トライ×ライブ! ~Rainbow Generations~   作:がじゃまる

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なるか……Liella!3期生に……(規定を読め)
ともあれ3期決定おめでとうございます


31話 キミが選ぶ未来 中編

 

塵と黒煙の昇る街中に響く警報と轟音。

怪獣が出現し、それを打ち倒すべくウルトラマンが現れる。人々が忘れて久しかったこの光景も、今となっては当たり前に戻りつつあった。

 

『ッ――――!!』

 

怪獣の口から噴出された紫紺の火焔を回避し、直後に地面へと着弾したそれから発せられる熱波にインナースペース内の雄牙は妙な感覚を覚える。

 

熱いには熱いが……それ以上の不快感で肌を撫でたこの悪寒はなんだ。炎の性質とは相反する感覚に疑念と警戒の音が高く鳴った。

 

「地底怪獣……って感じでもないよな。なんなんだコイツ……」

 

記憶をフル動員させ該当する要素を探るがそれらしきものはない。炎を放出する火炎袋は地底怪獣の特徴ではあるが、この怪獣の体表を覆うのは鱗だ。爬虫類と魚類の中間にあるような形状からしても地中に住まう生物でないのは明白であった。

 

この星に息づく生物の常識からは外れている……となれば。

 

「宇宙怪獣か……!」

 

『ああ……詳しくは知らないけど名前は習ったことがある。コイツは˝セグメゲル˝。セゲル星人っていう宇宙人が使役する、惑星侵略用の怪獣兵器だ』

 

 

―――――毒炎怪獣(ドクエンカイジュウ) セグメゲル

 

 

セグメゲル。そう呼ばれた怪獣が低く唸りながらタイガと相対する。皿のように見開かれた両の瞳は焦点が定まっておらず、ジリジリと後ずさりをさせるような不気味さが宿っていた。

 

「怪獣兵器……」

 

以前のタイガとの会話を思い出す。防衛組織としてのE.G.I.S.がかなりの力を持つこの星において生半可な戦力では侵略は行えない。もし計画を実行に移す星人が現れたのなら、それは自らの戦力に多大な自信を持つ者だ。

 

今セグメゲルが敵として目の前にいるのはつまりそういうことだ。コイツがどの程度の力を持つのかはまだわからないが、警戒するに越したことはないか。

 

『˝スワローバレット˝ッ!』

 

一先ずは様子を見よう。弾き出した答えのままに腕を十字に組む。射出された光刃が奇跡を描きながらセグメゲルに着弾した。

 

『ッッッ――――――!』

 

しかし奴の鱗の前に刃が通らない。反撃だと言わんばかりに散らされた咆哮と共に吐き出された紫の焔が宙を疾走した。

 

出鱈目に放られたそれは回避こそ容易いものの、頬を撫でる熱波にはまた性質の異なる不快感が含まれていた。それがどうにも引っ掛かる。

 

『距離を開けてちゃ埒が明かないな……接近戦で仕留めるぞ』

 

少なからず存在する得体の知れない気味の悪さを振り払うように突進を仕掛けた。迂闊に接近していいのかと言う不安はあるが、飛び道具が通用しない以上は仕方がない。

 

狙うは強固な外装を持つ怪獣の定石である弱点……首元だ。

 

『ッッッ――――――!』

 

『ハアァッ!』

 

足元に着弾した火炎を飛び越え、勢いのままに突き出した拳をセグメゲルの下顎へと埋める。

 

予想通り状態が仰け反る。この隙を逃さんとばかりに追撃を仕掛け、手刀をあてがうと共にチャージしたエネルギーを解放した。

 

『˝ハンドビーム˝ッ!』

 

ゼロ距離で繰り出された光の刃は、今度は鱗に阻まれることなくセグメゲルの急所にクリーンヒットする。

 

『ッッッ――――――!』

 

『よし……! 決めるぞ!』

 

流石にこの一撃は応えたか、けたたましい悲鳴を上げたセグメゲルが無理矢理にでもタイガを振り払うように四方へと火炎を放射する。

 

