反応したらと言った様子だった。そんな中でおずおずとせつ菜が問いかけてくる。

 

「ああうん……従兄の遥也さんと、その先輩の鹿島涼香さん。見ての通りE.G.I.S.の隊員やってる」

 

「従兄……またすげぇのが身内にいたモンだな」

 

「そんな大したものじゃないよ。最近はウルトラマンに世話になりっぱなしだしさ」

 

自嘲気味に吐き出された言葉に昂貴と揃って影を差す。ウルトラマンの再臨によってE.G.I.S.への声が厳しいものになってるのは知っていたが……こう隊員本人の口からそれを聞くとやはり申し訳なさが込み上がってくるものだった。

 

「だからちょっとでもこういう仕事で点数稼がないといけないのよね。こっちまでウルトラマンは手はまわらないだろうし」

 

「そう言うならちゃんとしてくださいよ涼香先輩。調査中っすよ」

 

「それなんだけど……なんかあったの?」

 

涼香の抱擁から脱出しつつ問う。

E.G.I.S.を見て至る結論は雄牙も周囲の人達と同じだ。怪獣や宇宙人絡みで何か良からぬことが起きている。日常によって培われた感覚がそう告げている。

 

「この辺で断続的に振動を感知したって、ウチの未央が言ってたのよ」

 

「振動? 地底怪獣か何かの?」

 

「それを調べるためにこうして俺達が来てるんだろ。今地中に打ち込んだ機械で正確な振動地とその発生源を調べてる」

 

見れば確かに計測器と思しきものが数本地表に打ち立てられている。

 

「地底怪獣って……この辺埋立地だぞ? 生息してるのか?」

 

「埋立地って普通の土地に比べて熱が籠りやすいですから。自力で体温調節が出来ない種類の怪獣がたまにそれを求めて入り込んできたりするんですよ」

 

「あぁ、爬虫類が日光浴するみてーなモンか」

 

海風が高層ビルの合間を吹き抜ける関係上体感気温はむしろ他所より低いまであるが、地中の温度までは別だ。

 

ヒートアイランド現象とはまた違うのだろうが、埋め立てられた廃棄物が熱を発生、保温する。故に地中温度は周囲のそれとは比較にならないものとなり、結果として地熱を好む怪獣を呼び寄せる一因となっているそうな。

 

「……てか詳しいなお前」

 

「まあ……色々あって」

 

訝し気な視線を注がれる。まあ確かに一介の高校生が持ち得ている知識としては少々常軌を逸しているだろう。

 

これは今度適当な理由を付けて誤魔化しておこうと思いつつ、肝心な部分を聞き忘れていたと遥也に向き合う。

 

「それで遥也さん。俺達部活動の練習ってことで来たんだけど……ここじゃない方がいいかな」

 

「部活入ってたのか……因みに何部?」

 

「えっと……」

 

「スクールアイドル同好会です!」

 

どうも素直に答えるのが気恥ずかしく言葉を濁してうやむやにしようと目論んだが、せつ菜が勢いよく代返をかましたことで失敗に終わる。

 

「スクールアイドル……ああ、今流行ってるっていうアレか。でも雄牙は男だしな……歩夢ちゃんか侑ちゃんが始めたのか?」

 

「いや、そういう訳じゃなくて。ただ私のスクールアイドルを応援したいって気持ちに雄牙と歩夢が付き合ってくれただけです」

 

「へぇ~……いいなそれ! 青春って感じで」

 

「うんうん。それに雄牙に友達いっぱいできて私も嬉しいよ!」

 

「涼香さん俺のことなんだと思ってるの……てか、そうじゃなくて」

 

盛大に話題が逸れていくのを感知し急いで軌道修正。人数が多いとあれやこれやと声が上がるせいで話が纏まらない。

 

「ああスマンスマン。練習だったよな……先輩、どうです?」

 

「うーん……上の指示次第って感じだけど……」

 

涼香が首を捻ったのと彼女の所持する端末が着信音を鳴らすのは同時だった。

暫くの通話の後、申し訳なさげに眉を寄せた涼香は雄牙含めた面々に言った。

 

「残念だけど、振動の観測具合から見てここら一帯は一時的に封鎖するってことになったらしいわ。せっかくの部活動なのにごめんなさいね」

 

「いいえ。街の皆さんの安全を守ってくださっているのですから、我が儘は言えません」

 

「そう言って貰えて嬉しいわ」

 

せつ菜と軽い会釈を交わした涼香が雄牙達から離れ、遥也と共に公園内の人々へと避難を促し始める。溺愛してくる印象が強いため忘れがちだが、あの人は相当優秀な隊員だという話だ。恐らくあれが本来の姿なのだろう。

 

「じゃあどうするんですか? 公園が使えないなら練習場所が……」

 

「どうせランニングなんだ。走りつつ学校向かえばいいだろ」

 

「それもそうですね……それじゃあ皆さん、˝部長˝のかすみんに続いて~」

 

『……ん?』

 

瞬間、タイガの感じ取った悪寒が伝播するままに見やった方角。

 

『ちょっと待て。あれって……!』

 

振動の計測用に打ち立てたという機械の変化を雄牙もまた見逃さなかった。

先程まで動きの無かったそれが今のこの瞬間に示したものは、危険を告げる赤であり―――、

 

「れっつごーっ!」

 

そしてかすみが揚々と開幕の音頭を切ったのと同時に。

 

 

 

『ッッッ――――――!』

 

 

 

舞い上がった土煙と共に、轟音を纏う巨獣がその姿を現した。

 

 




愛さんの加入もさらっと流し久々にE.G.I.S.メンバーの登場。ここから少しずつ顔見せも増えていくと思います

耀絡みの疑問も残る中ですが怪獣も出現。危険を呼び寄せちゃう中須も可愛いよ……
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