トライ×ライブ! ~Rainbow Generations~   作:がじゃまる

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1次創作のモチベがモリモーリなおかげで中々2次に手がつかねぇぜぃ……いいことなんでしょうけど

今回から暫く個人回です。サブタイも前中後編で分けられるから考えること減って楽ですね(横着)


30話 キミが選ぶ未来 前編

 

『この頃、ヴィラン・ギルドの怪獣商と何遍も取引してる奴がいてな。魔王獣クラスの怪獣が何体もオークションに出品されてんのはそれが理由だって専らの噂だ』

 

「成程な……こないだのマガグランドキングってのもそれが原因か」

 

地球に滞在する宇宙人達の行き交う裏の歓楽街。

もう何度とここに足を運んだか。環境への慣れを自覚してきた頃には既に何人かの顔見知りと妙な関係を結ぶようになっていた。

 

『そんで、例のモン持ってきてくれたんだろうな?』

 

「ああ、コイツか。別にこんなモン俺に頼まんでも普通に買えるだろ」

 

『俺みたいな擬態能力のない種族は地球人の社会にゃ入り込めねぇんだよ。ホント、お前がいてくれて良かったぜ』

 

ミイラ化したカラスのような頭部が特徴的な宇宙人―――レイビーグ星人は手渡されたパックジュースを心底嬉しそうな表情で飲み干す。

 

何も以前偶然にも口にしたこの味が忘れられず、どうにかして再び手に入れる方法を探していたところに昂貴と出会ったという話だ。

 

「他の頼む奴いねぇのかよ。変身能力持った奴なんざいくらでもいるんだろ?」

 

『いるにはいるが……そう言う奴は大抵自分の価値がわかってやがるからな。要求される見返りがバカにならなくて手なんか出せねぇよ』

 

「持ってる奴が下から巻き上げる構図はこっちも同じか……世知辛いモンだ」

 

彼のように地球人社会で自由に動けない異星人の求める物資を昂貴が調達し、その見返りとして宇宙人社会の情報を提供してもらう。いわば取引だった。

 

多種多様な異星人が蔓延るこの場所に無償の善意なんてものは存在しない。何かを得るためには何かを支払うのがここのルールならばそれに倣うまで。郷に入っては郷に従えと言うやつだ。

 

『地球が他の惑星との交流を始めてくれりゃぁ一発で解決する問題なんだがな……まあそこは仕方ねぇ。どの星も一度は通る道だ』

 

だがそんなルールが生まれたのも地球が言わば閉ざされた状態にあるからだ。レイビーグ星人の言葉の通り、未だに異星人との交流が開かれていない地球の現状こそがこの事態を招いている。

 

日本の歴史で例えるのならば、今の地球は江戸時代にあった鎖国状態のようなものだ。それが解かれない限り、彼のような持たざる者の苦難は続くことだろう。

 

『また持ってきてくれよ。俺も出来る限り情報仕入れとくからよ』

 

「おう。こっちこそまた頼む」

 

レイビーグ星人と別れ、もう少し探れるものはないかと歓楽街の奥へと進んだ。可能ならば出来る限りの情報が欲しい。何が正しいのかを判別するためにも。

 

(……なあタイタス。此間タイガが言ってたことなんだが……あれはどこまで信じていい)

 

『……やはり、君は気が付いていたか』

 

(まあな。連中が10年前の計画に準えてベリアルの復活を目論んでるとするなら……いくら何でも不確定要素が多すぎる)

 

先日、10年前の英雄であるウルトラマンゼロの戦いを振り返るなかでタイガが口にした推論を思い起こす。

 

彼によればサイドアースやこの地球であったように、リトルスターを利用したベリアルの復活計画が再び動き出したという話だが……今し方述べた通り、その計画を実行に移すのはあまりにも綱渡りが過ぎるのだ。

 

『この星で最後にリトルスターが確認されたのはゼロが戦った10年前であることから、恐らく発生のピークはその時に過ぎ去っているはずだ。仮にせつ菜の光がリトルスターであるとしても、それは何らかの要因で発生が遅れていただけに過ぎない。同様の状態にあるものが他にも存在しないとは断定できないが……あるにしても、その数はたかが知れているだろうな』

 

(ああ。聞く分にゃ相当ご周到に計画を練ってたって連中だ。そんな奴等が、今更そんな一か八かの賭けに出るかって話だよな)

 

あの時は雰囲気と熱量に押されて納得しかけてしまったが、冷静になってみればすぐわかることだ。

 

『だが……ジードや陸と呼ばれた者については恐らく事実だろう。そちらは辻褄が合っていると言っていい』

 

全てが間違っていたという訳ではないらしく、タイガの論の一部を肯定したタイタスによってとある事実が確定する。

 

それが10年前にゼロと一体化し戦った者の名が˝陸˝であるということ。直接自体の解決に向かうようなものではないが……それでもその後釜を担う立場にある者としては大きな進歩だった。

 

(思いっきり日本人名だし……地球人、だよな?)