だがそれも当たることはない。全ての軌道を見切り、回避した上でトドメへ移行しようとした―――その時だった。

 

『なっ……んッ……!?』

 

不意な脱力感が全身を襲う。駆け出そうとしたはずの足は膝を折る形で崩れた。

 

『なんだ……? どうして急に……!?』

 

力が入らない……いや、痺れていると言うべきか。突如として震え出した肉体は急速にその動きを鈍らせてしまう。

 

そして―――、

 

『ッッッ――――――!』

 

『ぐっ……ああぁぁぁぁ……ッ!!』

 

動きを止めた一瞬の隙を突き、吐き出した火炎でタイガを薙ぎ払うセグメゲル。

着弾部位に伝わる衝撃と同時に、じわじわと熱とはまた異なる痛みが広がっていくのがわかった。

 

更には元より存在していた痺れや悪寒すらも加速してゆく。その刹那に遅すぎた気付きが

灯った。

 

『これは……毒か……!?』

 

答えは他でもない己の身体が証明している。奴は火炎と共に毒素も吐き出していたんだ。

先程から肌に走っていた違和感は、熱波に乗った毒素に侵された身体が上げた警告だったのか。

 

例え攻撃を躱そうとも毒素は大気を汚染し、徐々に対象を蝕んでゆく。確かに侵略兵器としてはこの上なく恐ろしい相手だ。

 

「タイガ……早くやらないとマズい……!」

 

『わかってるよ!』

 

大気中に散らばった僅かな量ですらウルトラマンを苦しめるほどだ。地球人が侵されれば間違いなく無事では済まない。

 

これ以上コイツを暴れさせれば、その毒でここら一帯が完全に汚染される。それだけは食い止めなければならなかった。

 

『ッッッ――――――!』

 

『があぁぁッ……!』

 

しかし毒の回った身体は思うように動かない。

突き出した拳に力はなく、目標へ到達する前に勢いを失った右腕へと奴の咢が襲い掛かる。

 

『これは……、本気で、マズいかもな……!』

 

突き立てられた牙から毒を流し込まれる感覚がする。瞬く間に全身へと回ったそれが更に自由を奪ってゆく。

 

「こう……なったら……!」

 

《ロッソレット!》

 

《コネクトオン!》

 

思考すらも鈍ってゆく中で瞬いた閃きの赴くままにタイガスパークを操作。紅蓮の炎を宿すブレスレットに望みを掛けた。

 

『˝フレイムブラスター˝ッ!!』

 

最後の力を振り絞り、T字の形を成すように噛みつかれたままの右腕に左腕を重ねる。

 

途端に流れ出た爆炎の奔流。光線の放出源へと喰らい付いていたセグメゲルに逃れる術はなく、口から体内へと突貫した高熱によって焼き切られた肉体は爆発によって四散した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……これで、いいんですよね」

 

手にした水晶体が再びの鼓動を始めるのを手のひらで感じつつ、少女―――アオイは自らにも言い聞かせるように口にする。

 

直前の戦いによって激しく損壊した街の中には倒れ伏す地球人の姿が散見出来た。皆、ウルトラマンとの戦いの中で撒き散らされた毒に侵された者だ。

 

神であるセグメゲルの毒。その毒に耐性を持つのは自分達セゲル星人だけだ。つまり自分達は神に選ばれた種族であり、他の劣等種を支配し、正しい方向へ導く必要がある。幼い頃から繰り返し言い聞かされ続けてきた説法が脳裏で反芻する。

 

だからこれは正しいことなんだ。神に選ばれた自分に与えられた使命なんだ。もう何度も行ってきたはずのものなのに。

 

なんで、なんで今になってこんなに……心が痛むんだ。

 

『アァ……』

 

葛藤の間にも我等が神は次なる神託を授けてくれる。

水晶体の赴くままに視線を流せば、丁度力尽きてその肉体を消滅させる瞬間のウルトラマンが目に入った。

 