 

『だとは思うがな……だが、こればかりは直接確認しない限りは何とも言えん。状況が状況であるが故、出来れば接触を図りたいところではあるが、如何せん情報が少ないな……』

 

現状判明しているのは名前だけ。一部地域に頻繁に出現したという事実もあるためある程度居場所を絞り込めなくもないが、10年も経てば居住場所が移り変わっている可能性など大いにある。結局のところ手元にある情報が少なすぎることに変わりはない。

 

それでも何とか手掛かりになる情報はないかと記憶を総浚いした折、直近のとある会話が掬い上げられる。

 

(……そう言えばタイタス。前にゼロと会った時にスクールアイドルの話をされたって言ってたよな)

 

『ああ、そう言えばそんなこともあったな。……っ、そういうことか』

 

タイタスもまた何かに気が付いたように傾けていた顔を上げる。

 

『昂貴。確認するが……現状、スクールアイドルとして活動出来るのは高校生のみという認識でいいのだな?』

 

(中学生の頃から真似事してる奴もいるらしいが……公に活動出来るのは今のとこ高校生だけだな)

 

ゼロがそんなスクールアイドルと何かしらの関わりがあった。ウルトラマンが無暗に地球人と接触出来ない点を鑑みれば、一体化した人間がスクールアイドルとの関係を持っていたと考えるのが自然だ。

 

つまり陸という人物は当時高校生であった可能性が高い。

 

『……少し、そちらの方にも探りを入れてみるとしよう。どこまで調べられるかはわからないがな』

 

(当時を知ってる宇宙人とかいりゃあ手っ取り早いんだが―――、)

 

一先ずは手当たり次第に聞き込んでみるかと次なる行動に舵を切ろうとした時、ポケットに突っ込んでいた携帯端末が小刻みに揺れているのに気が付く。

 

反射的にそれを手に取った身体が通知の理由を確認し、同時に踵を返した。

 

(…悪いタイタス。今日のとこは一旦お開きだ……彼方が呼んでる)

 

『む…承知した。何か、あったのか?』

 

勇み足で来た道を戻る昂貴にタイタスが怪訝な声音を向ける。

そんな彼に対し昂貴は少々大袈裟に、また口元を緩ませながら返した。

 

(ああ一大事だな……遥のライブだよ)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「みなさーん! 今日は私達のライブに来てくださって本当にありがとうございます!」

 

「うおぉぉぉ~! 遥ちゃ~ん!」

 

音の濁流に身を沈める。

愛嬌を以て振り撒かれる歌声、それらを乗せる軽快な音楽、壇上の少女達へと向けられる歓声。

 

その全てに負けないように身体から放り出したのは……愛する者への想いを込めた快哉だ。

 

「ほらほら、コウ君ももっと声出して! 遥ちゃん頑張ってるんだから!」

 

「ちった自重しろバ彼方。摘まみ出されんぞ」

 

東雲高校スクールアイドル部、そのライブが今日この場で行われている。

 

溺愛する妹がステージに立つとなれば例え嵐が来ようと駆けつけるのが近江彼方だ。遥が高校に進学し、スクールアイドルを始めてから早数か月、これまでのライブ全てに足を運んでいる彼方の姿はこの日も会場にあった。

 

「お姉ちゃん……ちょっと、抑えて……」

 

ステージ上の遥が気恥ずかしそうに顔に朱を差したのが見えた。人前でパフォーマンスをすることにはもう慣れたようだが身内が恥を晒すのにはまだ耐性は無いらしい。

 

そんな妹にごめんと軽く会釈を返した。少しはしゃぎ過ぎてしまった己の心を諫めつつ改めて壇上の遥を見やる。

 

可愛い。超絶可愛い。世界一愛らしい。今日もどこに出しても誇らしい自慢の妹だ。

 

「遥ちゃんの可愛さが世界中に広まれば差別も争いも無くなるんじゃないだろうか……」

 

「そーだな」

 

「はっ……、でもそんなことしたら遥ちゃんを巡って戦争が起きてしまうかもしれない……」

 

「……そーだな」

 

「おいおい、ノリが悪いぜ昂貴さんや」

 

冗談半分で言ったものの、適当に流されるとそれはそれで寂しいものだ。

昂貴も遥を可愛がってくれていることは十分理解しているがどうにもベクトルが違うというか、彼女への熱量に差を感じてしまうことも少なくない。

 