始末しろ。手の中の波動はアオイにそう告げてくる。

 

「子供……?」

 

確認に向かった先にいたのは、自分とそう年の離れていないであろう少年だった。

聞いたことがある。ウルトラマンは他の星に滞在する際、その星の住民の身体を借りることがあると。それがこんな子供だとは思わなかったが。

 

「……」

 

だがそれでも容赦は出来ない。彼もまた毒に侵されているということはセグメゲルに相応しくないということであり、それどころか神に仇をなした存在だ。選ばれた者として見逃す訳にはいかない。

 

「……ごめんね」

 

これが正しいこと。そう己に言い聞かせ、抑え切れなかった声と共に隠し持っていた刃物を振りかぶる。

けれどもその刃が彼に届くことはなかった。

 

「瀬良先輩!」

 

「っ……!」

 

接近してくる気配を感じ、咄嗟に付近の瓦礫へと身を隠す。

 

この星の防衛隊の人間か、将又仲間である他のウルトラマンの宿主か。どうであれ自分にとって不都合な存在であることに変わりはない。セグメゲルからの神託を実行出来ないのは痛手だが、ここは一度息を潜めるべきだ。

 

「え……」

 

せめて顔だけでも把握しておこう。そう判断し少しだけ片目を覗かせ―――同時に硬直する。

 

「先輩……? 大丈夫ですか!?」

 

「こっぴどくやられたなこりゃ……一先ずコイツ連れて離れるぞ星海。俺等まで毒浴びたら本格的にマズい」

 

ウルトラマンタイガの宿主を介抱する二人の少年。その内の一人は他でもない、自分がこの星で初めて触れた少女……その傍らにいた彼だったのだから。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

本来なら沢山の大好きと輝きが溢れていたであろう会場を支配していたのは真反対の性質を持つ静寂だった。

 

全ての照明器具が暗い沈黙を以って佇んでいる中、近江彼方はただ一人その場である筈だった光景を夢想した。

 

別に妹の出るステージが諦めきれなくてここにいる訳じゃない。いくらシスコンと称される自分でもそれくらいの分別はつく。

 

ただもし、もし彼女が来るのなら―――、

 

「……彼方」

 

「あっ……アオイちゃん!」

 

十分程なんてことない想像を巡らせた後、待ち人であった少女が姿を見せる。

特別親しい間からでもなければ義務もないのだが、自分が誘った以上は中止の報せも自分がするべきだと思った。ただそれだけだ。

 

「いや~ごめんねアオイちゃん。せっかく来てくれたのに。ライブなんだけど、実はさっきの怪獣騒ぎで中止になっちゃって……」

 

「私を騙してたの!?」

 

「え?」

 

でも顔を見せたアオイから伺えるのは想像していたどれにも起因しない感情で。

一瞬ライブの中止に関しての憤怒かと錯覚するが、明らかにそんなものではないと勘が告げている。

 

「私の心がとかそんなこと言って……最初から私を……!」

 

「ちょ、ちょちょ。何のこと? と、取り敢えず一旦落ち着いて。ね? アオイちゃ―――、」

 

理解が追い付かないままに伸ばした手は彼女に触れることなく弾かれる。いや、見えない何かに阻まれたというべきか。

 

「あぅっ……!」

 

刹那に発生した突風に吹き払われ、彼方の身体が真後ろへと転がる。

打ちどころが悪かったのか、少しだけだが頭がグラつく。それでも辛うじて上半身を持ち上げるが、次に訪れたのは硬直だった。

 

「アオイちゃん……?」

 

目線を重ねた彼女の後方で蠢く猛獣。

直前までそこにはなかったはずの巨影を背負うアオイの双眸に宿る冷たさは、この上ない程に彼方の背筋を凍てつかせた。

 




と、言う訳でアオイの正体はセグメゲルに仕えるセゲル星人でした(大体お察しだったでしょうけど)

彼方回と言いつつアオイ回になってる気がしなくもないけどまあ気にせず行きましょう
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