その分が自分に向いていると考えれば決して悪くはないのだが、やはり遥へのこの愛情を共有できる相手は欲しいものだった。

 

「……ん?」

 

そんなことを考えていると、ふと視線の端に映り込んだ人影へと意識が逸れる。

見たところ自分達と同年代の少女のようだが呑気に感想を述べている場合ではない。何故ならその少女は何かに引き寄せられるようにして、ステージ上の遥達の元へと進んでいたのだから。

 

「え? ちょっ……!」

 

遂には壇上へと至ってしまった彼女の行動に遥達のパフォーマンスは中断され、会場にも困惑の空気が流れる。

 

何かしらの運営組織があるイベントとは異なり、個々のグループが独自に行うゲリラライブには警備員のようなものは配置されていない。故に良識を持たない者が催しを中断してしまうハプニングも時折起こるらしいが……遭遇したのは初めてだった。

 

「おいアンタ! そっちは客席じゃねぇぞ」

 

予期せぬ事態に混乱する空気感が舞い降りる中、昂貴が乱入者へと声を上げる。

場合によっては力づくでもといった雰囲気を纏う彼に僅かな不安を覚えるが、どうにもそれは杞憂に終わるらしく。壇上の少女が見せた行動は想像から外れたものだった。

 

「……?」

 

自分に言っているのか。昂貴と重なった瞳はそう語っていた。自分の行動に何一つの疑問を抱いていないという顔だ。

 

だがそれも束の間のこと。周辺にいる人々の視線が好奇と困惑を以て自身に向けられていることを察すると、明確な混乱を映した表情を振り撒いていた。

 

その様に何か、察するものが彼方の胸に生まれるのは同時だった。

 

「ダメだよ~、ステージの邪魔したら。もっと近くで見たいって気持ちもわかるけどね」

 

これ以上のトラブルを生む前に今度は彼方が声を掛ける。ライブが失敗して遥が悲しむのも、昂貴に手荒な真似をさせるのも自分は望んでいないから。

 

「…とりあえずごめんなさいして、その後にまた楽しもう? 今度は一緒にさ」

 

自らも壇上に登り、手を取った彼女の手。その熱が直に伝わるようだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「へぇ~……、じゃあスクールアイドルを見るのも、知るのも初めてなんだ」

 

場所は移り少し離れた海浜公園。海風に運ばれた潮の香りが満ちる中、会話に花を添えるのは先程のライブだ。

 

「今時珍しいねぇ。でも流石にステージに上がっちゃうのはやりすぎだってぇ」

 

「…ごめんなさい。気付いたら……」

 

「ああいや、別に責めてる訳じゃないよ? むしろそんなに夢中になれるなんていいことだよ~」

 

彼方と話すこの少女は自らをアオイと名乗った。曰くずっと海外にいたらしく、久しく戻ってきた日本でスクールアイドルのライブに遭遇したらしい。

 

尤もそれがこの社会に溶け込むための嘘であることは明白であるが。

 

(……今のとこ、何か害意があるようには見えねぇが……)

 

タイタス曰く、アオイはこの星の住民ではない。明らかに地球人とは異なる気配が彼女からするという。

 

最初こそ信じ難い部分はあったが、よくよく考えてみれば納得がいく。パフォーマンス中のステージに上がるなど地球人社会の常識から考えてあり得ない。それはアオイがスクールアイドルのみならずこの星のことすらもよく把握していないという証拠と言えるだろう。

 

『敵意がないのならば特別警戒する必要もないのだがな……見逃すのは少し、彼女から感じる大きな気配が気掛かりだ』

 

宇宙人だからと言って全てが敵性を備えている訳ではないことはタイタスと共に行動する中でわかってきた。あのレイビーグ星人のように、止むを得ない理由でこの星に留まっている者だっているのだ。アオイもまたその1人であるのかもしれない。

 

だがそれだけで見逃すという訳にもいかない。タイタスの言う大きな気配と言うのが何を指すかはわからないが、それが脅威になり得ないとは言い切れないからだ。

 

『直接本人に問うのが早いのだろうが、流石に早計が過ぎるか。一先ずは観察という形で手を打とう』

 

(…了解)

 

釈然としないが、下手に問い詰めたことで不都合な行動に出る可能性や、下手にタイタスと一体化している事実を明かす訳にはいかないことを考えれば妥当なのか。ともあれ彼が言うならばそれを飲もう。

 

「……1つだけ、聞いてもいい?」

 

「ん~? 彼方ちゃんの答えられることならなんでもバッチコイだよ」

 

「あの子達が何を目的にあそこに立ってるのか、彼方は知ってる?」

 

「おーう、そこからかぁ……」

 

再度目の前の宇宙人に視線を戻せば、丁度素っ頓狂な問い掛けに彼方が頭を抱えた瞬間だった。地球のことに疎いのならば当然アイドルと言う文化も知らないのは当然か。

 

「えっと、何をしてるのかって言われると説明が難しいんだけど……」

 

当然そんなことを知る由もない彼方は困惑しつつも思案し、やがて口にする。

 

「……アオイちゃんはさ。どうして遥ちゃん達を見て、ステージに近づいちゃうくらい夢中になったの?」

 

「え……?」

 

質問に質問で返した彼方にアオイは目を丸くする。そして暫くの後、

 

「……わからない。そもそも、夢中になってたって言い方が正しいのかもわからないけど……」

 

「うん」

 

「何と言うか……その、精一杯やりたいこととか、自分自身を表現してる姿が凄く眩しくて、目が離せなかった……私には、そんなものないから」

 

「……そんなことないと思うよ」

 

何か悲哀を含む言葉で区切られた回答。迂闊に踏み入ってはならないような闇を感じる雰囲気が舞い降りるが、彼方はそれを和らげるように口角を上げた。

 

「少なくともあの時ステージに近づいたのは、ステージの上の遥ちゃん達にトキメいたってことでしょ? それだって立派に、アオイちゃんの心がそうしたいって言った証拠だよ。褒められたことじゃなかったけどね」

 

「そう、なのかな……」

 

「彼方ちゃんはアオイちゃんの心がわかる訳じゃないから、断定は出来ないけどね。そいでどうですかいお嬢さん、自己表現で悩んでいるのならスクールアイドルの門戸、叩いてみるかい?」

 

「私が!? 無理、私にはそんなこと……」

 

「え~、アオイちゃん可愛いのに~」

 

「か、かわっ……!?」

 

彼方はぼんやりしているようでその実よく周りを見ている。その場の空気や人の気色の変移にはかなり敏感であるし、もしかしたら既にアオイが地球の住民でないことに気付いている可能性もある。

 

普段よりも真摯に、それでいておちゃらけて接している姿は少なからず、何かを察しての振る舞いであるように思えた。

 

「揶揄わないで! ……取り敢えず、聞きたかったことは聞いたから。私はここで―――」

 

「本当のことなのに~。ああそうだ、待ってアオイちゃん。これ」

 

立ち去ろうとするアオイに、彼方は一枚のビラを手渡す。手描きと思しきイラストをバックに印刷されているのは東雲高校スクールアイドル部の文字。

 

「遥ちゃん達、今大きな大会に向けて頑張ってるみたいでさ。暫くは沢山ライブやるみたいなんだ。よかったら見に来てよ。また彼方ちゃんと語り合おうぜ~、遥ちゃん大好き同盟として」

 

「……」

 

アオイからの返答はなかった。ひったくるようにチラシを手に取った彼女は未だ覚めぬ朱を頬に差したまま都会の雑踏の中に消えてゆく。

 

「おお、これは彼方ちゃん振られちまったかな?」

 

「どーだか。鬱陶しく感じたならわからなくもないが」

 

「おいおい言ってくれるねぇ。……でもまあ、遥ちゃん達に興味持ってくれて嬉しくなっちゃったのは本当」

 

二人だけの、いつもの時間が舞い戻る。

でもそこに流れる空気は少し異なる。少しだけその熱を和らげた海風が頬を薙ぐ中、彼方はいなくなった少女へ想いを馳せるように呟いた。

 

「アオイちゃん、来てくれるといいなぁ……」

 

 

 

 

 

 

 

 

「……変な子、だったな」

 

暗い道で奏でられる足音に独り言を彩る。生み出された色は黒いままだった。

 

「やりたいこと、か……」

 

わからない。自分があの輝きを目にして何を思ったのか、自分が何をしたいのか。不意に耳にした歌から生まれた騒音が己の中で大きくなってゆくのを感じる。

でもそれは不要な音であるはずだから。

 

「……」

 

乱された心を深呼吸で整え、自らの解を問うように両手に抱えた水晶体へと祈る。

間もなくに脈打った鼓動が教えてくれるのは答えであり導きだ。それが際限ない安堵を与えてくれた。

 

「私がやるべきことは一つだけ。そうですよね……セグメゲル様」

 

 




と言う訳で個人回トップバッターは近江の彼方ちゃんだぜ。先に言っておくと主役陣との兼ね合い上彼方はもう何度かピックアップの回があると思います

ゲストの女の子の名前や最後に出てきた単語で元となった話はお察しのことと思いますが……どう転ぶのやら
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